美しきもの見し人は (新潮文庫)

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著者 : 堀田善衛
  • 新潮社 (1983年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101087061

美しきもの見し人は (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • (2014.01.23読了)(1983.07.11購入)
    雑誌『藝術生活』に1966年11月から1968年8月まで21回にわたって連載されたものです。単行本は、1969年1月に新潮社から刊行されました。
    単行本が出てから45年、文庫本が出てから31年経ってしまいました。
    本棚で見つけるたびに読まなくちゃと思いつつ、取りかかれませんでした。今回やっと読むことができました。
    僕も40年余、展覧会を見てきましたが、堀田さんも、僕以上に美術品を見て来たようです。僕の場合は、日本にやって来たものを見ているのがほとんどですが、堀田さんは、アジアやヨーロッパの各地に出かけたついでなどに、気になる絵を、訪ね歩いていたようです。
    著作の『ゴヤ』も個人コレクションも含めてゴヤの絵を丹念に訪ね歩いて書いている様子が本を読みながら感じられました。
    この本で紹介されている絵は、カラーで70枚ほど、本の冒頭の方にまとめて収録されています。建築物、彫刻、壁画、絵画、タペストリー、等、様々です。
    昨年6月に見た「貴婦人と一角獣」も堀田さんは、現地で見ているのにはびっくりです。
    堀田さんは、絵画の専門家ではないので、独特の視点で紹介してくれていますので、興味深く読むことができました。
    取り上げられている作家の大部分は、ほとんど何らかの形で、知っている人たちなので、僕の見てきたものは、堀田さんの好みと似通ったところがあるのかなと、嬉しくなりました。

    【目次】

    1 アルハンブラ宮殿
    2 ガウディのお寺
    3 天壇をめぐって
    4 異民族交渉について
    5 アフリカの影
    6 黙示録について
    7 FÊTE GALANTE ワットオの黄昏
    8 ヴェラスケスの仕事場に私の派遣したスパイ
    9 楽園追放 アダムとイヴ
    10 ヴェネツィア画派の栄枯盛衰について
    11 アルビにて 陸上軍艦とロオトレック
    12 美し、フランス LA DOUCE FRAVCE
    13 間奏曲 人と馬
    14 クロード・ロラン 泰西名画について
    15 二つのドイツ
    16 一つの極限について フランシスコ・デ・スルバラン
    17 夜の王国 あるいは乱世の画家 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
    18 モナ・リザには眉がない
    19 肖像画 対話あるいは弁証法について
    20 常識のために 絵具の話
    21 AVE MARIA 受胎告知画
    あとがき
    解説  串田孫一

    ●ビザンティンの文化(195頁)
    ゲーテがイタリアを憧憬の地とするのも、その背景に東方、トルコとペルシャがあったからであり、モーツァルトにも、またあの深刻なベートーヴェンにもトルコ行進曲なるものがあることを諸兄姉は先刻御存知のはずである。そうしてゲーテにとっても、モーツァルトやベートーヴェンにとっても、東方トルコ帝国の栄華はヴェネツィアとゼノアを経由するものであった。またたとえばパリの、十三世紀に創建されたサント・シャペルはゴシックの典型とはいうものの、内部をつくづくと見た人は、そのあまりにトルコ風なことにおどろかれるであろう。
    ●ヴェネツィア(197頁)
    ヴェネツィアにいわゆる「風景」などというものは存在しない、文字通りこの町には、ヴェネツィア画派の得意とした山川草木などはまるで存在しないのである。水と空とビザンティン風な寺と寺院と橋と舟と人間と―それだけしか存在しないのである。
    ●一角獣(221頁)
    この、身に不釣合なねじり角のものものしい、しかし優にやさしいけだものは、頭とからだが馬、後肢がカモシカ、尾ッポは獅子、ヒゲは山羊という次第。このものはむかしむかしはインドに住むということになっていたようで、中世期、東西を問わず宮廷がどこもかしこも陰にして険なる陰謀の巣となっていたとき、このも... 続きを読む

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