暖簾 (新潮文庫)

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著者 : 山崎豊子
  • 新潮社 (1960年7月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104010

暖簾 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 山崎豊子さんのデビュー作
    大阪商人魂と暖簾の深い意味が解った。

  • 戦前戦後における、親子二代の大阪商人の姿を描いている。
    どろくさい感じ。
    金儲けも一つの修行、節約、勤勉、努力から成る。
    信用のある商品を薄利多売して、その苦労で儲ける。
    負けて勝つ。

    でも、これが商売なんだよなって、自分の姿や姿勢を見直すきっかけになりました。

  • 明治29年、淡路島から単身飛び出した15歳の吾平は、大阪船場の大店浪花屋で丁稚奉公を始める。旦那はんである利兵衛に見込まれ、しごかれながら異例の速さで出世し、ついに別家を構えるまでになる。
    作者の、大阪の商家独特の文化に対する誇りや愛着に溢れた作品。
    圧巻だったのは暖簾を担保に銀行が融資をするという一幕。まさか!と思っても、読者にそれを納得させるだけの力強さがある。

  • 職人の話で終わるかと思ったら、戦後になって労働基準法や規制、役得に甘んじてはびこる商習慣など社会問題が出てきて、政府の経済政策に翻弄される大阪商人が細かく書かれている。学のない父、大学出の息子それぞれ。ふたりとも商売に対してモラルがあるのが良かった。大阪商人の心意気がこの一冊で少しわかった。

  • 「たった35銭だけを握りしめて淡路島から大阪にやって来た」主人公の描写、その出だしから引き込まれる。

    老舗昆布屋の暖簾を守る、親子2代の物語。初代は丁稚から叩き上げの時代で、明治後半といえどもまだ江戸時代の空気が残っている。代替わりする第2部は、文字通りの戦後復興期が舞台で、経済の中心が東京に移り、大阪が天下の台所の地位を失った時代。タイプの異なる大阪商人2人を通して、大阪の歴史が透けて見えてくるよう。

  • 山崎豊子のデビュー作であり、出世作。

    日清戦争後、淡路から裸一貫で大阪の昆布商に丁稚奉公し、苦節10数年、暖簾分けして自らの店を持ち、繁盛させていく主人公の姿が第一部で描かれ、第二部では、主人公の次男が戦災ですべて失った老舗の暖簾を再興していく物語。

    どんなに困難なことがあっても、決して暖簾に傷をつけるような真似だけはしないという船場商人の心意気が十二分に読者を惹きつける。また経済史的背景もしっかりと描かれていて面白い。


    主人公の店(浪花屋)の塩昆布にねこいらずが混入していたとの嫌疑をかけられ、警察に拘留された主人公に家族・使用人が「適当なこと言って出してもらいましょ」と勧められたのに対し、主人公がこう啖呵を切る。

    「阿呆、わいが詐欺や横領したん違うぜ、……わいが按配云うて出ても、暖簾が傷ついたらそんでしまいやないか、……」(74ページ)

    結局、主人公の推察が当たって無事に放免となるのだが、このあたり、ユーモアもあって良い。中身はネタバレになるので書きませんが。

  •  本書は山崎豊子の処女作であり出世作でもある。先代が守った「暖簾」を二代目が引き継ぎ商売を大きくしていくというお話し。そして三代目が放蕩の限りを尽くし店が没落していくのであった(笑 何気に、先代が世話になったお店の若旦那の姿をイメージできる。商売は個人から組織へ移行しなければ継続的な成長は難しい。

  • 商家は4つの名前を持つ。経営体としてのイエ(屋号)。経営者一族としてのイエ(本姓)。経営者としての当主(店名前)。生身の個人としての当主(実名)。例えば、鴻池屋、山中、鴻池屋善右衛門、山中宗益などのように。このうち、山崎豊子が描きたかった「暖簾」は、経営体としてのイエが持つブランドなのだと解釈している。個人よりも経営体としての「名」こそ「暖簾」。だからこそ、「暖簾」は担保(正確には引当か)になり得る。実に考えさせる本だった。最後の東京への眼差しは、大坂を研究する人間としては、頭に置いておかねばならないものだ。

  • 暖簾の重さの良い部分と悪い部分が、上手く描かれています。

    伝統を守ることと進化することのバランス。

    お客様に良い商品を渡すためにする努力の大切さと、店を大きくしたいという私欲。

    見た目は同じでも、志という土台が重要だとわかります。

    何かを始めようとする人に薦めたいです。

  • いまよむと、いわゆる大阪弁でも聞かないことば、
    だせぇ、やぜぇ等が連発。
    大阪弁なのか、船場言葉なのかわからないが。
    正直大阪について見直す。
    暖簾の重みと。

  • 地元、大阪が舞台だったので地理も分かって面白く読めた。
    今までは山崎さんの本は難しい気がして敬遠していたけど、他の作品もこんな感じなら挑戦してみようかと思う。

  • たこ焼き、阪神タイガース、豹柄服のオバチャン、吉本なんかじゃなく、伝えたい大阪とはこれ。

  • 山崎豊子さんの処女作

    昆布に命をかける商売人の話
    本書には一人前の昆布職人になるのに11年かかると書かれている。
    今の時代からしたら昆布だけで11年も?馬鹿げてると思ってしまう。
    昆布と職人の奥の深さに脱帽せざるを得ない。

