新編 風の又三郎 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101092041

感想・レビュー・書評

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  • やまなしの色彩鮮やかな描写にうっとり。
    可愛らしいけど厳しい現実を描く童話には著者の優しさと誠実さを感じた。
    「さよならね。」の著者自らによる釈明には吹き出した。

  • 小学校の教科書に載っていた、”やまなし”。子供のころに読んだ時はただただ不思議なイメージだなと感じたものだけど、大人になってから読むと、その文章の流れるような美しさに感動してしまった。

  • 青空文庫で表題作のみ読了。

    どっどど どどうど どどうど どどう
    風の音がこんなふうに聞こえる宮沢賢治の感性はすごいと思う。
    方言がちょっとわからなかったけど、それでも言葉がいきいきしているのを感じる。
    好きだなぁ。

  • 宮沢賢治とは果たして何者なのか、と考える。


    天才、と表現されたのを聞いたことがある。
    作家なんて才能がなければ出来ない職業だが、これは”先天的な天才”という意味で言われた言葉だ。
    苦悩と痛みを抱えずに言葉の寵愛の元にあずかれる人っているのだ。
    それは私の乏しい宮沢賢治像にも合致する。
    どうもこの人には聖人というか、清貧なイメージがある。
    それも結局は『雨ニモ負ケズ』からきているのだろうが、天才と清貧という二つの言葉は宮沢賢治という人のポートレートにもきれいに溶け込む。ある意味きれいに仕上げすぎてしまっていると表現してもよいぐらいにだ。
    それもあってか、私は長らくこの人の著作をどこか敬遠し続けていた。
    どうも、眩しいのだ。
    今回改めて読んでみてもそうだった。文章があまりにも澄んでいる。
    美しいとかそう言うのではなく”やさしい”のだ。
    ”易しい”ではなく”優しい”である。
    よく私はそんな表現をするが、今回のは清らかとかではなく実直、あまりにも無邪気な文章なのだ。


    本著収録で気に入ったのは。
    『グスコーブドリの伝記』と『フランドン農学校の豚』。
    『フランドン~』に関しては原稿を紛失下らしく途中からだが、おもしろい。全部読んでみたかった。
    他の収録作品も子供たちに読み聞かせてやりたい物語ばかりだ。
    先に挙げた文章の純度はともかくとして、天才と評される理由は読んでみて実感できた。
    宮沢賢治の物語とは、この人にしか書けないものなのだ。
    童話は優しい世界観のもとに描かれているのが多いが、宮沢賢治のそれはどうも違うように思う。
    もしかしたら見えているのかもしれないし、そう見たいのかもしれないとこちらに思わせるような自然さがある。大人が子供のために準備したが故のモノでも、ファンタジーの要素としてや皮肉を包む膜としてでもないのだ。
    世界観がここまでできあがっているのだから”唯一無二”と表現出来るのだろう。
    しかし賢治の特別は言ってしまえば”キメラ”的なのだ。
    明らかに別枠、しかし別格ではないのだ。
    別格というのは同じ尺度の元にいなくてはいけない。宮沢賢治と同じ土俵に立てる人間なんてそうそういない。
    詩の面では中原中也なら並べられるかと思うが、物語に関してはなかなかいないだろうと思う。
    また、流派と言うのが本来ならどの作家にも見られるが、宮沢賢治に関しては他者の香りがほとんどしない。だから、文章が澄んでるといったが、上手いとか下手とかそういう判断基準にはどうも置く事が出来ない不思議な場所にいるように思う。


    ここまでつらつらと書いてきたのだが、何とも私はしっくりと来ていない。
    確かによい本だが、こんな風に純真とも言える物語ばかりを連ねられてしまいに、読んでいて何度か私はうんざりしてしまった。
    だって、まるで揺るがないと誇示するようなラインナップだ。
    先に挙げたように宮沢賢治は敬虔、と言うか聖人のような扱いをされることがあまりにも多い。
    聖人。確かに取り繕ってこんな優しい物語は書けるものではない。
    しかしだ。本当に柔らかい人間は『そう言う人に私はなりたい』とは言わないだろう。
    疑っているのではない。
    賢治にも必ずや人間らしさがあるはずだ。出来たらそう言う部分を一度は読んでみたいと思うが、はたしてあるのかな。
    太宰のように醜いぐらいにさらしても嫌で。賢治のような天然の純真も受け付けきれない。
    我ながらなんという傲慢な読書趣向だと思う今日この頃。

  • 初めて読んだ「貝の火」が印象的だった。

    善悪の決定を第三者に預けず、自分で決める。
    謙虚に、反省しながら生きる。
                  ・・・ってことかな?

  • 風でざわざわいう木の音を聞くと、この作品を読んだ子どものころを思い出して、胸が騒いでしまいます。
    どっどど どどうど・・・
    という作品の冒頭に出てくる風のうたが印象的です。
    ある風の強い日に、高田三郎という転校生が一郎たちの小学校にやってきます。1年生から6年生まで全部合わせて1つの教室しかない、とても小さな田舎の小学校です。表情豊かな方言でしゃべり、森や川で遊ぶ子どもたちに、ちょっと浮いていた三郎もいつの間にか打ち解けていきます。ノスタルジーにひたれる大好きな小説です。

  • 今この時代だからこそ、宮沢賢治という特異な存在に触れることが必要なのではないでしょうか。

    彼の思想は未だ色あせません。

  • 新潮CD 風の又三郎 1997年 朗読:市原悦子
    た・い・く・つ!最後まで聴いていられなかった。

  • 小学生のころその独特のリズムに心をうばわれ

    図書館で何度も借りた宮沢賢治。

    大人になったいま一番好きな作品がこの本に載っています。

    「蜘蛛となめくじと狸」

    だまされたと思って読んでください。

  • 金八先生が言っていた又三郎裏話を聞いて鳥肌立った

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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