黒い福音 (新潮文庫)

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著者 : 松本清張
  • 新潮社 (1970年12月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (699ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109138

黒い福音 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  同じ教団に所属する者として戦慄したのは、本作によってではなく、当時の週刊誌のインタビューに載ったある女性作家のコメントである。
     司祭による殺人(容疑)というセンセーショナルな事件に対し、この作家は以下のように述べている。
     「神父様の瞳をご覧になって下さい。澄み切った美しい瞳です。決して人を殺せるような方の目ではありません」

     ベルメルシュ神父(作中ではトルベッキ神父)は2009年時点でカナダの地元の名士として存命中であった。この事件についてはノーコメントを通し、死者への哀悼のことばはなかったと聞く。

     なお本事件に関し、日本のサレジオ会(作中ではバジリオ会)でも真相を曖昧にした当時の教会当局のあり方を批判する声があることは明記しておきたい。

  • ある日本人スチュワーデスの殺人事件を追ううちに、教会の闇物資や麻薬取引にも事件と関係があることがわかってくる。事件を追う警察や新聞社だが、教会の閉鎖的な慣習と戦後間もない日本の立場の弱さが、犯人逮捕の道を閉ざしていく。実際に日本で起きた事件をもとに描かれた小説。信仰の名の下に、教会のためなら善悪の判断もつかなくなってしまった神父たち。神父は悪いことをしないという前提のもと、擁護する信者たち。何かがおかしいのにそこがわかっていないその感覚。わたしが宗教に何となく苦手感を持っている理由がそこにあるような気がする。

  • この作品は、昭和34~35年に書かれたもの。
    清張が50歳位の時に書かれた作品である。

    日本人スチュワーデス殺人事件という実際にあった事件をヒントに書かれたもので、当時としてはタイムリーな作品であり、それなりに読まれたようである。

  • 実際にあった未解決事件を元に書かれた小説。綿密な取材を元にストーリーは展開されていく。著者は死体のあった現場等にも足を運んだそうだ。事件は俗に言うスチュワーデス殺人事件。容疑者には教会の神父があがったが、裏に潜む闇の人物、教会とのつながり、どれも確信に近いものだったのに当時の時代背景によって、国際問題に発展する可能性を秘めたこの事件は慎重に扱わざるを得なかった。モタモタしているうちに容疑者は国外へ。事件は闇の中へ葬りさられてしまった。この小説が事実に近いものならば…殺された被害者は一体どういう気持ちの中、死んでいったのだろうか。死に顔は穏やかで笑みを浮かべているようだった。とあるが最後まで愛を信じたのだろうか。

  • 実際の事件を基にした作品。
    いつの時代にも本来行く場所に行くものを
    くすねる愚か者は存在します。
    こともあろうか、それが「聖職者」だったのです。

    しかも聖職者どもは
    平然と禁忌を破り、快楽にふけっていたわけで。
    もう神って何?となってしまいますね。

    結局のところ女におぼれた男は
    その女を悪事に加担させることに失敗し
    抹消するという悲しい事態へと落ちます。
    ただし、その男か?というと疑問で。

    日本が敗戦国だったことで起きた
    痛ましい事件です。
    でも、こんなことがあっても
    人は弱くて、過ちを繰り返すんですよね。

  • 解説を含むと文庫で699ページに渡る長編でありますが、
    読み始めるとどんどん気になり、第二部はほぼ一気に読んでしまいました。
    先日、三億円事件と黒い福音がドラマスペシャルで行われていて、
    そこで気になった原作本。
    ドラマでは、第一部がほぼ割愛され、ビートたけしさん演じる
    刑事たちの視点がメインとなっていたので、
    原作を読むとトルベック側の状況がよくわかりました。

    宗教組織を守る、という一点で、その目的のためなら
    麻薬の密輸までも行う。
    トルベック神父、ルネ・ビリエ神父の欲望に負けて破戒の日々を
    歩むのに、それをうまく自分のなかでごまかして、納得させて
    悪事を働く姿を見て
    宗教組織というものに属することへの恐怖を感じてしまいます。
    正義をふりかざせる立場の危なさよ。

    「聖職者が人殺しをするうなどと考える奴らは、魂に悪魔が棲んでいます」

    といいますが、夜ごと女性と肉体関係を持ち、砂糖、麻薬などの密売を繰り返す
    聖職者は、悪魔そのものではないのでしょうか。

    結局、首相が、控えているヨーロッパ外交への影響も考え、
    犯人であるトルベックや関係する人物を国外へ。

    検索すると当時の首相である岸信介は、ノーベル平和賞候補に推薦されていたとか。
    全体の権益を考えたら、1人の人殺しなどどうでもよい、という人が
    ノーベル平和賞受賞にならなくて良かったと思います。
    小説ではありますが、事実もほぼ等しいと、私は考えますので。

    警察の現場レベルで頑張っても、上層部からの圧力で悔しい思いをする。
    こういう物語は、昔も今も変わらないことが残念です。

    松本さんのこのジャンルの他の作品も読みたいと思いました。

  • たけしのドラマを先に見たので、原作が読みたくなって読みました。ドラマが先だったので特に違和感もなく伏線なども分かってよかったです。
    竹内結子演じる江原の役が、あまりに原作と違い過ぎたのに笑えました。

    それよりも何よりも久しぶりの松本清張が面白かったけど時間がかかった。
    文章が今どきの作家と違ってきちんとしてるけど堅苦しい。でも読みごたえはある。

  • ビートたけしのドラマを見た。
    ふつうにとってもおもしろかった(o´▽`o)

    ただ・・・・・・・暗いw 画面がwww
    わたしのテレビの問題じゃないはず・・・w
    すごく見づらかったwwww

  • ビートたけしのドラマを見ました。レトロで地味・・・と思ってたら、実在の未解決事件!?とエンドロールで気付く。とたんに見方が変わった。踏み込めない教会、外国人、密輸に集団で手を染めた外国航空会社・・・戦後日本はなんて混沌としていたのか。

  • 社会派松本清張の憤怒がこの作品を生み出した。

    50年前の日本人スチュワーデス殺人事件を扱った本書は

    終戦後の日本の国際的地位の低さと

    勝戦国から流入した、人、物、金、そして思想がいかに敗戦国である日本に影響を及ぼしたのか、教えてくれる。

    清張の取材力と、原動力となった怒りが、本書を映えさせている。

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