ぶらんこ乗り (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101069210

感想・レビュー・書評

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  • とても可愛らしい物語。
    兄弟の絆を感じて優しい気持ちになれる。
    天才として生まれたが故の孤独感はなかなか理解が難しかったが、それを除けば弟はちゃんと「男の子」だったように思う。
    それにしても弟の声はどうしてしまったのか謎だった。

    • komoroさん
      タイトルが素敵です。
      9nanoka さんの選ぶ本はいつも心に残る優しいものが多いですね。
      兄弟の話なんですね。
      興味深いです。
      タイトルが素敵です。
      9nanoka さんの選ぶ本はいつも心に残る優しいものが多いですね。
      兄弟の話なんですね。
      興味深いです。
      2014/12/01
  • 文庫の表紙、刺繍がとても可愛らしい
    そして、著者の名前を反対から読んで見たりもした。

    不思議なお話でした。
    彼のお話の中で「うたうゆうびんはいたつ」が好き。

    そして「ローリング」は怖い・・・。あれ、本当なのかなぁ??
    本当なの?

    指の音 って名前の犬がいるのだけれどすごく不思議な犬で でも指の音が自分の体の右側半分の伝言を人に読ませる時の仕草がリアルに想像できてクスっと笑える。可愛い犬。

    お母さんとお父さんからの手紙が素敵だった。

    弟の寝ていたぶらんこの木が屋根までついててストーブも置けるってトコが全く想像できなかった。
    ぶらんこが揺れたら屋根も揺れる仕組なのかな?
    私の中では小屋みたいなイメージになってるんだけどブランコこいでるしなぁ。

    とにかく不思議な世界でした。 
    「絵」も笑えます。

    物語作家さん なんですって。 納得。

  • いしいしんじの「ぶらんこ乗り」。言葉っていうのは世界とつながるためのツールなんだなーと改めて。声を失った弟は、世界と関わる術を失いかけて、けれど自分が存在する術を物語に託した。あっち側の引力に逆らって、物語を通じて手を差し伸べて、それを姉は無意識のうちに掬い上げていた。
    後半につれて、姉があっち側に引き込まれそうになっていく。それを今度は弟が物語で掬い上げる。姉弟はまるで二つのぶらんこのように近づいては離れてを繰り返して、それでも物語を通じて一瞬一瞬、いのちがけで手を繋いでいた。最期には大きく振れて離れていたぶらんこが近づいて行って!何というか!すごいやさしくて素敵な文章にぐっと引っ張られていつのまにか読み終わってたのでありました。弟の作る話ぜんぶぐっときてしみるけど「手を握ろう!」がいっとう好き。

  • 私にも弟がいるので、読んで切なくなった。たぶんまたいつか読み返すだろう。

  • 不思議で、二回読んだ

  • 不思議な作品

     主人公が作るショートショートがなかなかおもしろい。ふわふわ感があっていい味だ。ホントかな?と思ったら、動物の話はホントだそうな。

     また、ストーリーもいい。生き物の声が聞こえるなんていいじゃないか。いや、向こう側の声が聞こえるんだな。驚きの展開もさらっと語られる。そして、主人公が書いてくれた手紙。ここが一番じわっときたなぁ。後の手紙も向こう側からの手紙かなぁと思うな。

     その後は、そのまま流れに沿って。なんだかよくわかんないエンディングなんだが、向こう側との境界を雹や雪で示す感じは好きだな。

     1,001冊目はなかなかいい物語だった。満足だ。

  • 声を失った弟。
    指の音を鳴らすのが得意で、ぶらんこが好きで、動物の話がわかる弟。
    「あっちがわ」の引力にぐっとたえて、孤独を背負って、ノートにお話を書く。
    おねえちゃんがよんで、わらうのがすきなんだ。


    半分過ぎたくらいからずっと泣きっぱなしで読みました。
    なんでかなあ。
    悲しいの一言では表せない不思議な世界観。
    子どもの頃の気持ちに戻ったような…漠然とした不安とか不気味さがありました。

    最初は弟の作る話がわからなかった。
    読み進めて、弟が得体の知れない何かを背負って、それでもおねえちゃんのためにお話を書いてるっていうのがわかって。

    自分にも弟がいるからかな、何だか言葉で言い表せない、
    悲しい、温かい、切ない、ごめんね、さみしい、ありがとう、とか、いろんな感情をまぜたような気持ちになって、涙が出てきました。

    「最後のおはなし」は号泣。
    弟は全身全霊でおねえちゃんを支えたんだ。

    弟はもういない。
    あっちがわに引っ張られちゃったのかな。
    だけど、
    きっと行ったり来たり。
    ぶらんこ乗りみたいに。

    全体の至るところにハッとさせられたりうんうんって頷けたりする、ちっちゃい宝石みたいな言葉が散りばめられていました。

    他の方のレビューを見ると、弟が作る1つ1つのおはなしからもっと何かを感じ取れれば…と思ったので、今回は☆は4つで。

    素敵なお話でした!

  • ハワイ島で読んだ。悲しい話なのに何故か明るい気持ちに慣れた。この本はニューヨーカーの英語講師に勧めらた。童心を忘れてない自分がいて安心した。

  • 「トリツカレ男」が面白くて買った2冊目のいしいしんじさん作品、これだ!と唸らされた本。

    やはり会話文的な書き方が読みやすくて感情移入しやすい。
    動物の話を聞き取ることができる弟が何か背負ってるのが気になって、まだ読み取れてないのかなと思う。
    また読む時には何か見つけたい。

  • 4歳にして大人向けの本まで読んでいる頭のいい弟。
    事故で声を失い、でも動物と話ができるようになった。つくり話の天才。天使みたいだった弟が、この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。


    読み始めてすぐ世界に引き込まれました。
    弟が姉の喜ぶ姿が見たくて書いたお話がまたステキ。
    私だったら自分より頭のいい弟に劣等感を抱いて好きになれないと思ったけど、この弟はお姉ちゃんが大好きで、それがわかるから、お姉ちゃんも弟を大切に思うんだろうなと……お姉ちゃんに感情移入してすごく弟を愛しく感じました。

    私の1番のお気に入りは『うたうゆうびんはいたつ』というお話。
    声失っても気にしていない様子だった弟の本音だと思った。

    さてさて、本の裏側のあらすじを読んで、まさか弟が死んでしまうのかも……と覚悟していたところに横からパンチをくらいました。不意打ち。
    私はこの作品を通して、小学生の頃の気持ちとか、姉と弟の絆とか、言葉でまとめられない「ふるえ」を感じました。

    増田喜昭さんの解説に、『偉大なウソツキいしいしんじ』と書かれていて、
    えーっ、弟のお話はウソだったの?!本当のことかもしれないと思っていたから驚いた。
    いしいしんじさんの筆力に引き込まれました!!

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著者プロフィール

いしい しんじ:作家。1966年、大阪生まれ。京都大学文学部卒業。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。2003年『麦ふみクーツェ』で坪田譲二文学賞、12年『ある一日』で織田作之助賞、16年『悪声』で河合隼雄物語賞を受賞。そのほか『トリツカレ男』『ぶらんこ乗り』『ポーの話』『海と山のピアノ』『げんじものがたり』など著書多数。趣味はレコード、蓄音機、歌舞伎、茶道、落語。

「2024年 『マリアさま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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