二つの祖国〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 山崎豊子
  • 新潮社 (1986年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (612ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104218

二つの祖国〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • ようやく読了。長かった。
    しかし、いち日本人として、読んでおいて損の無い一作だったことは間違いなし。

    ★3つ、7ポイント半。
    2017.09.18.図。

    ※下巻を読んでる最中に原爆ドームを訪れることになるというタイムリーさに、話の重みが倍増した。

    ※(作中でも記述はあるが)
    東京裁判で散っていった男達の悲運には同情し、散り際の潔さは立派だったと思う。
    しかし、
    例え「戦勝国による報復裁判」であろうと、自分の主張をある程度以上主張出来、家族との別れも済ませ覚悟を決めて死刑台に立つことのできた彼らは・・・・・

    国からの紙見れ一枚で召集され遠い異国で若い命を散らし、妻や子や親元には骨一本も届けられなかった幾千幾万もの命たちと比べれば、やはり数段恵まれていたのだろうと思われる。

    日本の国を守るため、という言い分も分かる。

    しかし、、、ね、、、と。

  • ものすごく難しいテーマ。
    昔は外国人が珍しかったはずだし、日本人って(自分も含むが)知らないものを怖がるというか、率先して受け入れるのが苦手なんですね。
    当時のことは伝聞でしか知らない世代ですが、今はどんどん外国人の方が日本を訪問され、また居住され、同じ職場、同じ学校でともに過ごすことが増えています。
    なのでもっともっと受け入れる度量は大きくなってるだろうなと思います。

    今回のテーマは日系二世が太平洋戦争に突入した時に、アメリカではどんなことが行われ、 また日本においてはどうだったか、どちらの国にいても敵国の人だという風に見られ、自国の人とは差別を受けたのだそうです。

    それでも父なる国、母なる国と双方の国を思い、自身ができる最善解を見つけ出そうと努力する、素敵な日本像が描かれています。

    東京裁判ということも言葉は知っていますが、こんなに長い歳月を掛けて、いろんな言葉に翻訳されて、戦勝国の都合の良い形になっている部分もあるとは思いますが、何とかけじめをつけて戦後復興に踏み出したのだとわかりました。

    日本人としてもっと知っておくべきだと思いますが、なかなか興味を持つのが難しい。私自身も年齢を経てからようやくこの分野に興味を持ちましたし。若い子達にもどうすれば知ってもらえるのだろうか?という部分もありますが、この本なんかは最適ではないかなと思います。
    中学生には早いかもしれませんが、息子にも読ませてみようかな。ー

  • 終戦。
    日本を占領した米軍を中心とする連合軍は
    戦犯を裁く為に東京裁判を開始した。
    それははっきりと復讐裁判であった。
    モニターとして裁判の通訳に関わる事になった主人公は
    またもや二つの祖国の間で激しく苦悩する。
    恋人の被爆、家庭の崩壊、前線で邂逅した弟からの憎悪。
    二つの祖国を愛するがゆえの苦悩が、次第に彼の心を蝕んでいく。

    よき人間であろうとするほどに、苦悩し、追い込まれていく。
    戦争という異常な状況が、人間の醜い心を
    顕わにしていくのだろうか。


    簡単に戦争が悪いとは片付けられない、人間の本質的な
    悪しき心を、作者はじっくりと見つめ、
    描いているような気がする。

    結末は、こうせざるを得なかったのかもしれない。
    重く哀しい物語であった。

  • 日系二世を主人公にした作品

    東京裁判の話が非常に印象的で外国人が日本人の弁護人となり法廷で闘う姿は国家を超えた正義や法の大切さを伝えてくれる

    ラストは最初はうまく理解できなかったし、今でもそう。
    やはり自分は戦争を体験してないし、ましてや二つの祖国の間で苦悩することもない、それを疑似的に体験させてくれるのが本の素晴らしさなのだろう

  • なんと救いのない。
    そういう歴史があるのだと知らなければならなかった

  • 考えさせられる。
    愛国心がない国で産まれ、育ったからこそ心に響きます。
    戦国時代の武士、江戸時代の侍、明治時代の志士、高度経済成長期のサラリーマンしかり自分の帰属する組織が自分のアイデンティティーになった時代があったのだなぁ。

