王朝物語 (新潮文庫 な 8-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (535ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101071084

感想・レビュー・書評

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  • 縦横無尽。

    古典作品から西欧世界へ、日本の近代文学へ。
    そういう橋の架け方があるのね、と思わされながらも、やっぱり一番響いたのは筆者の作品論。
    付箋貼りまくって、もはや引用の仕様もない(笑)

    竹取、伊勢、平中、多武峯少将物語・篁物語、宇津保、落窪、源氏、狭衣、浜松中納言物語、夜半の寝覚、とりかへばや、堤中納言物語、栄花物語・大鏡、今昔、松浦宮物語、いはで忍ぶ・風につれなき物語、有明の別れ・石清水物語、我身にたどる姫君、問はず語り、宇治拾遺、住吉、苔の衣・あまの刈る藻

    振り返り用に項目立てておきます。
    こう見ると文学史の註にチラッと見るくらいのマイナーな作品まで扱われてたなー。すげー。

    そんな筆者が、最後に古典作品を忠実な現代語訳ではなく単純化した漫画によって、普及している現状に対して嘆息する。

    それは「室町時代の大衆がお伽草子の『公家小説』によって、『王朝物語』に接している錯覚をもっていたのと、実によく似ている。
    共に、原作を愛用していた読者と、その安価な偽物で嬉しがっている大衆との、文学体験の質の懸隔は、比較するだに滑稽であり、後者は既に『小説体験』でないことは確実である」。

    なかなか、グサーッと刺さる、名言。
    でも、本当にそう思う。

  • 西洋文学と我が国の王朝文学との比較がなされています。初めて読んだのは高校生の時。授業等を通じて、竹取物語や源氏物語などは触れていても、比較対象である西洋文学の方は全く無知でした。手に取った理由は、日本の各時代ごとに作品が解説されていたので、受験勉強の合間に読むのに適していると感じたのかもしれません。読後、大学へ入ったらこんな視野の広い研究がしたい!という目標を持たせてくれた本です。

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著者プロフィール

中村真一郎(なかむら・しんいちろう)1918年、東京生まれ。東大仏文科卒。42年、福永武彦、加藤周一らと「マチネ・ポエティク」を結成し、47年、『1946文学的考察』を刊行する一方、『死の影の下に』で戦後派作家として認められる。以後、小説、詩、評論、戯曲、翻訳と多分野で活躍。王朝物語、江戸漢詩にも造詣が深い。作品に『回転木馬』、『空中庭園』、『孤独』、『四季』四部作、『頼山陽とその時代』、『蠣崎波響の生涯』他多数がある。

「2019年 『この百年の小説 人生と文学と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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