小川未明童話集 (新潮文庫)

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著者 : 小川未明
  • 新潮社 (1961年11月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101100012

小川未明童話集 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ああ〜
    こういうのを読むと
    日本人に生まれて
    ホンマ良かったなぁ〜って
    しみじみ思うんよなぁ(笑)


    豊かな情景描写と
    美しい日本語で綴られた文章、

    ロマンチックで詩的な世界観と
    子供たちへのあたたかな眼差し。

    童話でありながら
    大人が読んでもハッとさせられる人間の業や
    社会風刺や
    メッセージ性の込められたストーリー。


    日本のアンデルセンと呼ばれたバラエティーに富んだ多作家でありながら
    童話を単に子供のための読み物ではなく、
    大人にも通じる
    永遠の童心に訴える文学として捉えたところが
    小川未明のスゴさであり、
    今なお読み継がれている理由でもあると思います。


    本書に収録された25篇の短編の中で
    自分のお気に入りは、

    酒井駒子の絵本でもお馴染みの
    「赤いろうそくと人魚」、

    月夜の晩に
    一人暮らしのお婆さんの身に起こった
    不思議な出来事を描いた
    「月夜と眼鏡」、

    飴チョコの箱に描かれた
    天使の視点で社会を風刺した
    「飴チョコの天使」、

    長年苦労を共にした年老いた牛を
    お金のために手離した男の悲劇…
    「百姓の夢」、

    本当に大切なことは
    スタイル(形)や見映えではないことをユーモラスに説いた
    「殿さまの茶わん」、

    切なく美しく胸を締め付ける
    夢のように儚い代表作
    「金の輪」、

    口笛の上手い盲目の弟と
    弟思いの美しい姉。
    しかし姉は有名な大金持ちに声をかけられ…
    「港に着いた黒んぼ」

    かな。


    同じ童話作家でも
    宮沢賢治が「太陽」なら、
    小川未明は「月」。

    哀切的で叙情的な作風、
    そして文字通り
    夜や月に関する童話が多いのも
    自分が惹かれる理由なのかも。


    月が、花が、鳥が、虫が、レールが
    密やかに囁き合う声を聞きたくなる度に
    夜毎読み返してしまう、
    詩的で幻想的な逸品です。

  • 『とうげの茶屋』
    とうげの中ほどにある、気のいいおじいさんの茶屋は大人気。しかしもうすぐそこにバスが通る事になり、おじいさんは複雑な気持ちになる。
    「世の中が、便利になれば、一方に、いいこともあるし、一方には、わるいこともある。しかしそこは頭の働かせようだ。」おじいさんも、せがれの家族がバスに乗って会いに来てくれればと、いい事を考えるようになった。いい人だ。

    その他『野ばら』『月夜と眼鏡』『眠い町』『小さい針の音』『二度と通らない旅人』が好き。

  • 子供の頃、ハッピーエンドで終わらない絵本を読み終えると、部屋の隅やガジュマルの木の上で、「なんでかなあ」と一人思い悩んだ記憶があります。なんで、「めでたし、めでたし」じゃないんだろう?この話ってもしかして、ちゃんと終わってないんじゃないかな、と不安になったものです。

    お姫様は王子様と結婚するし、
    悪者は勇者に打ち倒されるし、
    全知全能の存在は良き人の行いに報い、悪しき者の罪に罰を与える。
    それが世の道理で、あるべき世界の姿だと思っていた幼少の私がもし、小川未明の作品に出会っていたら……トラウマものだったでしょうな(((((´・ω・`)))))ぶるぶる

  • 25編の物語。

    一昔前の、みな貧しかったころの日々の暮らしを包むような、
    ちょっと不思議な感じの物語や、
    それでいてちっとも説教臭くなく、
    ほうっとするお話もあれば、哀しくてしようがないお話もある。
    そのなかで、一番気にいったお話というのは、
    「とうげの茶屋」というお話だ。

    おじいさんが一人、とうげで茶屋を営んでいる。
    女房は先に逝き、ひとり息子は都会に働きにでて、お嫁さんをもらった。
    おじいさんはいつもニコニコして、みんなから好かれている。
    しかし時代の流れには逆らえず、不安に心が揺れたりもしたが、
    ある母子をもてなしたあとに思う、
    おじいさんの心持がなんともすがすがしく、
    最後の5行には、こういうものこそ、
    生きている者がもつ「宝」なのだと思った。

    わたしもこういう老人になりたい。
    このおじいさんを、とても尊敬している。

  • 『野ばら』とか『殿さまの茶碗』とか好きだった。この人の童話は、変に説教じみてたり、安易なハッピーエンドだったりしないのが、すごく素敵。

  • 「赤いろうそくと人魚」他、全25編を収録。

    弱い者が必ずしも救われるわけじゃない。
    信心深い老夫婦が、恐るべき守銭奴の一面を覗かせることもある。
    死ぬのは年取った順番とは限らなくて、子どもだって病で命を落とす。

    そんな人生の「当たり前」を淡々と語りながら、それでいて美しいものもちゃんと見せてくれる。なんて力強い童話、と感じました。このお話たちを自然に受け取っていたであろう、子ども達もまた頼もしい。

    いつか子どもに読ませたい。そして子どもと話をしたい。名著です。

    (「児童文学を軽視してると吾国は亡びるかもよ」って坪田譲治の解説がまた熱いんだコレが。)

  • 全部で25篇の掌編童話を収録。「赤いろうそくと人魚」以外は初読。こうして全体を俯瞰してみると、小川未明の童話群の中にあって「赤いろうそくと人魚」は意外にも例外的なものだったことが分かる。すなわち、未明童話の主流はプロレタリア童話ともいうべき趣きのものなのである。未明が社会主義運動に身を投じていた経歴からも、それはあるいは当然であったのかもしれない。我々読者の側からすれば、人魚の哀しみを、蝋燭の光と幻想の中に描き出してゆく「赤いろうそくと人魚」のような作品を望むのだが。

  • 地元の作家さんであり、だいすきな作家さんでもあります。地元の浜辺に建つ『赤いろうそくと人魚』の像が夕日を眺めている様は幻想的の一言。『飴チョコ』がキャラメルのことを指していると知ってからは、キャラメルと呼ばずに飴チョコと呼ぶようにしています。

  • 陰の世界に属する童話。翳りがあり、美しくも、どこか淋しい。月が地上を照らすように、哀しむ者を見つめている。救いの手を差しのべるでもなく、かといって見放すわけでもなく、ただ、静かに見つめている。――そういう印象を受けた。

  • 小学生の頃、親から買い与えられた初めての本が、小川未明の童話集でした。もちろん、子供向けに大きな字で挿絵もあったように思います。買ってもらったのが嬉しくて何度も何度も読み返しました。めでたしめでたしで終わらない童話が新鮮だった記憶があります。一つ一つの話が深いです。登場する人間・ものが、悲しみをたたえています。また読み返すと思います。

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