ある一日 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2014年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101069326

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ある一日 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 最近のいしいしんじの小説はちょっと固いというか重いというか、自身の家族にふりかかった悲しみを受け止めきれず作品に投影した私小説に作風変わっちゃった?という印象でしたが、それもこの作品で終わるでしょうか。『みずうみ』の三章にも登場した、作者自身とおぼしき慎二と園子の夫婦、彼らのその後がこの『ある一日』になります。『みずうみ』で誕生する前に失った子供、その悲しみを乗り越えて今度は園子が無事出産をする、その一日だけを描いた作品。

    後半は、ひたすら出産までの痛い、苦しい描写がえんえん続くので、読んでるほうまで手に汗握って疲弊しましたが(もちろんその分、無事に生まれたときの感動もひとしおですが)、前半、夫婦が京都をぶらぶらしているだけの部分は奇妙な浮遊感があって好きでした。たとえ出産シーンがえんえん続くにしても、全体的にマジックリアリズム的手法が多用されているので、なまなましさよりもある意味ファンタスティックな印象が残ります。

    余談ですが「地蔵盆」、子供の頃から当たり前に毎年行われていたので、私は大人になって京都を出るまで全国でおこなわれている行事だと信じて疑っていませんでした。そのせいかいまだに「お地蔵さま」にはどこで遭遇しても妙に親近感を抱いてしまいます(笑)。

  • 出産前に読んでおきたくて、予定日まであと17日というところで読了。
    いしいさんの作品で現代が舞台のものは初めて読むから、どんな感じなのかなぁと思ったけど。くるくると情景が変わっていって、やっぱり不思議な感じ。
    陣痛〜出産シーンは壮絶…。〝お腹の中の小さな「いきもの」〟目線がとても良かった。
    バースプランは泣いた。

  • 自分と関係のないものばかりのこのひどい場所で、かぼそいその光の筋だけが唯一好ましく、あたたかみを帯び、じっと見守っていてくれる感じがした。

  • 読み進めていくうちに、タイトルの「ある一日」を実感してハッとした。

    1つ目は、この小説が一日ちょっとの出来事であること。
    いしいしんじの言葉巧みな描写が、「ある一日」にこれほどの読み応えを与えている。

    そして、もう1つは当たり前だけど「ある一日」の過ごし方は人それぞれ違い、どこかで違うドラマが起こっているということ。
    登場人物以外の時間の存在を認識することで、「ある一日」の奇跡をより感じた。

    記憶はないけど、何故か「いきもの」に共感する傍ら、
    読者としてこの奇跡に純粋に感動できる、そんな物語です。

  • 京都での出産の一日。神秘的な描写が多かった。

  • いしいしんじ読んでいるとどこかへ連れていかれるんだよなぁ

  • 園子の出産場面、最後の手紙でボロボロ泣いてしまった。
    本を読んで泣いたのは『西の魔女が死んだ』以来だと思う。

    最初の方こそ、登場人物2人の視点があっちにいったりこっちにいったり、ハモやうなぎの話をしたりで読みにくい小説だなぁ、と思ったけど、読み進めるとそれらが全て『生まれる』ことや『生命のエネルギー』や、その逆にあるであろう『死』に繋がっていたのだなぁ、と感じる。

    京都の街を舞台にしているのも、伝統行事や錦市場の色が作品にすごく良いスパイスになっていると思う。

  • もうすぐ出産を迎えるわたしに友人が贈ってくれた一冊。
    いしいしんじという人は神様みたいだ。出産するのは自分ではなく妻なのに、ましてや胎児でもないのに、陣痛の苦しみ、胎児がこの世に生み出される瞬間の思いを、ものすごく鮮明に、詩的に描いていて、凄い。まさにいのちの誕生の奇蹟。

  • 意味がわからないようなわかるような。
    また読みたいような読みたくないような、
    面白くなかったような面白かったような。
    不思議な感じ。。

    数年後にまた読んでみたい。

  • いしいしんじの息子さんの誕生の時をモチーフに描かれた、いきもの=いのちが生まれる瞬間。
    生きてはいるけどまだ何者でもない状態。その象徴として、うなぎの幼生「レプトセファルス」が繰り返し登場する。どこから来るのかわからない(つい最近わかった)。こんなにも小さい。これから何になるのかわからない(何の幼生なのか大きくならないとわからない)、何かになったと思ったら変わってしまう(オスとメスを行ったり来たり)。
    私が直前に読んだ福岡さんの動的平衡論の影響を受けているせいもあると思うが、「生き物はモノではない」「いのちとは名詞ではない動詞だ」というメッセージが伝わってくる。

    いしいしんじは変わった、と感じたのが『みずうみ』。解説によると、本作品はその『みずうみ』とつながっているという。読み返してみよう。

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ある一日 (新潮文庫)の作品紹介

「予定日まで来たいうのは、お祝い事や」。にぎやかな錦市場のアーケードを、慎二と園子は、お祝いの夕食にと、はもを探して歩いた。五年前には、五ヶ月でお腹の赤ちゃんの心音が聞こえなくなったことがある。今回は、十ヶ月をかけて隆起する火山のようにふくらんでいった園子の腹。慎二と迎えたその瞬間、園子に大波が打ち寄せた――。新たな「いのち」の誕生。その奇蹟を描く物語。

ある一日 (新潮文庫)のKindle版

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