- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104072
感想・レビュー・書評
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旧家の総領娘であり、歌人御室みやじの秘められた恋と数奇な運命をたどる。
今までこの方、社会派の作家さんだと思っていました。『不毛地帯』とかが有名すぎて。
宮尾登美子といい、この作家さんといい、円熟した筆で描かれる女性の一生というものは読みごたえ満点です。目がくらむほどきらびやかで豪奢な反面、がんじがらめで窮屈な旧家の様子が生半可ではない描写力で描かれていました。
波瀾万丈とはまさにこのこと。 -
山崎さんの本を始めて購入して読みました。
文章から伝わってくる空気、景色、人物がとても好きです。 -
大分前に古本屋で購入してそのまま読まずにいた本です。今日読み始めて暇を見つけ見つけ読み、今読み終わりました。
やはり文章が上手ですね。畳み掛けるような物語の展開にいつの間にか引き込まれてしまいます。
一言で言うとこの本の主役は時代と言うものだろうな、と思いました。今の日本でも勿論旧家のしきたりなどはあるでしょうがこれほどの重みと執念にも似た確執で受け継がれはしないだろうと思うのです。
そして解説にもありましたが実は一番不幸なのは婿養子だったのでは?と思わなくもありません。
いまや携帯電話やメールで世界の端まで連絡がすぐに取れる時代。便利になったけれども物語性は大分薄れたかもしれないな、と思いました。
面白かったです。 -
濃厚な心情の描写に、心がひりついた。
終始、ホラー小説のような気味の悪さが漂っていた。
サスペンスなのか?いや、恋愛がテーマか?とも思ったが、そんなどころではない小説だった。
幽霊や怪異より怖いものは人間だと思う。
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この人の作品は読んだものの全部強い衝撃があるけど、小説で泣くか、、
女流作家さんで好きな人のひとり -
巻末の富士正晴の解説が非常に良い。もちろん作品も良いのだが。
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超流し読み
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主人公に仕えた老碑の回想を中心に、徐々に冒頭に提示された謎が紐解かれていく。場面によって語り部の視点を切り替えるなど、著者の作品には珍しい型式が見られるが、全体の構成ががっちり構築されている点は相変わらずで、ストーリーにぐいぐい引き込まれ、ラストも見事に収まっている。読後の満足感は充分で、ミステリ要素があるから読み返したくもなる筈。ヒロインは歌人だが、同時に大地主の総領娘でもある。そこが物語のキーになるが、舞台背景になっている、多分に封建的な戦前の地主と小作人の関係やしきたり、そして因習は、現代の我々には馴染みがない分、作中で取り交わされる短歌よりも、むしろ作品の根幹になっている。でなければ、登場人物たちの思考や行動は、小説の世界とはいえ、あまりに浮世離れしてる事になるだろう。日本にまだ江戸時代的なにおいが残っていた頃のお話。