- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101102016
感想・レビュー・書評
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2022.7.26(図書館)
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久しぶりに読んでみたら、思った以上に反戦の書だった。
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基本的に教師ものは好きなのだけど、これは読めなかった。基本的に、何も起こらない。何を描写したいのかもよく掴めなかった。多分、個人的な読む視点の問題だと思うのだけど、これは今の自分にマッチしなかった。おそらく、もう少しドラスティックな何かを、変化を、求めている読書の仕方とはかけ離れている作品だから、娯楽という観点で読むにはそぐわないかもしれない。
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時代は戦前から戦後貧しい頃。主人公である教師が小さな村に赴任してから、40歳を越えてから再び教職に就くまでの話を描いたもの。文体自体はあまり難しくなくすらすら読めるのに、いろんなことに心打たれたり強い気持ちを感じたり、盛りだくさんな印象を受けた。
戦前から戦後間もない貧しい時代での出来事を書いているからか、登場人物の生きなければならないという強い気持ちと苦しさと日常の小さな出来事に対する喜びなどがぎゅっと詰まっている。
主人公である先生はよく涙を流す。しかし、話によってその涙の意味は違う。はじめはわかってもらえない周りの大人への悔し涙。家の事情で、学校に通うこともできなくなったりした子供たちに対する先生のかわいそうという同情心を超えたもっと強い思いから出る涙。子供も産み、家族や教え子を失うことへの悲しみや憤り。そして、再び岬へ戻ってきたときのかつての教え子の面影への懐かしさと変化、それでも生きている姿を見た時の涙。個人的に一番心打たれたのは最初の、そういうつもりじゃないのにわかってもらえなかったときの涙(他はただ圧倒された)。いつの時代も、そういうことは頻繁にあるんだな(皆経験してることなのに、どうして自分も他の人にそう当たるのであろうか。不思議だ)。
これを読んでも主人公が特別芯が強いとは思えない(弱いわけでもないが)。村の人に勘違いにより冷たくされれば涙を見せるし、家に帰れば母親に愚痴を言う(しかし唯一の味方になりえる存在の母も、共感してくれずそれどころか反論さえする)。夏休みも明けて今日から授業となると憂鬱になる。戦時中の貧しさは別にして、現代社会で生きる女性は多くがこのような感じではないだろうか。時代背景は違えど、下手な恋愛小説や感動ものの話なんかよりも個人的にはこの話のほうが共感できると感じた。 -
昔、読んだことあったような・・・と思っていたけど、多分途中までしか読んでなかったのかな。12人の子どもたち、自転車、洋服のハイカラな先生、というところまでは知っていたんだけど。こんなにつらく悲しい話だったなんて。戦争は、あんな田舎の小さな村まで不幸にしてしまう。先生も、子どもたちも、不幸すぎて最後どうやって終わるのか、と思ったけど、解説にもあった「壷井栄の、明るさとえくぼ」で、キラキラ明るく終わった気がする。
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初めて読んだ。昭和初期の海辺の寒村の子供たちと女教員の物語。ほのぼのと描写される、日々の暮らしの中に貧困と戦争が影を落とすが、夢中に次はどうなるんだろう、と読んでいけた。
文体も読みやすく、とても優しい気持ちになれた。 -
大石先生と12人の生徒たち。12人の生徒たちの成長過程が描かれていて、
子どもの頃に何度も読みました。この他にも、アンデルセンやグリムの童話、
椋鳩十の動物物語をよく読んでいました。
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所持/戦争という時代に翻弄されて貧しい中にも、どこか温かみがあって不思議な読後感。子どもたちの無邪気さがつらい。どの時代に生まれても風潮に合わせて生きていかなきゃいけないのは同じだけど、自分の意思とは関係のないところで、なんて理不尽な…と、改めて、平成に生きる自分の自由さを知る。