- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101098159
感想・レビュー・書評
-
彫刻の夢の話が好きです。若い頃は美しい女性を、その次は竜を、年をとってからは自分自身を、そして死を前にした今、道の小さな穴に詰める石を彫刻しているおじいさん。短い話なのに、人生とはどういうものか、十分すぎるほど書かれています。
赤ちゃんの話も良かった。生き物は地球から、宇宙から生まれてくる。人は赤ん坊の頃、地球の記憶を、空や大地の記憶を夢に見るのだ、なんて……。こんな壮大なテーマが簡単な言葉で、面白く書かれている。単なるファンタジーと思って油断していると、突然心臓をつかまれる。そんな作品です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原題「だれも知らない国で」
SSの鬼才星新一が贈る夢のような物語。
和やかで優しい気持ちで読んでもらいたい。
著者の長編での才能も見せ付けてくれる。 -
さらっと読めました。でも既に結末をどんな風にむかえたか忘れてしまった…;;
これは良いのか悪いのか。 -
星新一さんの長編。星新一さんのショートショートから皮肉を引いたらたしかにこうなる気がする!って感じでした。
ぼくが次々と夢を渡っていくお話。長編ではあるけど、各夢で完結するある意味短編集てきなお話だった。世界観がすてき。
結局どういうことだったのかわからないところがまたよかった。 -
偶然見かけた自分そっくりのある少年を追っていき、夢の世界に入り込んだ”ぼく”が次から次へ他人の夢の中を旅する冒険譚
ファンタジーでありながら、現実的な要素も残した面白い作品。
他人の夢を旅する中での少年ならでは視点や感覚は現実の世界で生きている私に気付きを与えてくれるようだ。
退屈に思う場面もあったが、後半は惹かれる文章も出てきた。 -
星新一のショートショートではない、小説。
章ごとに分かれた短編集の様相もあるけれど、一応最初から最後まで繋がったお話。
終盤の彫刻家のお話が好きです。 -
この手の文体は好みではないんだけれども、読み進めるとまあ面白い面白い。
SF?ファンタジー?そういうジャンルに手を出さなかったので新鮮でした。
短く文庫本として薄い。だけど、短いからこそ、というものがあるのかな、と。
夢のしくみがなんとも面白かったです。
そして、ありえないような世界なのに、簡単にその世界をイメージできて、
自分自身も冒険しているようでした。 -
すごく良かった。星新一にこんな長編があったのかという嬉しい驚きがあった。子供向けのファンタジックなお話のようだけど、どこか達観した目線がある。主人公の優しい男の子の年相応の言動と不意に漏れる客観的な言葉がすごく良い。星新一だなぁといった感じ。
社会に根ざした個人的な夢からだんだんと規模の大きな仏教的な、観念めいた夢へ移っていくのが面白い。
「あのさまざまな夢の世界も、この現実の世界があればこそなんだ。ここが、ずっとぼくの生きてゆく世界なんだ…。」が印象的。 -
どんな夢を見ようが自由であること、どんな夢も現実世界があってこそ成り立つことを教えてくれる。優しい文体だからこそ大人により刺さるような。
-
好き超えて大切にしたい一冊
-
少年が、様々な人の夢の世界を旅する物語。
人それぞれ、現実と夢の世界をもっており、夢の世界は自由に形成されるため、人の隠された気持ちなどが反映される。
病気の子供、ニートの男、子供を事故で亡くした母親、、
などといった人たちの夢を旅することで、少年は何を感じるのか。
SFショートショートの代名詞、星新一さんによる作品。
-
星新一が好きだけど、星新一のショートショートのファンとしては、これまで意識的に避けてきたのが本書。
実際に読んでみると、ショートショートの技法がうまいこと応用されていて、秀作だという印象。
これ、「ハイペリオン」みたいに、長大な物語に変身させれるんじゃないかなと思ったりする。 -
ショートショートではなく、一冊の長いストーリーです。
不思議な夢の世界を歩き回る様は、読んでいて何とも言えない感覚になります。
ゲームのLSDやゆめにっきを連想しました。 -
夢の世界の「僕」と入れ替わってしまい、いろんな人の夢を旅する話。かわいい文体でするする読める。ネットで読んだことのあるパラレルワールド体験を思い出した。もっとも、そのネット投稿に「星新一のショートショートみたい」ってコメントがついてて読んでみようと思った部分もあるのだけど。
-
「ぼく」から語られるので、文章が柔らかく優しい。
でもちゃんとその中には深い意味があって、大人でも楽しめる。 -
とある体験をきっかけに、人の夢に入り込んでしまった少年。
抜け出せる方法はみつからず、夢から夢へ移動を繰り返す。
様々な人間の深層心理を夢の登場人物として体験し、人生の大切な部分を学ぶ。
現実世界と願望のギャップ。
夢は精神衛生上の調整を行うという説に、一致する。
少し教訓じみた感は否めないのは、それは少年の成長譚だからでもある。
作品は、9人あるいは、10人のエピソードを詰め込めたオムニバスとも取れる。
要所要所に、SF色の描写も散りばめられている。
