仮装集団 (新潮文庫 (や-5-8))

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著者 : 山崎豊子
  • 新潮社 (1975年9月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (709ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104089

仮装集団 (新潮文庫 (や-5-8))の感想・レビュー・書評

  • 著者の作品の中で唯一映像化されていないもの。
    追悼フェアで買って読んでみた。

    山崎豊子作品は大著が多く、敬遠されがちだが、割とスラスラ読めるものも多い。本作もご多聞に洩れず。

    読み応えはある作品だが、本作が今後映像化される可能性は低いだろう。∵扱った題材が共産主義思想の浸透・普及という、過去の産物であるため。共産主義とは何だったのかを振り返るのであれば、それなりに意味はあるが…。

    また、結末も物語のプロットが拡散したままで終わっている。これも執筆当時の情勢からすると限界だったのか。

    他の作品群に比べるとインパクトは今ひとつだが、読了はできると思う。

  • 1966年1月から翌年2月まで週刊朝日に連載された作品。
    大阪勤音(勤労者音楽同盟)に所属し、すぐれた企画力で音楽会を成功させている流郷正之は、組織内部の不穏な動きに気づき始めた。労働者のための音楽鑑賞団体に音楽以外のものが持ちこまれている。

    労働者と経営者の対立、労働者内部での政治的・思想的対立。50年前はこういう時代だったのかと。
    ドラマ化も映画化もされておらず、著者自身も取材が大変だったという作品。
    中途半端に終わったエピソードもあるが、とても面白かった。

  • タイトルから白装束のカルト宗教の話かと思いましたが、音楽団体のお話でした。調子乗ってる企画者が干されるお話。

  • 労働者に音楽を提供する組織においてプロデューサーをしている主人公の男。血気盛んな労働者とは一線を画しつつも音楽を通して自己実現をしていく。一方で事務局のなかでは不穏な動きがあり、労働者の組織といいつつ裏には政治の利権が絡んでいるのはと主人公は怪しむ。疑いを紐解いていった終着点で、彼は組織に敗れて放逐される。組織を使う者、組織に使われる者、その生々しさが印象的な小説。

  •  勤労者音楽同盟という名称からして左翼がかっている。このグループが急速に組織拡大していく中、不明瞭な運営資金の流や、特定の政治団体と蜜月になるなど不穏な行動が目立ちはじめる。純粋な音楽普及活動に尽力する職員がいる一方で組織運営内で微妙な齟齬が生じはじめた。

     またこのグループに対抗すべく、政治的な動きを機敏に察した資本家が企業主導の音団設立に動き出し・・・さてお話しの結末はいかに、内容に興味をもてず、ストーリーにしてもいまいち。

  • 流郷の書斎とロシアのバイオリニスト招致の仕事ぶり、あとがきが印象に残った。音楽に情熱を傾けて、組織力を存分に活かす努力で仕事を成功させる。菊村姉弟が静かに流郷や斉子を尊敬してる思いが美しい。流郷が斉子と菊村姉のふたりを可哀想に思う気持ちがリアル。カップルができるわけでもなく誰の仕事もハッピーエンドでない不思議な物語。比較的リベラルと思った作者が労音や共産党、赤旗にこんな違和感を持っていた。党員たちのアジりっぷりが、短絡思考が、適切に描写されていると思う。自分で一生懸命党の意向を解釈しようとして党に従う愚かしさ。もう一人くらい政党色に辟易するごく普通の職員もしくは会員がいたらさらに感情移入出来たと思う。相変わらず女性は色モノだが、流郷に
    全く溺れない斉子が際立っている。

  • 暗い展開。映像化されていないが、しても面白くないか?

  • 昭和42年に発表された山崎豊子作品。安保闘争のはざまの時期、そして、いまだ労働組合の組織率が高く、労組運動も顕在化していたという時代背景もあっての作品。党や労組が、他の団体・集団にいかに入り込んでいくか、といった組織の怖さが描かれている。「オルグ」「フラクション活動」など、いまや死後と化している用語もいたるところで出てくるのも、時代の趨勢ということか?

  • 組織の大きな力に翻弄される主人公、やはり勧善懲悪の感は強いが、社会派の巨編まではいかず、中途半端な立ち位置かもしれない。
    本人も書きにくかったらしい。

  • 勤音(勤労者音楽同盟)の組織と、聴衆、そして、そこで働く企画者流郷のイデオロギー・温度差の違いが表れている物語。

  • 生真面目は洗脳されやすい。洗脳された手段はもっと怖い。共産主義の巻き込み方はは人間をよく研究したやり方。心理学のの大家やなぁ。

  • 労働組合系の音楽劇団のお話で、オチが薄く、淡々とページが進む。山崎豊子初期の小説。

  • 働く人のために安くいい音楽を聴ける勤音という文化団体が次第に人民党に浸食されていく様子と、それに翻弄されるノンポリの敏腕プランナーの姿を描いている小説。

    私自身もかつて人民党のモデルになった政党が絡んでいる病院で働いていたことがあるので、この小説に漂う微妙な空気感さえもリアルすぎておもしろく読めました。

    読んでいて思い出しましたが、かなり昔に読んだ小林よしのりの「脱正義論」でも同様の様子が描かれています。

    人民党とその関連の思想団体がいわゆる「乗っ取り」を」する時の手口がこの2冊でよくわかります。

    印象に残った言葉
    「大衆を馬鹿にする者は、何時かは大衆に葬り去られる」
    思い出したけど、この手の団体の人たちってなぜか物言いがエラそうなんですよね。

  • 「労働者の音楽鑑賞団体」の内実は、左思想政党の支持者獲得装置。リアリティがすごくて、身近にこんな組織がごろごろしてそうでこわい。

  • 組織がイデオロギーに動かされて次第に冷静さを失っていく姿がフィクションとは思えないくらいの現実感をもって描かれている。こんなことって、身近な組織でも容易に起こりうるのではないのだろうか(例えば目先の収益見込みをコスト度外視で追う、など)。いつもながらに主人公はcool(この表現まさにぴったりだと思う)。
    筆者のあとがきも秀逸。「純粋に音楽を鑑賞する団体に、音楽以外の目的とイデオロギーが持ち込まれた場合、どのような複雑怪奇な問題が起こり、それが集団の中の人間関係とどう結びつくかを描きたかった」(あとがき)

  • 音楽が政党や経営者に利用され、大衆は翻弄される。作者の真骨頂は文章力に加え取材力だが、本著でも充分にうかがえる。著者の作品で一貫しているテーマは「正義」といってもよいだろうか。10.10.2

  • 労働組合系のクラッシック集団内の闘い。

    かつて真剣に組合運動をしていた時代に受け入れられたと思う。
    今となってはリアル感が薄い。

    でも、人間関係の複雑さ時代背景の描写力。どちらも流石に上手い。

  • 1960年代と時代設定が古くて、読んでて違和感ありすぎたかな。

  • 左派右派の対立はオーケストラにまで及んでいたのかと驚くが、他は大したことがないようにも思える。

  • 山崎豊子中期の作品。

    山崎作品にしては短いし、その緻密な取材もモチーフを得た団体からの取材拒否によって阻まれるなどしたため片手落ちな感じ。

    ただその文体は素晴らしい。

  • めたくた面白かった

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