天の夕顔 (新潮文庫)

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著者 : 中河与一
  • 新潮社 (1954年6月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101090016

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天の夕顔 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 人妻と愛を確かめ合うものの
    社会的な道徳を重んじて、互いに深入りせず
    数年に一度、会ったり会わなかったりするうち二十数年
    人妻の息子が成人するに至り、ようやく一緒になる約束をするのだが…
    といったような話
    戦前の昭和13年に発表されたもの
    当時すでに、恋愛は資本主義の歯車みたいなもんだったはずで
    それへの反発ゆえ、こういうストイックな純愛物が
    うけたのだと思う
    偽善的とは言わないにしても、まあナルシシズムだろう
    むろん、ナショナリズムに置き換え可能なものである

  • 難しかった。まさかの山籠りはびびった。

  • 三宮が出てきて少し嬉しくなった。
    別に三宮に思い入れがあるわけじゃないけど。
    いや、あんのかな。あるんやろな。いや、でも、ないかな、あるんかな。あるって言っとこか。

    ある。

  • 和泉式部の歌「つれづれと空ぞ見らるる思ふ人天くだり来むものならなくに」が冒頭を飾っている。典雅な小説。解説:保田與重郎

  • 恥ずかしながら全くその存在さえ知らなかった本作品を初読。
    Wikiで見るに新感覚派の人なのか、そんな単語授業で習いましたな。
    でも横光利一もそうだが、いま読み継がれていないような気がしなくもないがどうなんだろう?
    それはともかく内容はある一時代が作り出した上品なお伽噺、おそらく現在の作家がこの手の話を書くと露骨な愛欲表現目白押しになるんでは?
    あとヨーロッパでも好評を博したようだが何となく分かる気がする、女性をある意味「神」と見立てて殉教するお話とも解釈できようから。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101090017
    ── 中河 与一《天の夕顔 19540602 新潮文庫》
     

  • 物語の設定はいまの時代では新鮮味がないように思う。

    それにしても、寸止めが凄まじい・・・
    これはたぶん、いまの世代ではなかなか理解しがたいのでは・・・

    解説のコメントが印象的。
    当時の美青年の条件からすれば、なんとはなしにわかる気もする。

  • 十年ぶりの再読。
    荒唐無稽なほどのストイックな恋。
    これは小説ゆえ現実にはありえない、と思いながらもどこか、現実にもこうした恋があるのではないか、と夢をみてしまうのは、さすが浪漫主義の小説のなせる技なのか。

    難解な単語や、ややこしい言い回しがなく、簡素で流麗な文が、内容とあいまって大変気品のある美しい文章に感じる。

    「お背が高くていらっしゃいますのね」
    という、”あの人”の言葉。
    主人公がいうように、”何でもない言葉”なのだが、この十年、私の脳裏に焼き付いていて、この小説の一文だったことに再読して気が付いた。

    そうやって、静かに心に残る小説。

  • 家内オススメの本。熱愛というか、めんどくさい男というか。にしても真っ直ぐで読みやすくわかりやすいし、情景も思い浮かびやすい書き方だった。

  •  男女の純粋な愛の物語。読み終わるとそう思います。
     実をいうと途中で読むのやめようかと思いました。男性視点だからか、女の私には理解しがたい部分がままあり、だんだん気持ち悪く感じました。とくに後半。女性を思うあまり山に住もうとするあたり。なぜ山へ。
     女性を想って、想って、想っていく話です。最後はもう読むしかないなと読みきりました。読んでよかったです。恋い慕うあまり相手を神様のように崇高な存在に感じ始めるのは、一切の濁りがないように感じて好きです。
     気品漂う文章でした。語り調の文は「です」「ます」が続くので、混乱することがあるんですが、これはさらさらと読めました。
     それはともかく、籐椅子に座る女性の膝に抱きつく男。いいですね。

  • また授業関係の本ですね。
    恋愛小説を中心に扱う割りに、マトモな恋愛を描いた作品を使いませんね・・(笑)これも痴人の愛と同じく狂いっ放しです。

    一言で言えば、人妻相手に一途に愛し続けた人の話です。
    僕はこの作品の主人公を愚かしく自己満足に溺れた人物だと思います。
    アタックに対し良心的に禁断の付き合いを拒んだあき子の心遣いにも関らず、それを「4度の拒絶」と呼び、しかも本来の妻の危篤も殆ど気にかけない有様だった。本来付きっ切りで世話しなければならない夫の義務を蔑ろにしてまで走る愛に美徳は見出せません。山篭りしてる場合じゃないんです。

    最後の花火のシーンだけは20数年間追いかけて叶わなかった恋に対する主人公の想いの結晶と解釈したいところですが、これまでのくだりを追う限りでは自己満足と解釈する見方もあると僕は思います。

  • 主人公の「わたくし」が、年上の人妻への愛に一生を捧げる物語であります。

    「わたくし」は当初は彼女に対して、好意を抱きながらもそれ以上のことは特段望んでゐなかつたやうに見えます。しかし彼女から、これ以上交際を続けると自分の立場が苦しくなるといはれ、以後会はないやうにしませうと切り出されると、どうやら俄然未練が湧いてきたらしい。その後、彼女の居所を探し当てては、その都度拒絶される繰り返しであります。彼女を探す執念はストーカー顔負けと申せませう。