    そして現代にはなぜそれがあまりないのだろう。

    良きも悪きも含め、自分の命をかけて信じられる、また命を左右するアイデンティティーや信念がある人たちの話は素敵です。

    きっとそう感じてしまうのはいまの自分にないからなんだろうな。

  • なぜそうなるのか・・・。アメリカめ。

  • 「鳥の将に死なんとする其の鳴くや哀し。人の将に死なんとする其の言ふや善し。」
    死を覚悟し従容たる態度で証人台に臨む被告の様様子。
    アメリカと日本、二つの祖国の狭間で揺れる日系二世を主人公とした長編小説の完結。物語そのものもさることながら、これだけ緻密に戦中戦後を描写した山崎豊子先生の取材力は圧巻。
    あとがきにもあったように、特に東京裁判で戦犯として裁かれる被告と弁護人、検事、通訳、モニターの描写は将に主人公の置かれた状況の如く重いプレッシャーを感じられていたようだ。上中下巻の内半分近くが軍事裁判で占められ、被告一人一人描かれている。
    (読むのはとても疲れる...)

    移民先での人種差別、真珠湾攻撃、強制収容所での生活、語学兵としての戦線活動、原爆、東京裁判。

    アメリカ国籍をもっていた日系二世の梛子が原爆症で死ぬ時の「私はアメリカの敵だったのか」という言葉。
    アメリカの正義と公平性を信じ忠実に職務を全うしたにも関わらず、日系二世であるが故に常にアメリカへの忠誠心を疑われ続けた主人公の「私には祖国を見つけられなかった」という言葉。

    敗戦国として裁かれるとはいえ、証人台に臨むことで法廷記録を残す、後世に見直されるべき証言を残す意味。
    改めて日本の歩んできた近現代の重さをかみ締める。

  • 裁判の解説が難解でした

  • 大長編、読むのに非常に時間がかかった。

    東京裁判の様子は詳しく、冗長とも思えるほど。
    しかし、この東京裁判の描写は、ここだけでも読んでよかったと思えるものであった。


    端的な感想は言えないほどの重量感。

  • 二次世界大戦が始まり、アメリカ在住の日系一世、二世の家族、アメリカにつくか、日本につくかで別れ、家族同士でも解り合えない辛さを書く。
    その後、二世の主人公は最愛の人も被爆してしまう「原爆」の後対応、日本人が戦犯として裁かれる「東京裁判」の裁判モニターとして日本とアメリカの間で苦悩する。
    第二時大戦を日系二世の視点で書いた著者の力作。

    二世にはこのような苦労があったのだな、また二次大戦の事を改めて知る。
    この著者の本に共通する正義感が強く、粘り強くタフだが、人間味に溢れ葛藤をする主人公の生きざまが胸に来る。

    自分の正義を曲げない勇気と、困難なことにも負けないタフさを教わる。
    何が主人公の原動力なのだろうか?私は「国」と言うものに、多くを期待していないので、「国に裏切られることのショックさ」と言う感覚がよくわからない。
    強い使命感がそうさせ、私には足りないところなのだろうか。

    前例のない国際刑事法廷での「事後法」により訴訟が提起され、また連合国側の戦争犯罪は裁かれず、この「裁判」は勝利国側の報復であると言う意見。

  • もっと知らなければ。

  • 再読。
    父なる国アメリカ、母なる国日本のために忠義を尽くした主人公・天羽賢治のあまりにも悲しい最期。報われない。
    2012.8.17

  • 東京裁判がクライマックスを迎え、主人公の人生も大きく転回します。

    誠実に生きようとした主人公が、東京裁判の理不尽さに直面し、さらに父祖の国の日本と、忠誠を誓っていたはずの米国、双方から厳しい試練を受けます。

    チャーリーや忠、と比べると、まじめすぎた印象の賢二ですが、そのラストはどう締めくくられるのか。

    どう生きるべきなのか、ちょっと考えさせられました。

  • 平成23年10月11日読了。

  • 上中下まとめて 二つの祖国の狭間で苦悩し、揺れる賢治の姿から、母国とは何をもってそう言うのか、単純に生まれ育った国が母国なのか、それとも祖先がいる国が祖国なのかわからなくなった。私にとって戦争は、知識として知っているだけで実感を伴わないもので、また持っている知識さえもたいしたものではない。強制収容所や差別的な行為の場面は目を覆いたくなったけど、そうしたものがあったこと、苦しんだ人たちがいたことは知っておかなくてはいけないと思った。

