- Amazon.co.jp ・本 (588ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104201
感想・レビュー・書評
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ロサンゼルスの邦字新聞『加州新報』の記者天羽賢治、ケーン。
彼とその家族の運命を通し、真珠湾攻撃、ヒロシマ、東京裁判と
太平洋戦争の荒波の中で身も心も切り裂かれながらも、
愛と祖国を求め続けた日系人の悲劇を描いた感動巨編。
山崎豊子を読むのは沈まぬ太陽以来2作目。
例によって、本屋で平積みになっていたので、
何気なく買っただけでしたが、またしても
山崎豊子の世界に引き込まれました。
父祖の国日本に対する誇り、そしてアメリカで生まれた
ものとして、自由の国アメリカに対する誇り。
二つの祖国に対する誇りの中で葛藤していく賢治。
そして、正義を貫けば貫くほど回りには理解されない
このジレンマ。
先の戦争の中で、多くの人々が苦しみを味わいましたが、
彼らほど数奇な運命をたどった人もいないでしょう。
今まであまり詳しく知ることのなかった、フィリピンでの
激戦の様子や東京裁判のことについても、彼女ならではの
記述で詳細に知ることが出来ました。
日経新聞で東京裁判の検証が特集記事になっていましたが、
こっちのほうがその裏の人々の心情まで描かれていて、
その場の雰囲気を感じることが出来ます。
ちょうどこの本を読み終えたとき、靖国神社の
すぐ近くで結婚式でした。翌日、なぜだか靖国参拝
したいという気持ちになりました。
それは二つの祖国の間に挟まれながらその人生を
送った賢治の忠魂の気持ちなのか、激戦の中で
日本の勝利のために命を捧げて逝った日本兵のことを
思ってなのか、はたまた、勝者の裁きによって、
死刑となったA級戦犯のことを思ってなのかは
自分でもよく分かっていません。
ただ一つ確かなのは、人々をこうやって引き裂いてしまった
戦争を繰り返してはいけないんだというその祈りを
捧げたい。そんな気持ちが芽生えたということだと思います。
今また戦争歴史観が話題となっていますが、
結果的には、アジア諸国に対して日本が侵略行為と
取られる行為を行ったというのは覆しようのない事実です。
しかしながら、その時々を生きた人たちにとって、
自分の立場でそれぞれが正義だと信じる路を歩んだんだと
思っています。
国家のレベルと個人のレベルでは分けて論じるべきかと。
http://teddy.blog.so-net.ne.jp/2008-11-02詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
山崎豊子さんの本は徹底したリサーチでその舞台を見事に描きだすし、綿密な状況描写で人物の心理状態をうつし出すのも素晴らしいとは思うのだけど、後半は延々とその緻密さで裁判のやり取りが繰り返されるのに食傷気味。ま、頭が疲れてて、集中力に欠けてるときに読むべきじゃないってだけかもしれないけど。改めて読んでみたら、もっと入り込めるかもしれないけど。Nov 29, 2009
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2009/3/11開始
2009/3/21読了 -
ひたすら救われない…、これが本当にあったかと思うだけですごい辛くなります。
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矢野提供本。
私が好きな本の ベスト3に入る本です!
重く暗いテーマですが、人間の強さともろさ、希望と絶望・・そんな相反するものが、常に隣あわせにあります。
天羽賢治の生き様は、なぜこんなにもせつなく、心に響くのでしょう。。。
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東京裁判、長い・・・
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07/12読了
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第二次世界大戦、日本とアメリカ、2つの祖国で葛藤する青年が選んだ最後の決だとは?
はっきりいって救いようのない物語ですが、山崎豊子の文章力にぐいぐい引き込まれてしまいます。
長編ですが、あっという間によみえるのでは? -
広島の原爆は、どんな話を読んでもつらい。核のない世界ってありえないのか。東京裁判での主人公の苦労。仲の良い家族が、戦争によって引き裂かれていくのが悲しい。
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?02.4.22(四川留学時)