- Amazon.co.jp ・本 (612ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104218
感想・レビュー・書評
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ものすごく難しいテーマ。
昔は外国人が珍しかったはずだし、日本人って(自分も含むが)知らないものを怖がるというか、率先して受け入れるのが苦手なんですね。
当時のことは伝聞でしか知らない世代ですが、今はどんどん外国人の方が日本を訪問され、また居住され、同じ職場、同じ学校でともに過ごすことが増えています。
なのでもっともっと受け入れる度量は大きくなってるだろうなと思います。
今回のテーマは日系二世が太平洋戦争に突入した時に、アメリカではどんなことが行われ、 また日本においてはどうだったか、どちらの国にいても敵国の人だという風に見られ、自国の人とは差別を受けたのだそうです。
それでも父なる国、母なる国と双方の国を思い、自身ができる最善解を見つけ出そうと努力する、素敵な日本像が描かれています。
東京裁判ということも言葉は知っていますが、こんなに長い歳月を掛けて、いろんな言葉に翻訳されて、戦勝国の都合の良い形になっている部分もあるとは思いますが、何とかけじめをつけて戦後復興に踏み出したのだとわかりました。
日本人としてもっと知っておくべきだと思いますが、なかなか興味を持つのが難しい。私自身も年齢を経てからようやくこの分野に興味を持ちましたし。若い子達にもどうすれば知ってもらえるのだろうか?という部分もありますが、この本なんかは最適ではないかなと思います。
中学生には早いかもしれませんが、息子にも読ませてみようかな。ー -
文句なしの5スター。著者のこの作品に対しての思い入れと狂人な意志には感服する。これを書ききるまでにどれほどの取材に行きと資料を読んだのか計り知れない。
戦争についての日本側からの太平洋戦争ではなく、日系2世のアメリカ側からの視点の作品。これまでと違った隠された日本人目線。このWW2は日系二世なくては語れないくらいの戦争だったのではないか。
日本側からの歴史では焦点を当てなかった、俘虜への虐待と戦地住民へのサディスティックなまでの虐殺。
アメリカは日本の敗戦意志をくみ取ってのハーグ条約違反の2機の原子爆弾後の現実をどうみているのか。日本がオフィシャルに白旗を上げないことを理由として人体実験をしたいがためのあとづけの理由だったのではないか。
戦勝国が敗戦国を裁く一方的な裁判は的確だったのか。
そしてその場所での戦勝国からのあからさまなトイレでのracial classification 。
父なる日本と母なるアメリカの二つの視点だからこそ見える矛盾とやるせなさ。
日本のトップが導いた戦争という決断がこれほどまでに、関係のないものをフィジカルにそしてメンタルに引きちぎっていく。天皇万歳と最後まで謳った日本のトップたちの天皇神説のような宗教的なにおいが怖くなる。信仰は人を救いもし、人をコントロールもし滅亡もさせる。
信仰にコントロールされずに自分の意志と考えで行動をあらたまなければ同じことが繰り返されるかもしれない。
今の平和な日本人に対しての警告と受け止めなければいけない。 -
なんと救いのない。
そういう歴史があるのだと知らなければならなかった -
二つの祖国を持つ日系二世が見た東京裁判とA級戦犯。
アメリカはその後、強制収容の過ちを認め賠償し、オバマ大統領が原爆ドームを訪問したが、ヒロシマ、ナガサキの公的な謝罪はあったか。
そして日本の戦後賠償、さらには戦後教育は正しかったか。
「大地の子」「不毛地帯」を経た上での「二つの祖国」のラストに過去と今を考える。 -
日系二世の題材は初めて読んだ。
米国への移住自体が苦労だらけであったはずなのに、太平洋戦争開戦と同時に敵国人、ジャップと罵られて強制収容所へ。収容所内では米国への忠誠を誓うかなどのテスト、それによる待遇の変化、更に戦地での兄弟との遭遇、そして戦後の翻訳員としての苦難。かなりのボリュームの三冊構成であったが、天羽賢治1人の人生を語るにおいて無駄がない作品だった。極東国際軍事裁判の描写も、かなり難解で読み進めるのにかなり時間を要したが、史実に基づき事細かに再現されており当時の裁判がいかに不平等であったかの現実を突きつけられた。
最後まで息つく暇のないとても濃い1作。 -
★2.5。
題材云々はさておき、小説としてあんまり面白くない、率直に言って。
筋が読めすぎるし、何より書き込みすぎる。読者に想像の余地を与えようとしてない、少なくとも本作では。であれば研究的書籍の方に分があると思います、当方にとっては。小説としていけてないなと。
あと最後の締めに既視感が。『華麗なる一族』でしたでしょうか?こういう佇まいというか気持ちが好きな作家なんだろうなとは思いました。