女系家族〈下〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.68
  • (81)
  • (112)
  • (167)
  • (13)
  • (3)
本棚登録 : 1102
感想 : 86
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104324

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いつ、どうギャフンとなるのかなと楽しみだったが、最後の最後でそうきたか。生前認知なんてできるんだ。宇一さんはまあひどいな。もっとも、そういう環境に置かれていれば自然と考え方も感化されていくのだろう。

  • (上下巻合わせてのレビューです。)

    久しぶりの山崎豊子。やっぱりテッパンです。

    姉妹3人の遺産相続にからみ、その周囲も巻き込んだドロドロ劇に
    読み手である自分もあっという間に飲み込まれていきます。
    山崎豊子のやり口が分かっているだけに、何となく先の展開が読めてしまいますが、
    それでも面白い小説であることには変わりありません。
    眠い目をこすって、あっという間に読んでしまいました。

    残念なのは、著者がもう亡くなってしまっていて、
    こんなにも素晴らしい小説にも作品数が限られているということ。
    もっともっとたくさんの小説を生み出して欲しかった。。
    全ての作品を読み切るのがあまりにもったいないので、
    チビチビ読み進めることとします。

  • 最後の最後での大どんでん返し。後書きでも書かれているが著者は緻密に取材を重ねてこの作品を仕上げている。それだけに登場人物それぞれの遺産に対する執着とそれを覆す伏線が見事に仕込まれている。読了後に晴々とした感じと共に興奮と衝撃が続いている。

  • 前半から中盤は若干読みづらかった部分もありましたが、最後の終わり方が爽快でした。

  • 上巻を読んでいた時、登場人物がことごとく金の亡者で、自分だけは得をしようともがく姿が見苦しく、興が乗らないなあと思ったけれど、少し時間を空けて頭が冷えたのか、面白くぐいぐい読めた。

    まず、金の亡者とはいえ、みんな小粒。
    結局世間知らずのプライドが高いお嬢様たちなので、泥をかぶってでも金が欲しい、ということにはならない。
    プライドよりも世間知を優先したら、弁護士なり中立な不動産業者に相談して、簡単に大番頭である宇市の横領は発覚したはず。

    登場人物の中で一番の悪党と思われた宇吉にしても、この程度の綱渡りな悪行なのよ。
    相手が世間知らずのお嬢さんたちだから、そして頭は良くても気が弱い養子婿だから強気に出ることができただけ。
    だって番頭から養子婿になった良吉は、下手すると宇市の下で働いていたんじゃないかしら。

    女系家族であろうと、男系家族であろうと、それが問題なのではない。
    お家のために個々が消費されていくシステムが醜悪なのだ。

    出戻りの長女も家業を繋ぐために養子婿をとった次女も、まだ独身の三女も、それぞれに一部屋ないし二部屋をあてがわれて、外出しないかぎりはその部屋で日がな一日を過ごすことになる。
    結婚するまではお稽古事以外の外出は認められない三女の雛子はもちろん、結婚しても家のことは女中たちがやってくれて、稼業は夫がやってくれている次女の千寿は、毎日何を思って過ごしているのだろう。

    遺産に執着した人たちは全員思惑が外れたわけだけど、一番ショックを受けたのは、長女の藤代だろう。
    長子であるというだけで何もせず遺産の大半をもらって当たり前というのは、昭和34年が舞台だとしても既に時代遅れの思想なのだ。
    それすらも知らず、井の中でしか通じない世界でトップにいたつもりになっていた藤代が哀れだ。

    財産より自由を求めた雛子がいちばん傷は浅いと思うけれど、結婚して幸せになれるかどうかは今後の自分次第。
    自由というのはそういうことだ。

    さて、嘉蔵はどういうつもりでかような遺言を残したのか。
    女系家族に対する恨みつらみは当然あるとしても、自分に対して酷薄だった娘たちのことをも憎んでいたのかしら。
    それとも、自分の力で生きていくよう促した父の愛情なのかしら。
    生きているうちに腹を割って話せなかった親子関係が、なんにしても残念でならない。

  • 2日で一気に読み終わった。山林の話は複雑で難しそうだったけど、当時の大阪の情景や名家の生活ぶりを楽しめた。最後はスカッと…かな?女系に生まれた3姉妹の執念を恐ろしいと思っていたけど、長年軽んじられてきた3姉妹の父の執念にも身震いした。

  • 下巻になって勢い落ちました。山林とかどうでもいいんだが、、最後は予想つく展開です。死んだお父さんが、藤代の別居とか、三女の結婚にも口出してたけどそんなの聞く必要ないのではと気にはなりました。

  • 一気読み。
    女はほんと怖いな〜。常に誰かが何かを企んでる家やだな。庶民で良かった。

  • 下巻一気読み。ラストはまるで法廷ミステリーのような鮮やかなどんでん返し。面白い!

  • おもしろかったー
    大地の子から豊子の本にはまり、今回も沈まぬ太陽等みたいに固い内容かなと思って読んだけどこれは違った。女+大番頭のどろどろの物語。
    関西弁が心地よく、リズミカルに読み進められた。一人一人のキャラクターが濃くて、いやらしくて、でも何だかんだ憎めないのはこの文体の効果かな?豊子の関西を舞台にした本をもっと読んでみたい。

全86件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

山崎豊子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
宮部 みゆき
東野 圭吾
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×