    年少の頃から思春期にかけて、恋愛をしてゐる自分にうつとりする時期が存在しますね。この「わたくし」は中高年になつてもその時期を卒業できずに過ごしてしまつたと思はれるのであります。まあこれを純愛と呼んでもいいのですが、どうも違ふやうな気がする。全体に幼さを感じさせるのであります。時代背景も関係するでせう。
    山ごもりしても結局何の役に立つたのか、と突つ込みたくなります。

    しかしさういふことは、この小説を読む上では枝葉末節なのでせう。
    実際、緊張感のある引き締まつた文章に身を委ねてゐますと、かかる突つ込みどころまでが魅力に転じるのであります。現代人は鼻先で笑ふかもしれない恋愛ですが、新潮文庫版の改版歴を見ると、いまだに新しい読者が誕生してゐると推測されます。
    そして「わたくし」を突き放すラスト。おお、何といふこと。
    彼は不幸だつたのか、それとも救はれたのか。読み手によつて判断は分かれるところでせうね。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-172.html

  • この作品から、愛の情緒と恋愛の思想と人生の態度を学びました。現代では異様とも思えるような主人公の愛に対する節度は、当時どのような受け止め方をされたのか。そのあたりは解説を読めばわかるけれど、これほどまでに美しい作品は激賞もされれば黙殺もされたのだと思います。ロマン主義文学の名作。

  • なんで天の夕顔って名前なんだろ。届かないから?年上だから?考えるのも楽しい。ストーリーだけ追うときっとつまらない。ここまで単純な筋で、それでも読ませるのってやはりすごいことだろう。

  • きれいな話だと思った。

  • 中房の頃「まさに日本のウェルテル!!こんな恋がしたい」と感動した記憶があるが、50過ぎて読み返しても、やはり感動。
    しかしその後ふとググって、なんと実話を元にした小説で、後日モデルとなった男が「盗作だと」訴え、法廷闘争にまで発展したことがわかった。事実は小説よりも奇なり。

  • 想い想われながらも道ならぬ恋。
    互いに潔白であるがゆえ。
    ようやく報われるかと思えば
    無情だな~ 笑

  • わたくしは本当にあの人だけは愛し続けました。
    若き日に「わたくし」に恋した人には夫も子供もいた。その思いに惹かれた「わたくし」はしかし、数度に渡る彼女の拒絶の前に立尽くし更に思いを深めていく。昭和初期、互いに思い合いつつ、けして越えなかった恋の形の物語。

  • 恋い焦がれながらも、ストイックな愛を貫く。主人公のストイックさよりも、彼女の頑なな母として、妻としての姿が印象に残る。最後は悲しくなるわけでもなく、咲いていた椿の花がぽとんと落ちたような感覚を受ける

  • 生涯をかけたストイックなピュア不倫。なんのこっちゃ。でもほんとにそういう話。
    ピュアすぎて、現代だと不倫のうちに入らないかもしれない。

    この小説のテーマは、「人間の愛情というものが、いかに克己によって神聖化せられ、美しくなるか」というフレーズに集約されているように思う。
    男も女も一線を越えてはならないと自分を律し、己に克とうとすることで、その反作用として相手への愛情が美化され、強固なものになっていくってことなんだろうな。

    相手のことを考えれば考えるほど好きになる。
    今も昔も変わらないようです。

  • 浪漫主義に貫かれた作品。

    人妻を愛してしまった男が愛に生き、人生を犠牲にするお話。
    と、いってもそれはひたすらに精神的な「愛」なのである。
    冬山にこもって生活してみたり、相手の子供の学校から思い人の
    住所を探り当てたり、主人公はひたすらに行動する。
    恋愛というより忍耐、修行、そんな言葉が当てはまる。
    確かに美しいが、双方の独りよがりな恋愛をみているようで
    違和感が残った。

  • 再読

    『信じがたいと思われるでしょう。信じるということが現代人にとって
    いかに困難かということは、わたくしもよく知っています。』
    で始まる物語。

    この冒頭を読めば、絶対 すてきな物語だな、って思うでしょう。

    7つ年上の人妻に恋をしてしまった 男性の悲恋の話。
    男は女を思い続け、山にこもる。
    そして、25年が過ぎ、ようやく 想いが通じるはずの約束の日の
    前日に女は死んでしまう・・・
    あぁ、なんという悲劇。

    女は「もう少し早く出逢っていれば・・・」と何度も 嘆くのだけれど
    男は 「人間として、この世に生まれてきたことの寂しさの中にあって
    あの人に逢えたということは、それだけでもわたくしにはありがたく
    たとえようのない喜びに思われたのです。
    世間では普通に生まれ、そういう人に出逢わなかった人もたくさんいる。
    そう思うと、自分の運命など決して不幸ではない。」
    だって〜


    なんという、けなげな男でしょうか・・・

    本当に、心からそう思えたら、幸せなのでしょうが。

  • 大人の純愛の物語。純粋な愛とは存在するのかな?

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