次郎物語〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 下村湖人
  • 新潮社 (1987年6月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101105093

次郎物語〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 読んで良かった。ちょっと自己愛が強すぎる。しょうがないのだとは思うのだけど。そして、続きが読めないことへの寂しさがある。でも、大丈夫。

  • 最後の第5部。中学以降の次郎の話。朝倉先生が塾を務める青年塾での話です。青年を育てる。当時の軍国主義下では、軍部は号令のもと命を惜しまない青年を育てることこそ、日本国の為であると主張。そういう世論が強まっていく中、人間として成長することを目的とする友愛塾を展開する朝倉先生。そこに付き従い、助手を務めていく次郎だが、兄を慕う道江との恋愛との間で道に迷う。
    未完とはいえ、5部は最後まで書かれ終了しています。
    読んで良かったし、この本に出会えてよかったと思える本でした。
    5部最後の次郎の日記が、非常に感動したので抜き書きします。

    『僕は、中学一年にはいって間もないころ、しみじみと人間の運命というものの不思議さに思い至ったことがあった。それは、朝倉先生にはじめて接することができた時の喜びの原因を、それからそれへと過去にさかのぼって考えていくうちに、ついに、ぼくがお浜(乳母)の家に里子にやられたのが、そもそもの原因であることに気がついた時であった。ぼくは今あらためて同じようなことを考えないではいられない。というのは、ぼくが中学を追われたのも、友愛塾の助手になったのも、また、田沼先生の人格にふれ、大河無門という友人を得、全国の青年たちと親しむようになったのも、そしてさらに、悲しみと憤りをもって友愛塾に別れを告げ、自身のない新しい生活をはじめなければならなくなったのも、すべては朝倉先生とのつながりにその原因があり、もとをただせば、やはり里子ということにその遠因があると思うからである。
    道江の問題を考えてみてもやはり同様である。ぼくが道江を知ったのは、大巻との関係からだが、その大巻との関係は、今の母によって結ばれており、今の母がぼくの家に来るようになったのは、正木の祖父が僕の将来を気づかって父にそれをすすめたからのことであった。そして、ぼくがその当時将来を気づかわれるような子供であったのは、やはり里子ということにその遠因があったのだ。
    里子! 何という大きな力だろう。それは現在の僕のいっさいを決定しているのだ。僕の生活理想も、恋愛も。……そしておそらくそれは将来にもながく尾を引くことであろう。いや、あるいはぼくの一生がすでにそれによって決定されてしまっているのかもしれないのだ。
    こう考えて来ると、人間の自由とは一たい何だろう、とぼくは歌が側図にはいられない。おsれは円の中心から、自分の欲するままに、円周のどこへでも進んでいけるというようなことでは、絶対にない。おそらく、円の中心から円周に向かって、ほとんど重なりあうように接近して引かれた二つの線の間のスペースを、わずかな末広がりを楽しみに進んでいけるというにすぎないのではあるまいか。もしそうだとすると、それは自由というよりも、むしろ運命とよんだほうが適当だとさえ、ぼくには思えるのだ。
    だが、ぼくはまた考える。もしもぼくが、そうした運命感にとらわれて、正しく生きるための努力を放棄するならば、ぼくは円周のどの一点にも行きつくことができないであろう。ぼくにとって今たいせつなのことは、運命によってしめつけられた自由の窮屈さを嘆くことではなくて、そのわずかな自由を極度に生かしつつ、一刻も早く円周の一点にたどりつくことでなければならないのだ。ぼくには、このごろ、やっと一つの新しい夢が生まれかけている。それは、円周の一点にたどりつきさえすれば、そこから円周のどの点にも自由に動いて行けるのではないか、と思えて来たことだ。どんな偉人にだって運命はあった。かれらがその運命を克服して自由になり得たのは、運命の中のささやかな自由をたいせつにし、それを生かしつつ、円周の一点にたどりつくことができた時ではなかったろうか。ぼくにはそう思えてきたのである。』

  • 第5部は半世紀前に書かれたものだけど、続きを読みたいなと感じます。もっと若いときに読めば良かったと思うけど、2部から5部は、まぁ50過ぎになったけども読んで良かった。

  • レビューは上巻

  • 次郎の物語。
    とにかく長い。
    物語の終わり。

  • 破滅へと突き進んでいく日本の時勢への怒り、痛切な片思いの苦悩とで、これまでの鍛錬を公式的教訓とまで嫌疑してしまう次郎・・・。この苦難を、そして終戦後の日本をどのように次郎が生きていくのか?未完の作品とは知りながらやはり読みたいと思ってしまいます。

  • 人間にとって大切なこと、必要なことが濃密にぎゅむっと詰まっているように思います。とくに五部なんか、今の時代を生きていてこれを読めて良かったとまで思う。すべての人に全力でお勧め。

  • 大人になってから読みました。
    きっかけは、新潮社文庫ではなくてDSの文学全集にて。読み始めはそれほど心惹かれなかった作品ですが、読み進めていくうちに続きが気になって一気に読み込みました。
    人生や生き方の力強い精神が息づいていて、現代の物にあふれて希薄な感情に水をかけられたように衝撃的でした。
    いくつもの名文があり、今も心の片隅にとどめるようにしています。

  • 次郎物語上 を参照のこと。

  • 「ぼくは、人間の心の自然さというものは、その人のつきつめた誠意の中にあると思うんです。」

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