冬の旅 (新潮文庫)

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著者 : 立原正秋
  • 新潮社 (1973年5月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (637ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101095028

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冬の旅 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 20101023 厳しさの先に寛容があるのでは?生きていてほしい。

  • 高校生の時に読み、すごい衝撃をうけた小説。人生のうちに一度は読んでおきたい本。

  •  学生時代に読んだ時、主人公行助のように凛とした生き方をしてみたいと思った。たとえそれがかなわないとしても…。
     今、読み返してみる。このような孤高な生き方ができるのは若いからだ、と思うようになった。むしろ、愚かにも身を持ち崩していく修一郎の心の闇に興味が湧く。
     そして、もしも、行助が順調に年齢を重ねていたならば、こんな凛とした生き方を本当にずっと貫けたのだろうか…。

     なんと意地悪な読み手になってしまったのかと自己嫌悪に陥ってしまう。

  • 暗く重い話。主人公、できすぎでしょ!!!!
    で、最後の結末はあんまりすぎる。
    人の真理を描く本。

  • 宇野行助は、義兄の修一郎が母の澄江を陵辱しようとしている現場に遭遇し、修一郎とも見合いになった結果、彼に包丁を突き立ててしまいます。しかし行助は取調べに対して、修一郎が母を犯そうとしていたことを明かさず、ただ修一郎が母を「女中」と罵ったことで彼を刺したのだと主張します。

    少年院に送られた行助は、安坂宏一のような良い仲間と知り合い、模範的な院生として毎日を過ごし、ようやく出所する日がやってきます。彼は、出所後ふたたび家族とともに暮らしていたのでは、以前と同じような問題が起こるのではないかと懸念しますが、実の子である修一郎以上に行助に目をかける義父の宇野理一は、行助の願いを退け、修一郎を祖父母のもとに追い出して、行助を自分のもとに引き取ります。

    一方、父・理一から疎んじられ、行助にコンプレックスを抱いている修一郎は、理一たち3人をなきものにしようと、ナイフを手にして夜中に襲撃をおこないます。理一は修一郎に刺され、そこに駆けつけた行助は、修一郎にふたたび刃物を振るってしまいます。

    こうして行助はまたしても少年院送致となります。みずからの身を律する行助の心はいっそう強まり、理一と澄江も、そんな行助の希望に応じて、彼の籍を移すことになります。しかし、出所を目前にして、行助は破傷風にかかってしまい、自分の数奇な運命を思いつつ、安らかに眠りに就きます。

    分かりやすいストーリーでおもしろく読むことができましたが、やや唐突な幕切れになっているのが気になります。行助のあまりに頑なな倫理観に、今ひとついま一つついていけないまま、物語が終わってしまった印象があります。

  • 戦後の食うものがない時代や少年期のひもじいときの立原自身を思い起こさせる「鳥をまるごと一羽食う」という行為が、多摩少年院にいる行助が社長である義父が探し求めてきた好物のローストチキンを面会室で丸ごとむしって食べているところにふわりとかぶって、ああ立原はこの少年にここのシーンでどうしても鳥をまるごと一匹食べさせなければならなかったのだなあ、と思った。倫理的で真面目で聡明で明るい、つよくやさしいこの少年の心のうちに潜む、描かれなかったひもじさと孤独と冷たい暗さをあの談笑のシーンから見た気がした。

  • 昭和48年発行だけど全く古さを感じない。
    自然に世界に入れた。どの時代もみんな必死でいきてるんだ。

  • とてもよい本。食い入るように読んだ本は久しぶり。
    倫理そのもの、という表現がまさに。達観というか俯瞰というか。当事者であるはずなのにどうしてそこまで律することが出来たのか。憤りや焦燥や、そういう感情を、そういうものだと自分の中に着地させていて、委ねるようにおさえることができる、というか…。稀有な人だな。同時に悲しい。
    修一郎まじでクソみたいなやつだと思ってたけど読み進めるうちになんだか悪いやつではないと思えるようになった、のは単純接触効果かな。どうしようもないやつほど諦めと同時に愛着がわく。のか。まあ結局どうしようもないけど。
    ラストばたばたと召されたから驚いた。エエーッ!って。そんなラスト!?って。

  • 冷静さと人間味を併せ持つ屈折した性格の主人公行助は少年院という社会の縮図を通して人生に対する省察を深めていく。もともと勁い性格であった行祐は二度の少年院生活を経て母の手すら届かないもはや動かしがたい一個の勁い人格へと変貌していく。人間の尊厳とは何か、人間の宿命とは何かについて深く考えさせられる一冊である。

  • 40年以上前の作品ですが、人間や社会について書かれているので現代でも違和感なく読めます。

    倫理的に、俯瞰的に物事を見て考え、自分を律する芯の強い生き方を貫く主人公の目線を中心に、登場人物の目線でも読み進めていく中で、読者自身の目線や考えに気付きをもたらしてくれる、良い本だと思います。

