- Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104416
感想・レビュー・書評
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【感想】
入社10ヶ月で次長になり、戦闘機の受注抗争に身を粉にし、7年後には業務本部の常務へと異例の昇進を遂げる主人公・壱岐。
1巻では浦島太郎のような商社マン1年生だったのが懐かしく思えるくらいの成長っぷりですね。
部下の兵頭、海部、東京商事の鮫島など、1巻から出てきた魅力的な登場人物も活躍し、ますます面白くなってきました。
戦闘機の受注を巡って友人を失い、また最愛の妻をも亡くした壱岐に、これからどのような運命が待ち受けるのか、楽しみ!
【あらすじ】
商社マンとして生き抜くことを宿命と感じるようになった壹岐は、防衛庁の次期戦闘機選定に伴う商社、メーカーの熾烈な受注合戦に巻き込まれる。
国防のため、真に優れた機を採用させようと奔走するが、背後には次期総裁選をめぐる暗闘が横たわっていた。
壹岐は政界や防衛庁内の利害が複雑に絡み合う「黒い商戦」で水際立った手腕を発揮する。
しかし、その代償もまた大きかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『不毛地帯第2巻』
元陸軍大本営参謀のキャリアと人脈を見込まれた壱岐。
防衛庁の次期戦闘機選定をめぐる商戦に巻き込まれていく…
近畿商事を勝利に導く手腕を発揮するが…
一方で親友・川又を失うことになる…
やるせない…
そして、異例のスピードで常務へと昇進した壱岐。
イスラエル対アラブ連合の中東戦争へ。
現代はイスラエルのガザ侵攻。
ずっと火種を抱えている中東。
その根深さに驚かされる…
『今度は少しは、お国のためにお役に立ったのか』…
谷川の言葉に考えさせられる壱岐。
商社マンとして生きる壱岐にどんな未来が待っているのか…
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個人的な必要に迫られて読んでいるので、いまひとつノレないのだけど、1巻よりはおもしろかった。
2巻はロッキード事件をベースにした話なのかと思っていたけど、読み終わってから確認してみたら、ロッキード事件とつながっている別の事件、ダグラス・グラマン事件なるものが元ネタと知った。
こんな複雑な話をよく小説にできるなぁ、と超人を見るような気持ちで読んだ。すごい筆力。
国や、国の歴史を作っていくのは政治家だけじゃなく、商社もけっこうな役割を果たすんだな、などと子供の感想のようなことを思う。
ちなみに、小学校の頃、何かで聞きかじり、母に「ろっきーどじけん、って何?」と聞いたら「ピーナッツをな、一粒1万円くらいで政治家に売るねん」みたいなことを言っていて、「えっ、そんなん誰も買わへんやろ? なんでそれが事件なん?」と重ねて聞いたが、母はうわごとのようにピーナッツが、ピーナッツが、と繰り返すばかりで、結局私には何のことか分からないままとなった。おかげでロッキード事件と言われるとピーナッツ、と反射的に思い浮かびます。いまだにどんな事件かよく知らないけど。
しかし、今なら分かることが一つあります。
母よ、あなたもロッキード事件がどういう事件か、よく分かっていなかったのですね。
なぜ分からないなら分からないと正直に言わないのですか・・・。
ちなみに、同じく小学生の頃、トーベ・ヤンソンの『楽しいムーミン一家』を読んでいて、誰かの入れ歯だか何だかが、飛行鬼(ひこうおに)の帽子の中で何か恐ろしいものに変化したのだが、それが何だったかは明記されておらず、「何に変わったかはあなたのお母さんに聞いてください。きっと知っていますよ」と書いてあったので、そのまま素直に母に質問したら、
「そんなもん、知るわけないわ!!!」
とめっちゃくちゃキレられました。
そのあたりから、母に何か質問するのをやめた気がする。
閑話休題。
さて、政府による大型海外発注案件に群がる総合商社と、政治権力闘争のために資金集めに奔走する政治家との癒着、男の世界だなぁ、としみじみ思う。
・・・というと、女性の能力を軽視しすぎる発想かなぁ。
でも、私にはそんな世界を泳ぎ渡るのはとても無理と思ってしまった。
壹岐が妻に何も言わない気持ち、ちょっと理解できる、などとも思う。妻側の立場からすると、もっと信頼してほしいって感じなんだけれど。
後半、「戦後」という時代が終わって、私的にはここから本番、という感じで気分がちょっと盛り上がってきた。次号、さらに期待です。 -
2018年12月23日、読み始め。
51頁まで読んだ。
2019年1月1日、読了。
この作品は5巻まであるので、まだ半分も読んでいない。最後がどうなるのか楽しみであるが、いまのところ、全く予想できぬ。 -
内容紹介
拷問、飢餓、強制労働――地獄のシベリアから生還した男。
商社マンの孤独な戦いを通じて戦後史を活写する記念碑的長編。
大本営参謀・壹岐正は、終戦工作に赴いた満州でソ連軍に抑留される。
酷寒のシベリアで、想像を絶する飢餓と強制労働に11年にわたって耐え抜き、
ついに昭和31年、帰還を果たした。
その経歴に目を付けた近畿商事の社長大門の熱心な誘いに応え、
第二の人生を商社マンとして歩むことを決意。
地獄の抑留生活の傷も癒えぬまま、再び「商戦」という名の新たな戦いに身を投じる。 -
2巻からは、主人公が商社で活躍し始める。
小説のモデルとなっている商社は伊藤忠。
そして、主人公のライバル会社は現在の双日のこと。
本作はロッキード事件をもとにしているのかと思っていたが、対象が戦闘機のため、現実にあった事件は、ダグラス・グラマン事件のこと。
しかし、ロッキード事件、ダグラス・グラマン事件が発覚する前に、この小説は連載されていたらしいから、山崎豊子先生の先見の明には驚かされる。
もしくは、本作の取材の過程でこれら事件の前兆を掴んでいたのか。
現実には、ロッキード事件は丸紅、ダグラス・グラマン事件は、双日だから、伊藤忠は検挙されなかった。
当初は、自分の軍歴を商社の仕事に利用することに抵抗していた主人公だが、政治家と軍官僚の癒着を目の当たりにして、自ら戦闘機の商戦に乗り込む決意をする。
結果的に、主人公会社は勝利して、主人公は異例の出世を果たす。
しかし、この異例の措置が社内の反感を買う。
次巻以降は、社外のみならず、社内の敵とどう折り合いをつけて商戦に勝ち抜いていくかが描かれている。 -
感想は最終巻に。
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商社マン見習いから、商社のエースに。
目の前にあることを信念持って進めている、結果も出している、商社マンとしては自他共認める優秀さ、のはずなのに、周りが不幸になったり、社内の軋轢を感じたり、自分がやっていることや進んでいる道に疑問が生じる。
1巻目とは趣異なる第2巻。面白い。 -
時期戦闘機FXバトルに勝利するも、防衛庁の元同期が自殺したり色々悲しい感じからの、8年経って取締役常務へ大出世。社内から嫉妬されたり疎まれつつも、頭脳集団を作り上げ中東戦争をぴたりと当てて大儲け、くらいで終了。いちいちドラマチックかつほろ苦くて、確かにこれは面白い。さてこの先どうなる。