  • さすが山崎豊子さん!という名作。高校生のとき買ったのに5年以上たった今最後まで読みきった。

    二つの祖国を持ってる人ってすっごい憧れなわけですが二つの祖国をもっているからこそその二つの祖国が対峙しなければならなくなった時普通の人の限界を越える辛さがある。フィクションだけど実際そんな思いをせざるをえない人がいたのだなぁ~と思うといたたまれません。

    周りの人にも薦めたいそんな本。

  • 寫日系美國人的悲劇故事。主角天羽賢治是在日日本人二世,因為太平洋戰爭爆發,人生因而被撕裂,對「祖國」本身究竟是什麼的質疑持續到其人生的終點。他們一家先被關進集中營,後來賢治去參戰(弟弟則是戰場兵戎相見的日本兵),戰後擔任東京大審的翻譯。他最後以斷腸之思結束生命。
    裡面最溫馨,同時也是令人不忍再看的就是井本梛子和原爆的部分…好希望她活下去,或許結局就不一樣了吧。
    另,山崎寫東京大審的部分很精彩(整理得很有條理),這裡可以說是瞭解東京大審簡明易懂的入門書。

  • ロサンゼルスの邦字新聞『加州新報』の記者天羽賢治、ケーン。
    彼とその家族の運命を通し、真珠湾攻撃、ヒロシマ、東京裁判と
    太平洋戦争の荒波の中で身も心も切り裂かれながらも、
    愛と祖国を求め続けた日系人の悲劇を描いた感動巨編。

    山崎豊子を読むのは沈まぬ太陽以来2作目。
    例によって、本屋で平積みになっていたので、
    何気なく買っただけでしたが、またしても
    山崎豊子の世界に引き込まれました。

    父祖の国日本に対する誇り、そしてアメリカで生まれた
    ものとして、自由の国アメリカに対する誇り。
    二つの祖国に対する誇りの中で葛藤していく賢治。
    そして、正義を貫けば貫くほど回りには理解されない
    このジレンマ。

    先の戦争の中で、多くの人々が苦しみを味わいましたが、
    彼らほど数奇な運命をたどった人もいないでしょう。

    今まであまり詳しく知ることのなかった、フィリピンでの
    激戦の様子や東京裁判のことについても、彼女ならではの
    記述で詳細に知ることが出来ました。
    日経新聞で東京裁判の検証が特集記事になっていましたが、
    こっちのほうがその裏の人々の心情まで描かれていて、
    その場の雰囲気を感じることが出来ます。

    ちょうどこの本を読み終えたとき、靖国神社の
    すぐ近くで結婚式でした。翌日、なぜだか靖国参拝
    したいという気持ちになりました。

    それは二つの祖国の間に挟まれながらその人生を
    送った賢治の忠魂の気持ちなのか、激戦の中で
    日本の勝利のために命を捧げて逝った日本兵のことを
    思ってなのか、はたまた、勝者の裁きによって、
    死刑となったA級戦犯のことを思ってなのかは
    自分でもよく分かっていません。

    ただ一つ確かなのは、人々をこうやって引き裂いてしまった
    戦争を繰り返してはいけないんだというその祈りを
    捧げたい。そんな気持ちが芽生えたということだと思います。

    今また戦争歴史観が話題となっていますが、
    結果的には、アジア諸国に対して日本が侵略行為と
    取られる行為を行ったというのは覆しようのない事実です。
    しかしながら、その時々を生きた人たちにとって、
    自分の立場でそれぞれが正義だと信じる路を歩んだんだと
    思っています。
    国家のレベルと個人のレベルでは分けて論じるべきかと。

    http://teddy.blog.so-net.ne.jp/2008-11-02

  • 人は自分の力で解決や希望を見出そうとしてもそこにあるのは幻滅や挫折の繰り返しで、最終的に絶望に追い込まれてしまう。自分自身や家庭という小世界から、国家や国際社会といったマクロのレベルまですべてにおいて。
    キリスト教の信仰を持つわたしにとっては、やはり人を超えた神という存在抜きに希望は持てないって思う。ヒロコの言葉が細いけれども、確かな空気穴となって、窒息することから助けてくれているように。

  • 裁判の内容は記録的な内容で小説としてはどうかな。最後の終わり方はびっくりしたけど。

  • 3巻を通し、日本人、アメリカ人としてのアイデンティティの挟間という過酷な立場に置かれ続けた賢治の最後の選択が悲しくてやりきれなかった。

  • 2009/3/22開始
    2009/3/28読了

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