絵描きの植田さん (新潮文庫)

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制作 : 植田 真 
  • 新潮社 (2007年11月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101069265

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絵描きの植田さん (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 今回で二度目\(^o^)/。
    何度読んでも、登場する人たちの暖かな気持ちが伝わり、私にとって、読み終える頃に『素直に毎日過ごすことができたなら、こんな風に素敵な時間をすごすことができるのでは』と考えることができる作品です。

  • キレイな話が読みたかった。
    不純物の混じっていない
    美しい雪の地上をささやかな
    人生が交わる。
    心に傷を負った耳の聴こえない
    絵描きの植田さん、氷った湖を
    ママと渡って来た妖精の様な少女メリ
    2人を取り巻く人びとの話し。
    心静かに過ごせる一冊。
    挿絵もとてもステキ。
    画集が有れば欲しいな。

  • いしいしんじと村上春樹は人気のある作家であるが、私にとってはいつも「よっこらせ」と勢いをつけなければ読めない作家なのである。
    嫌いなのではない。苦手なのだ。

    けれど最近いしいしんじを素直に楽しめるようになってきたと思う。

    多くを語らない。
    ただ、温かく見守ることで、見守っている側の方が救われていくような。

    動物、植物、自然の中で生きること。
    メリは小学生にしてはびっくりするほどよく知っている。
    お父さんと図鑑で見たから。お父さんに教えてもらったから。
    メリはおとうさんについて何も言わないけれど、どんなにお父さんのことが好きなのかがそれでわかる。

    素直にあるがままを受け入れていくメリを見て、植田さんもあるがままを受け入れていく。

    この本には植田真の絵が収録されているが、それは文章の挿絵ではなくて、いしいしんじの文章と同じだけの重みをもったイラストとして、物語の終盤にまとめてページが割かれる。
    最初にパラパラと眺めただけではわからないイラストが、きちんと絵描きの植田さんの絵として差し出されるのは、物語を読んだ後で。

  • 「ぶらんこ乗り」の弟は声を失い、「麦ふみクーツェ」では視力を失ったボクサーやチェロ奏者、色彩をもたない娘が登場したけれど、絵描きの植田さんは聴力を失っている。何かを失い、欠落ひとたちのやさしい再生の物語がいしいしんじは上手いのだなあ。

  • 事故で聴覚と彼女を失くした植田とメリという少女の交流を描く。交流を通し次第に植田さんの傷ついた心を溶かしていく。雪山と凍った湖が舞台で植田さんの変化と雪解けに至る情景が互いにシンクロしてる描写が美しかった。

  • かつての事故によって聴覚を失い、一人都会から離れた高原の小屋で絵描きとして暮らしている植田さんのお話。

    自然の描写がとてもきれいだし、本の中の植田真さんの絵は繊細でかわいくて、とても癒されました。

    登場人物もみんなあったかい。特にメリが私はかわいくて好きです。

    短いお話なのですぐ読めます。時間がなくて疲れてるときとか読むといいかも。
    2008年11月17日

  • やさしく、ちょっとずつ、読み進めたい本。厚さは薄めで、ぎっしり文字が書いてあるような本じゃない。だからかもしれないけど、空白を楽しむことができる本。最後は驚きました。ひとつの区切りごとにほんとにいい意味で空白がある。本の中の植田さんと時間を共有している感じがする。そして挿絵がイメージぴったり。細かくかかれてないからこそ、いろんなことが見える気がする。耳がよくきこえなくても、伝えようっていう意思があるなら絶対に伝わるはず。

  • 優しいものがたり。

  • 寒い季節の、あったかいお話し。

  • 事故で聴力のほとんどを失った画家の植田さんの物語。
    高原の土地に移り住み、ひげもじゃの農夫、オシダさんや定食屋の夫婦、そして隣に移り住んできた林イルマとメリ母子とかかわる中で、自分の新しい世界とのかかわり方を見つけ出していく。

    物語の時間は、ある年の冬から春の直前まで。
    雪で真っ白の世界、のはずなんだけど、不思議に緑の沃野の色が感じられ、囀る鳥の声が聞こえてくるかのような作品。
    無色なのにカラフル。
    静謐なのに音が聞こえる。
    静かなのに、力がみなぎっている。
    そんな不思議な魅力を持った作品だった。

    ところで、この本の挿絵を書いている植田真さんは、物語の植田さんと関わりがあるのだろうか?

