半生の記 (新潮文庫)

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著者 : 松本清張
  • 新潮社 (1970年6月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109121

半生の記 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 実に誠実で素朴な私小説。
    清張が何ゆえに 文学の道に進んだのか
    本のわずかな動機だった。
    その動機を最大限活かした。

    清張が、印刷の下働きをしているときも
    朝日新聞に勤めているときも
    『なにかがたりない』『なにかがむなしい』
    と感じながら生活していた。

    しかし家族の生活を支えていかなければならない
    という二つの労働が必要だった。
    清張の常なる向上心というべき姿勢が
    文学史に 残る実績を作り上げた。

  • ブルー。暗すぎる。でも、この暮らしぶりと、貪欲な読書精神が、本人の血肉になっているのは間違いない。それと、もっとひどい環境と異常な執着があっても大成しない人は世界中に数えきれないほど存在することも忘れてはいけない。これは研究対象にならないか?

  • 2009年…太宰治生誕百年の年、
    ボクは、太宰が入水自殺した玉川上水をたどり、
    三鷹の禅林寺に墓参した。太宰の墓の前には、
    森林太郎…森鴎外の墓がある。

    太宰と鴎外…およそかけ離れた作家を
    つなぐかのように感じられるのが松本清張だ。
    松本清張は太宰と同年の生まれ…しかし、
    清張が作家として世に出たとき、すでに太宰は亡かった。

    清張が太宰を知らなかったはずはない。
    しかし、太宰に関して書いたものをボクは知らない。
    その一方で、鴎外を描いたものは数多ある。
    その秘密を知りたいと思った。

    折しも、今年…2012年は、鴎外生誕150年、清張没後20年にあたる。
    清張が作家になるまでを知りたくて本書を手にしたのだった。
    あとがきにこう記されている…
    -いわゆる詩小説というのは私の体質に合わないのである。

    たしかに本書で、きらびやかな青春が描かれることもなく、
    ドラマティックな成功譚が綴られるわけでもない…のだけれど、
    だからこそ、清張作品の虚構が照射するものは、
    真実をつまびらかにしているように思われてならない。

    今年の夏…清張が鴎外に関して書いたものを読みながら、
    二人の足跡をたどってみようと思う…清張が育ち、
    鴎外が暮らした小倉…鴎外の出生地・津和野…
    ボクの旅の愉しみは、頭の中でまわりはじめてるんだ。

  • 仕事のため、読書会に出席できず、本日読了。とても面白かった。会のみんなはどんな感想を持ったのか、聞きたかった。

  • 貧困と孤独に苛まれた40歳頃までの自伝。コンプレックスに打ち克つ強さを実感した。11.10.22

  • 「砂を噛むような」孤独で呪縛された半生を淡々と書いてます。終戦後の経済状況とかは今からだとなかなか想像しづらいですが、その孤独については現代のひとたちにも訴えるものが大いにあるんじゃないでしょうか。私も清張先生の孤独が手に取るようにわかる気がしました。

  • 貧しい印刷工時代、差別された新聞社時代、出兵から敗戦。
    貧困と孤独の半生を淡々と語る。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4101109125
    ── 松本 清張《半生の記 19700625 新潮文庫》
     
    ── 松本 清張《半生の記 196610‥ 河出書房新社 19700625 新潮文庫》
    …… 松本 清張《回想的自叙伝 196308‥-196401‥ 文芸》
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20020804 清張紙碑

  • <span style="color:#000000"><span style="font-size:medium;"> 何年前だったか、ある雑誌で、これまで刊行された本の部数をもとにした、ベストセラー作家のランキング及びその解説が載っていた。

     一位は、松本清張。当然だわな。私もいくつもその作品を読んでいる。短編、長編ともに何度も読み返したものもある。

     「カルネアデスの舟板」や「真贋の森」、「張込み」なんて何回読み返したか。「西郷札」や「或る「小倉日記」伝」は、清張の初期の作品なんて信じられないくらい練りこまれている。

     そんな中、清張作品の内、一冊だけ選ぶとするならば、私は、迷いながらも「鬼畜」をあげる。いや、一旦「鬼畜」と決めてしまうと、絶対、これしかないという思いになる。
        ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
    <img src="http://yamano4455.img.jugem.jp/20081119_535063.jpg" width="160" height="160" alt="鬼畜" style="float:left;" class="pict" /> <span style="font-size:small;">「鬼畜」(松本清張著)</span><br style="clear:both" />
     竹中宗吉は印刷の職人である。いくつもの印刷会社を転々としながらもその技術を高めていった。そのうち、ある印刷会社で知り合った女「お梅」と結婚。一念発起、独立し自分の会社を持ち、従業員を何人か抱えるまでになった。

     そんな余裕ができるうち、行きつけの小料理屋の女中と関係ができ、別宅を構え、別の家庭を持つ。子供も三人生まれる。

     現代はもちろん、この二、三十年前であってもあり得ない話であろうが、清張作品の多くは、戦後間もない時代を背景としている。決して少なくはない話であったようだ。

     それに、印刷会社を変わりながらも技術を高めていくというのは、機械化が進んだ現代ではあり得ない。職人個人の技術が当てにされた時代。つまり、高度成長期前の時代背景であることが分かる。

     宗吉にとってそんなうまい事は長くは続かない。まず、宗吉の工場の隣家で火事が起き、延焼で印刷工場も焼けてしまう。その再起を図った矢先に、同じエリアで最新式の機械を備えたライバル会社の出現。宗吉の事業もなかなか立ち行かなくなりながらも、何とか苦労をしてやりくりする。

     当然、別宅へお金を入れる事も滞りがちになる。ついに、意を決した女は、子供三人を連れて宗吉の自宅へ直談判に行く。

     宗吉の妻お梅は、気が強い。女や子供のことは歯牙にもかけない。宗吉は、双方に対して後ろめたさもあり、ただ、おろおろするばかり。無為に時間が過ぎる。

     夜になる。それまで、尋常ならざる事態を感じ、泣いてばかりいた7歳長男利一と4歳長女良子は、そのまま板の間に寝入ってしまう。2歳の次男庄二は背負われて寝たまま。

     一向に進展しない話。強気のお梅、おろおろするばかりの宗吉、変わらない夫婦それぞれの態度。そんな様子に業を煮やした女が、仁王立ちになり声を張り上げる。

    『 「畜生。おまえたち夫婦は鬼のようなやつだ。それでも人間か。そんなにこの男が欲しかったら、きれいに返してやる。取られぬようにするがいいよ」
     「そのかわり、この子たちは、この男の子供だからね。この家に置いていくよ」』

     すっかり寝入っている子供三人を打ち捨てて、女は宗吉の家を出て行く。宗吉、あわてて追いかけるも女の姿はすでに見えない。その後、女はすっかり姿を消してしまって、ようとして行方は知れない。一人目の鬼畜。

     宗吉は自... 続きを読む

  • 昭和の大作家、松本清張が松本清張になるまでの半生。地位を確立してもなお、にじみでるコンプレックスに「人間・清張」を見る事ができます。

  • これも「清張入門セット」。『西郷札』『半生の記』を読んでから『砂の器』を読もうよ。この入門セットを読んでおくとおもしろさが断然違ってくるはず!

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