  • 気張って気張って、耐えて、凌ぐ。
    体力、技術、気力、全て使って貫く。

    (以下抜粋)
    ○せっかく土産にしたその昆布を神棚と、
     亡父の仏前に供えたまま黴にしてしまった。(P.31)
    ○損も資本(もと)や(P.36)
    ○店には惜しい者やけど、お前はもう一人前やと暖簾を分かたれた。(P.37)
    ○国会や、箱根の山で、なんぼまともそうなこというともあかん。
     経済復興は一人一人が汗みどろになって働くことや。(P.172)
    ○客の目に見えない倉庫に多額の金をかけなければならなかった。(P.225)
    ○自分のレッテル貼ったもんは、
     自分が作り、自分が眼を通して売るのが当たり前やないか(P.226)

  • 2代にわたる大阪商人の話。商人にとって暖簾がこんなに大事なものとは。とても感銘を受けた。

    これが処女作とは思えない、さすが豊子先生。当初から念入りな取材をされていたのが分かる。昆布の話も面白い。昆布を使った料理をしようかな。

  • お商売の厳しさとお商売人さんの気骨を堪能いたしましたわ

  • 凄まじい商人のプライドと気迫みたいなものを感じる小説だった。

  • 山崎豊子の処女作。さすが読み応えはあるのにさくさく読める。戦前戦後の大阪商人二代に渡るお話。暖簾=ブランドの大切さ、重みについてしんみりと感じ、考えさせられる。時代、環境に応じた活用という二代目の言葉が印象的。この本が書かれた頃からそんな発想あったんだなぁとも。

  • ブクログデザイン変わったんだね
    前のがスキやも

    初豊子
    面白かったです
    これのせいかこの頃商売についてとても考えている
    大資本
    周りのおっさんらは結構二代目が多い
    一念発起?
    どうにか楽しいことにしたい

    ところで昆布の消費が多いのは沖縄だっけ?
    どうだっけ

  • 山崎豊子の処女作。著者の、大阪商人の理想像を描いたという。親子二代にわたり「丁稚奉公」(=商人としてのいろはを長い年月をかけて身体に浸み込ませながら、日々の仕事に精力を注いでいくこと)の精神を固持しながら、期をとらえた事業を繰り返し興して、昆布屋を発展・復興させていく物語。

    "現代の暖簾の価値は、これを活用する人間の力によるものだ。徐々に、復活してきた顧客の暖簾の懐古に、安易にもたれてしまう者は、そのまま没落してしまう。暖簾の信用と重みによって、人のできない苦労も出来、人の出来ないりっぱなことも出来た人間だけが、暖簾を活かせていけるのだった。孝平は、単に老舗の暖簾のおかげだと云われるのは、不服であった。″p.222

    暖簾はもたれかかるものでも畏れるものでもなくて、活用するもの。それを体現した孝平の生きざまに触れられたのは、自分にとって大きな財産。

  • 本書は「白い巨塔」「不毛地帯」「沈まぬ太陽」などなど多数の著書で知られる山崎豊子氏のデビュー作。船場の商人たちが各々の「暖簾」を掲げ、商売に全身全霊をかける生き様が、父子二代にわたって描かれています。努力と誠実さで一介の丁稚から叩き上げ、苦労して築いた店を戦争で失う吾平。彼の暖簾を息子の孝平が継ぎ、大戦後の動乱期から高度経済成長期を乗り越えて立派に再興するまでの奮闘記です。

    父の吾平が無一文から身代を築き上げたように、息子の孝平も戦火のなかから裸一貫で立ち上がります。資本ゼロからのスタートでも、商才に富んだ二人の主人公は、野性的な勘で俊敏に機を見極めては大きな賭けに打って出、先手必勝で商売を大きくしていきます。古くさいように見えて極度に合理的でもある一流の経営哲学がここには息づいています。

    山崎氏の流れるような美しい日本語から、商品を命より大切に扱う心意気や自らを慎む謙虚な気持ちがひしひしと伝わってきます。

    「店番の合間には、支店や、別家衆へ注文の昆布を運ばされる。四つ橋や末吉橋のたもと、河岸の木陰で、通い櫃を積んだ荷車を止め、中から昆布の一つまみを手のひらにのせて、しんめり酢を吸うた昆布の肌合いを楽しんだ。舌の上にのせると、上品はとろりと溶けて甘すっぱい。ええ品物やなあと、卸し値、加工費、売り値を反古で綴じた手帳に写し取って、口銭がいくらあるか勘定しては、商いの勉強をした。」

    酢がきいて艶やかに光っただし昆布。舌の上で淡く溶けてしまうほどの白とろろ昆布。透き徹るような薄地のあしの長いおぼろ昆布の描写は、おいしそう、というよりも、宝石のように美しく感じました。

    関東大震災で一年分の仕入れを失っても、暖簾を抵当に入れてまで拡大した工場が嵐に流されても、戦時下の統制経済で商売がしにくくなっても、空襲で店を焼かれてまでも、暖簾の復興を諦めなかった吾平の物語はもちろん、大学出のインテリ商人と笑われながら、海千山千の商人たちに激しく揉みぬかれ、強靭なかけひきを学び取っていった孝平の物語も読み応え十分。優れたフィクションの中にこそ宿るこのリアリティ。大阪に生まれ大阪に育った著者が、長きにわたって温めていたという究極の大阪人像をご覧ください。

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