  • 高原の小さな村に、絵描きの植田さんは住んでいる。かつて、恋人と聴覚をいっぺんに失った植田さんの心は、いつもしんと静かだ。ある日、凍りついた湖を渡って、母と娘が越してくる。娘メリのすなおさは、植田さんの心を溶かしてゆくが、そのメリが雪の森で遭難して……。植田真の絵が扉をひらく奇跡のような物語。
    ------------------
    いしいしんじさんにしては珍しく、ファンタジー色のない物語だった。登場人物は魅力的で、雪山や自然の情景がキラキラとしていて、文章がやわらかく、人が人を想う気持ちにあふれたとても暖かくなる本でした。挿絵もかわいらしく、この本にあっていてよかったです。
    最後、遭難にあったメリちゃんは助かり、病室には植田さんの絵がたくさん貼ってあった。

  • 生と死。
    出会いと別れ。
    まっすぐに進むこととはみ出すこと。

    色。
    真っ白の中の、たくさんの色。

    そんなことがらが、きゅっとおさまっている。

    あっというまに読み終えた。

  • 植田真さん絵本『おやすみのあお』が素晴らしくて、植田さん熱再燃。積読状態だった1冊を手に取りました。
    装画のみならず、タイトルもとっても気になります(*^v^)
    イメージは、植田さんの画風どおり。白の中の極彩色。慎ましいながらも目が離せなくなります。
    今の時季ぴったりの作品で、まさに本に呼ばれた印象。
    いしいしんじさんの文章も雪のイメージにピッタリ。しんしんと降る雪のように、淡々と美しい言葉を紡げる人。読んでいて、何度も胸に迫ってきました。
    雪の中って、意外とあったかいんだよね…そんな思いが頭をかすめます。
    辛かったり地味だったりする毎日の暮らしの中にこそ、本当に大切なものがあるんだろうな。
    冬に再読したい大好きな本が、また1冊増えました(*˘︶˘*).。.:*♡

  • いしい先生の描く人々には、どこか影を感じます。だけど、作品中でその影に焦点が当たることはないんだよなあ。何だか不思議な読み心地。
    悲惨な過去の記憶や、現在の闘争がクローズアップされることはなく、ただただ丁寧に紡がれて行くのは、静寂に包まれた時間、心優しい人々の関係性です。
    それなのに、作品中から滲み出る、この寂とした哀しみは何なのでしょう。
    植田さんの視界に映る世界を変えたメリちゃんの素直さや、彼女の目に映る世界の美しさを知らない(忘れてしまった?)自分自身が悲しいのかな。うーん、それはちょっと懐古趣味が過ぎるかしら…。


    Amazon先生お世話になります( ^ω^ )φ Quote!

    ツノジカ、白テン、ナキウサギ、マヒワ、ツグミ、キレンジャク……高原の小さな村に、絵描きの植田さんは住んでいる。かつて、恋人と聴覚をいっぺんに失った植田さんの心は、いつもしんと静かだ。ある日、凍りついた湖を渡って、母と娘が越してくる。娘メリのすなおさは、植田さんの心を溶かしてゆくが、そのメリが雪の森で遭難して……。植田真の絵が扉をひらく奇跡のような物語。

  • 事故で耳の遠い植田さん。女の子との出会いで世界がきらきらと開いていく物語。

    植田さんが山の中で周りの音と、音を聞いたり楽しんだりすることとまた出会うシーン、普段の自分が重なって涙がでました。

    周りの人や自然や街の中で、わたし自分以外の音や存在に心を開けているかな?
    自分だけの言葉とか考えに縛られて聞こえなくなっているな、と。

    短くて、いしいしんじさんならではのあたたかい言葉とリズムであっという間に読めてしまいます。
    でも、読むたびに自分自身を振り返させてくれる、最後にはあったかくなる一冊だと思います。