たとえば、アカシックレコードといえる場面。
共通意識で学習する場面で、模範を示そうとする少年の行動は興味深い。
索引や目次がないので、当初はチャプターが幾つまであるか分からない。
ここも、先入観を与えないという作者の意図が感じられる。
そして迎える、最終チャプター。
夢の中の出来事は、果たして夢なのか現実なのか。
この読後に与える余韻が、星新一の魅力のひとつであろう。 -
星新一さんの作品はたくさん読みましたが長編は初めて読みました。これを教えてくださった京都の本屋さんに感謝。とても上品なファンタジーです。益々好きになりました。
-
星新一さんの描くファンタジー。夢の中って願望が出るんだよなぁ。
-
2015/02/14
-
christyさん
星新一さんの本って今読んでも全然古臭さを感じさせないって思います。これ、不思議な暖かさに満ちている本でした。christyさん
星新一さんの本って今読んでも全然古臭さを感じさせないって思います。これ、不思議な暖かさに満ちている本でした。2015/02/15
-
-
ショート・ショートで有名な星新一の長篇作品。著者の長篇は個人的には初体験である。ただ長篇とはいっても、中身は章ごとに隔たりがあり、短篇に近い。さしづめ星版『夢十夜』といったところか。雰囲気はいかにも星らしく、独特のファンタジイのテイストが全体的に描かれているなかで、鋭い批判というかそういう深みのある社会派めいた箇所もあり、星ワールドが凝縮されている感じがする。むしろ、ショート・ショートよりも直截的にそういった内容を味わえ、より凄みを感じる。人物描写などをみるに、これだけの観察眼をもっていなければ、あの短い作品を書くことができないのだなと思った。ストーリイとしてはそこまで特別なものもなく、小説としてはそれなりの評価しか与えられないが、なによりも星新一の人物像、小説家としての精神や技術を如実に読み取ることができる作品として、読んでいて楽しさがあった。
-
いい本だ…。星さんはショート・ショートだけじゃなく、こういう本も書けるんだよなぁ。すごいです。
-
主人公(小学生)の語り口調で書かれていて、実際に彼と話しているような気分にさせてくれる。
「夢の国」に閉じ込められた主人公が、色んな人の夢の中を旅するという内容で、少し「キノの旅」に似てるような作品だなと感じながら読みました。
おじいさんと石のくだりが個人的に好き。 -
夢の世界と現実の世界、こういうストーリーは好きだ。
かしこくて、素直で、所どころ敬語で話す「ぼく」がかわいい。
特に彫刻を彫りつづけるおじいさんの話がよかった。
人生について、いいことが書いてあった。
タカマガハラを読みたくなった。 -
ショートショートで有名な星新一さんの長編。
中学生のときに読んで、物語の作りや思想に感動して思わず購入。その年の読書感想画も文もこれ描(書)きました。
長編とありますが実際はショートショートや短編の集まりのような感じ。 -
今の暮らしを変えたいとまでは思わないが、たまにちょっとの間だけなら他人の暮らしと交換こしてみたいと思うことはないだろうか。
ある日のこと少年は“自分そっくりの少年”と出遭った。
彼となら生活を交換こしてもばれないし楽しいだろうなと思った。
引き付けられるように彼を追ううちに少年は夢の世界に迷い込んでしまった。
実は彼は少年が夜見る夢の中の“自分”だったのだ。
現実の自分と夢の中の自分が入れ替わってしまったのだ。
少年は現実の世界に戻ろうとするが、次々と他人の夢の世界を渡り歩くしか出来なかった。
病弱で寝たきりだが夢の中ではやんちゃな王子様の男の子。
交通事故で亡くした息子を夢の中で探し続ける、愛想のいい化粧品売りの女性。
何をやっても上手くいかず、夢の世界では威張り散らす皇帝になる無職独身のショボクレオジサン。
ただ立派な彫刻が彫りたくて歩みを止めその場に留まり続けた老人。最後は彫り過ぎてすっかり小さくなった小石で道の穴を埋め、あとの人の役にたったと満足して歩き始める。
少年はいろんな人と出遭い、本人でさえ気付いていない心の底を垣間見る。
しかしいつまで経っても現実の世界に戻る気配はしない。
少年は夢の世界から戻れるのだろうか。
やがて少年は“ずっとぼくの生きていく世界”を知る。
少年の一人称で紡ぐ不思議な長編冒険ファンタジー。
1971年作「誰も知らない国で」の改題。 -
星新一の長編。不思議な世界がじっくりと味わえます。
-
いろいろな人の『夢』の中を渡り歩く少年の冒険のお話。長編ファンタジーと書かれてはいるが、それぞれの『夢』は独立しているので、連作短編の趣。30年以上前に書かれたものなのに全然古さを感じないのはさすが星ワールド。優しい気持ちにさせてもらえる。章ごとのタイトルページに挿し挟まれた一見抽象画に見える初山滋さんのカット絵も、その章を読んでから見直してみるときちんと意味があっておもしろい。
-
読後感が良い。
星新一のほか作品とは少し違う。冷たい皮肉めいたメッセージではなく、あたたかくわかりやすいメッセージが込められている。 -
そういうものかもしれませんね…( ^ω^ )
-
ジャケットに惹かれて買いました
スラスラ読めてとても良かったです
この本で星新一さんの本を読むようになりました。