李陵・山月記 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101077017

感想・レビュー・書評

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  • 全四作品。李徴は大きな理想を抱き、周囲の者達と己は異なると自惚れるも、刻苦して才能を磨こうとはせず、やがて夢は破れかつての同輩は自身を遥かに追い越してしまった。臆病な自尊心と尊大な羞恥心が彼を蝕んでいたのだ。現代社会においても李徴の様な存在は度々見受けられ、彼らと接する度にこの物語が頭を掠め自身を振り返させてくれる。

  • 山月記のみ。
    Twittterで再読した人の投稿を読んで読み直したくなった。学生の時、授業で午後の陽にまどろみながら受けた国語の授業で取り上げられていたと思う。懐かしかった。

  • リズム。

  • 國學院大學「大学生にこそ読んで欲しい」おすすめ本アンケートより。

    ※國學院大學図書館
     別の出版社より刊行された作品集などを所蔵
     例)https://opac.kokugakuin.ac.jp/webopac/BB00592120

  • 3.98/4199
    内容(「BOOK」データベースより)
    『中島敦は、幼時よりの漢学の教養と広範な読書から得た独自な近代的憂愁を加味して、知識人の宿命、孤独を唱えた作家で、三十四歳で歿した。彼の不幸な作家生活は太平洋戦争のさなかに重なり、疑惑と恐怖に陥った自我は、古伝説や歴史に人間関係の諸相を物語化しつつ、異常な緊張感をもって芸術の高貴性を現出させた。本書は中国の古典に取材した表題作ほか『名人伝』『弟子』を収録。』


    『李陵(りりょう)・山月記(さんげつき)』
    著者:中島 敦(なかじま あつし)
    出版社 ‏: ‎新潮社
    文庫 ‏: ‎224ページ

    メモ:
    松岡正剛の千夜千冊 361夜

  • 李徴は私かも…??とか思って読んでて恥ずかしくなってしまった。(笑)
    『我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心』か…なるほど気を付けよう。
    獣になっても虎ならかっこよくていーじゃんともちょっと思う。

  • 学校の現代文で読んで以来、大好きな本です。

  • 使用されている言葉は拡張高く、難しいものがありますが、文章はとてもリズミカルで心地よいです。こういうの好きです。

  • 変な話だけど面白かった。
    虎かっこええけどな。

  • 世田谷文学館に「山月記」を題材としたムットーニのからくり作品がある。20世紀中頃にアメリカで流行ったモーションディスプレイに似ているけれど、あれはループ作品で、ムットーニ作品は起承転結のストーリー展開がある。
     
     何度も見ているけれど、そういえば原作を読んだことないや、ってことで手に取ってみた。

     短編の「山月記」も面白かったけど、感想を書きたいのは「李陵」 以下あらすじ。

     匈奴との戦いを繰り広げていた前漢の武将・李陵が主人公。漢の武王に匈奴討伐を宣誓をして出陣し、善戦したものの俘虜の身となってしまう。李陵の実力を高く買っていた匈奴の王は、彼を厚遇する。漢を裏切る気はさらさらない李陵だったが、漢との戦い以外では助言を求められれば、戦略を語ったし、兵士の鍛錬法など、場合によっては匈奴を利する助言を与えていた。

     それを伝え聞いた武王は激昂し、李陵の家族親族を悉く殺してしまう。
     今は意に反して俘虜の身となってはいるが、隙あらば匈奴への反撃を期していた李陵は、その仕打ちに愕然とする。武王への忠誠心は脆くも崩れ、復讐心すら芽生える。しかし故国を裏切ることはできない。葛藤を抱えたまま匈奴の地で月日を重ねる。

     ある日、漢の蘇武という者が李陵と同じく囚われの身となっていること知る。蘇武は匈奴の懐柔には一切応じず、漢へ帰ることだけを切望していた。

     その姿を見て、李陵の心に迷いが生じた。

     私は命を賭けて匈奴と戦ったのに、武王に家族を皆殺しにされた。あまりにも非道い仕打ちを祖国から受けた。そんな祖国に忠誠を誓う意味などあるのか、と思う。しかし蘇武の態度をどうだ。彼の家族も非道い扱いを受けたと聞く。なのに武王への忠誠は揺らがず、祖国を棄てる気などさらさら無い。いまだ帰国を熱望している・・・

     この李陵の迷いに接して、遠藤周作の「沈黙」を思い出した。現世での安穏は願いもせず、ひたすらにパライソへの昇天だけを願い、棄教せずに殉教する農民たち。そんな弾圧にも沈黙を貫く神に疑いを抱く宣教師。

     信じるものが国か神かで違うが、葛藤は同じだ。
     「疑いを抱く自分は、間違っているのか」

     その価値観は現代社会からは計りがたい。
     とても深いテーマだ。

     李陵と蘇武の他にも、司馬遷がチョイ役みたいなかたちで登場する。もっと壮大な物語になる構想があったのだろうか。
     
     夭逝してしまったからわからない。今のままでもすごいけど、もっと読みたかった。

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著者プロフィール

東京都生まれ。1926年、第一高等学校へ入学し、校友会雑誌に「下田の女」他習作を発表。1930年に東京帝国大学国文科に入学。卒業後、横浜高等女学校勤務を経て、南洋庁国語編修書記の職に就き、現地パラオへ赴く。1942年3月に日本へ帰国。その年の『文學界2月号』に「山月記」「文字禍」が掲載。そして、5月号に掲載された「光と風と夢」が芥川賞候補になる。同年、喘息発作が激しくなり、11月入院。12月に逝去。

「2021年 『かめれおん日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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