  • 音のない世界を、想像すると美しかった。それはいしいさんの作品が美しくさせたのかな。いしいさんの挿絵も素敵。

  • いしいさんの本は、らもさんとの共著やエッセイなどしか読んだことが無く、随分変態さん(良い意味で…)なのだな~という印象だったのですが、こんなに美しい物語を紡ぐ方だとは。
    植田さんの挿絵も愛らしく、誰かに贈りたくなる一冊だと思いました。

  • 静か。湖畔の冬の情景や、無音の世界で心に聞こえる小鳥たちの声や雪の音、氷に描かれていくスケートの曲線、人々の温かさ、どこまでも美しいです。

  • いしいしんじ氏の本は、なんだろう、すごく癒される。
    優しくない出来事も描かれているのに、言葉使いの問題か、すごく優しい物語に思える。
    うん、好きだなぁ。

  • 事故で耳が不自由になってしまった絵描きの植田さんと 湖の向こうから引っ越してきた少女メリのお話。

    ほんわかしててとても優しい話。
    なんだか心があったかくなる感じ。

    音がない分、情景描写がとてもきれい。
    やっぱりいしいさんの世界はすごいと思う!
    「トリツカレ男」「ぶらんこ乗り」と違って 全然非現実的な世界じゃないから 、苦手な人でも読みやすいかも。
    途中の絵がいしい しんじさんの作品の雰囲気とあっててとっても素敵。

  • ココロが優しい人たちの話。
    冬だけどあったか。

    白い紙がまぶしいけど
    それも許される一冊でした。

  • ただただ優しい再生の物語。がんばれ、がんばれと励ますことも大切だけど人の心の傷の形、深さ、そういうものを考えるとゆっくり、その人がその人なりのやり方で乗り越えるのを周りは見守るしかない…。そんな時もあるのかもしれません。
    一人の純粋でまっすぐな少女が、妻を失って傷ついた老人を、孤独の世界から結果的に救い出す話。
    その人の存在そのものが、誰かの人生を変えるきっかけになるって思うと、自分の命もあまりむげにはできないって思う。

  • しろいしろいやさしいせかい*

  • 事故により恋人と聴覚を失った植田さん。
    植田さんのイラストは(物語の植田さんとは別の方)、しーんとして静かで、余白があって、植田さんの見ていた景色なのかと思う。

    目覚めたメリの目に飛び込んできた植田さんの絵・・・。
    「私たち、こんなすばらしい世界に住んでいるのよ!」

  • ねえ、みんな!いままで知っていた?考えたことがあった?
    ほとんど自慢げに胸をそらせ、輝くような声でメリはいった。
    私たち、こんなすばらしい世界に住んでるのよ



    いしいさんらしく、とてもほのぼのとした話でした。うん、ベージュのカーテン(笑)でも今回は季節が冬だし、雪の話が多いので、光を透かした白いカーテンかも。

    火事で恋人(かは断言されてないけど、とにかく大切な女性)が死に、難聴になってしまった植田さんは今の町に引っ越してきて、友達もでき、穏やかな毎日を過ごしています。その町へ、いろいろ事情を抱えた母娘が引っ越してくるんです。その娘、メリはとても明るく、人懐っこい子で、植田さんとも、町の人とも仲良くなります。
    ある日、植田さんは山へ写生に行って、雪崩に遭ってしまいます。それを知って山へ入ったメリは遭難して、先に見つかったのは植田さんでした。 メリもしばらくして見つかって、病院へ運ばれ死の淵に立ちます。それを救ったのが、植田さんの描いた絵。動物だとか、植物だとか、いろんなものが描かれたとてもとても綺麗な絵たち。そうして目が覚めたメリは、上に描かれた科白を出すんです。

    白い白い、優しい世界がこの本では広がっています。雪を綺麗だとか、優しい感じがするとか言えるのは雪国に住んでいない人だけだ、とよく言いますが、この本の中では雪崩さえもそれほどの恐怖を帯びたものとして描かれてはいません。冬は雪で閉鎖される、そんな環境だからこその親密な人間関係が描かれています。さすがいしいさん。

    そんでまた絵がとても綺麗なんです。閑散としていてもの悲しい雰囲気を持っているようにも見えるけど、やっぱり優しい・・っていうより柔らかい。絵を描かれた植田真さんは、他にも湯本香樹実さんの「私のおじさん」とかでも描かれてるらしいですよ。有名な人なのかな。

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