    十代の若いうちに読みたかった。

  • 行助の徹底した達観ぶりにこの後どんな人生が待ち受けているのだろうと思っていたら、ラストの展開がある意味衝撃的。

  • だいぶ、久しぶりに小説だったのですが、のめり込むように読みました。人間心理や倫理を考えさせる物語だと思います。

  • 自制こそ我が人生、な主人公。
    でも理に適っていても情はそうはいかない、からゆえに振り回される。
    彼自身は情はそうはいかないのに理で行って振り回している。
    少年院、少年刑務所への視線は温かい。
    こういうラストかー。

    古い話なのに、今でも同じ事を言われる、言うよなーってこともあって人の世はいとおかし。

    追記。
    解説であるキャラの処遇で居酒屋を出禁になったとあり、とても温かな気持ちに。そういう人が今も沢山いると信じたい。

  • 母親を強姦しようとした義兄:修一郎を刺してしまった主人公:行助。
    義父:理一と、修一郎の確執に振り回された、行助の苦悩の話。
    結局、二度も少年院に入り、最終的に破傷風になるって、どんだけ不幸なんだか。
    良く出来た昼ドラ、という感じ。
    時代背景も考えながら読まないと、大変。
    現代の感覚で読んでいくと、思考回路が理解しづらい。
    特に行助は、どういう行動をとるのかわからない。
    それだけに、早く先を読みたくなって良かった。
    とは言え、当時の少年院の状況や、社会格差など、読み取れて面白かった。

  • 10代で読んだとき、最も感動した一冊

  • 義兄に母親を陵辱されそうになったというショッキングな体験、その後の義兄の堕落具合にいっときであっても明確な殺意を持ったこと、その義兄を終生に渡って劣等感、屈辱感から逃れられない状況においこんでやるという決意。こうした自分の中の汚点・闇を理知的に認識しながら、自分の処し方をあくまでも欠点の無い人間のように立ち振舞って決めてゆく主人公。率直に言って、こんな人間はいないだろうが、、、と思えてしまい、最後まで主人公を好きになれず。
    一方で物語の中に立ち現れる様々な人間の人生を通じて、人はその生まれや環境、人間関係の中でいろいろな影響を与え合って人生を歩んでゆくことに改めて想いを馳せられた。
    そしていつ命を落とすとも知れず、未来がどのようなストーリィを用意しているのかわからない中で、少なくとも日々を意識的に掴みながら自分の人生を作ってゆくことが望ましいのだろうと考えた。

  • SMAPの中居くんが、ラジオでお薦めしていたので手に取りました。

    最後まで、行助という少年が掴めませんでした。達観し過ぎている部分もあり、残酷な一面もあり…。気づいたら引き込まれていました。
    「内面の問題」と繰り返す姿といい、周りの少年だけでなく大人たちまで変わっていく様子といい、本当に不思議な少年だ でした。

    少年院のリアルな現場も読みどころで、どこか不運に見回れた少年院仲間たちとの交流も読みごたえありました。

    中居くんの言うとおり、「THE・小説」。

  • どうしようもない義兄、少年院に二回も入る主人公。
    暗い気持ちになるかと思いきや、爽やかな読後感。
    一気に読めた。

  • 修一郎がクズ。行助は達観し過ぎ。だけど共感できる部分が多かったので、作者は物語の流し方が上手だなと思う。

  • 義兄 修一郎が実母を凌辱しようとする現場に出くわした行助はもみ合いの中、修一郎を刺してしまう。

    祖父、祖母に盲目的に愛され未熟なままの青春を生きる修一郎と
    義父と母に愛されながらも、2度の少年院生活を甘んじて受ける行助の青春。

    これは読む年代によって、感想が全く異なる小説なのかもしれない。

    愛し、愛されるがゆえに遠ざかろうとする行助の言動は、友人をして
    『倫理そのもの』と言われる程にある種の 冷徹さを感じる

    一方。若さだけでは許されない愚かな行動を取り続ける修一郎に
    命の喘ぎを感じるのは何故だろう

    修一郎の目線から、この小説を読みたくなった

  • 「これは自分の内面の問題ですから。」と家族の愛を頑なに拒み倫理とする。呆気ない最期がなぜ必要だったのかも含め、今ひとつ共感できないストーリーだった。12.8.4

  • 印象が強かった昔のTVドラマを探して再発見。TVの印象とは別で淡々としたストーリー。人物表現は良かったがTVドラマのほうが感動が強かった気がします。年取ったせいかも・・・。
    エンディングの主人公の死は意外でした。内容が重厚だっただけにあまりにも簡単に終了。生きていて続編も期待したかった。

  • 緩やかに流れていく文体とは対照的に深くて重厚な内容。とても読み応えのある一冊でした。ただ、起伏が少ないので単調に感じる場合もあるかと。

  • 母に薦められて読んだ本。
    文章が正しいというか、整っているというか、とにかく読んでいて気持ちのいい文章の本でした。
    内容はとても哀しく辛い事件を題材にしながら、その主人公の人物像に惹かれながら読めました。

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