死の枝 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.67
  • (8)
  • (20)
  • (26)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 185
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109329

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この作品集は、昭和42年(1967年)頃に書かれたもののようだ。
    つまり、清張が58歳位の時に書かれたものだ。

    収められている作品は、

    ・交通事故死亡1名
    ・偽狂人の犯罪
    ・家紋
    ・史疑
    ・年下の男
    ・古本
    ・ペルシア測天儀
    ・不法建築
    ・入江の記憶
    ・不在宴会
    ・土偶

    この中では、年下の男が良かったか。
    時代のずれはあるものの、現実にありそうな内容だったので。

  • 短編集は基本的には好きではないのですが、この本はかなり楽しめました。特に「家紋」と「入江の記憶」が良かったです。余韻の残る終わり方にゾクッさせられます。

  • 社会派推理小説の巨匠による短編集。短編という事で致し方ないが過去の旧悪が及ばぬところから発覚して御用になる(もしくは暗示される)パターンが多い気もする。
    都市伝説的に聞いたことがある話、『家紋』が掲載されている。真相はさておき時間差で家族を皆殺しにしようとする犯人の行動は怖い。田舎ではこの様な世に出ない未解決事件が多かった事が推察される。

  • 松本清張の連続短編集。どれも独立した話になっていて 登場人物はどこにでもいそうな人物だが犯罪に染めていく状況や動機が書かれており、非常に読みやすい。なかでも、「家紋」「ペルシアの測天儀」が読み終わった後余韻ががあっていいと思う。30ページぐらいの短編だけどおすすめです。

  • 昭和42年発行の短編集。

  • 「家紋」がツイッターのTLで、恐い短編小説として多くの人が挙げていたので手に取った。意外にもトラウマになるほどのインパクトはなく、むしろ他の短編の方が面白かった。有名な未解決事件「赤ゲットの男」がモデルの小説としては最高峰だとは思う。

  • 以前、『オカルトクロニクル(サイトの方)』で「青ゲット事件」を読んだ時、松本清張がその事件を元に「家紋」という短編を書いてあると知り、読んでみたかった本。
    ただ、「家紋」はややイマイチだったかな?
    雰囲気等はいいんだけどなぁー。
    というのも、雪代の思うその人が犯人だったとすると、市之助も美奈子も、そして隣家のお房もその人をおそらく知っているわけだ。
    だとすると、いくら街灯がない暗い中に頭巾をかぶっていたとしても、ちょっと無理があるような?
    確かに明治のこと(「家紋」ではいつの事か書かれていない)だから、いくら廃仏毀釈の世とはいえ、寺の権威はまだまだ相当あったとは思う。とはいえ、2人殺され(実際は3人だったらしい)、子供も殺されるところだったというとんでもない事件で口をつぐんじゃうものかなぁーと思ってしまうのだ。
    冒頭の“信仰のために信徒の間に共同防衛意識が強く、聞き込みが困難だからである”という地域の状況は理解できる。でも、そういう地域なら、そういう地域ならではの自浄力みたいなものがあるんじゃないのかなぁ…。
    ま、その時代もその地域の状況も知らない現代の人が現代の常識であれこれ言っても意味のないことなのかもしれないが。

    この『死の枝』には11の短編が収められているが、いずれもひょんなことで事件が発覚したり証拠が現れたりという話になっている。
    意外な面白さだったのが「史疑」。
    ある地方の古文書収集家が持っているという、幻の古文書「史疑」。
    それを見て論文を書きたい学者がその収集家の元に訪れるものの、収集家は偏屈なのか決して見せようとしないという前半。
    後半は、若手の学者がそこを訪れるのだが、ひょんな流れで事件が起きてしまう。
    ひょんな流れで起きた事件は、さらにひょんな展開へと進み。そのひょんな展開で起きた出来事が数年後、やっぱりひょんな事をきっかけにある人にひょんな疑惑を抱かせる…という、いわゆる「偶然が多すぎ!」と嫌う人も多そうな話なんだけどさ(笑)
    とはいえ、世の中って、実際にはこの手の偶然で出来事が成り立っていることが多いわけで、これは長編で読んでみたかったなーと思った。
    (名探偵…、といっても探偵は実際にはいないから名刑事というのはそういう偶然を引き寄せる執念を持った人なんじゃないのかな?)

    偶然といえば、最後の「土偶」も偶然(たまたま?)が起こしてしまう事件だが、これは怖いなぁー。
    このパターンで起きている事件って、実は世の中の事件のかなりの割合を占めているんじゃないだろうか?
    そういう意味でも怖いんだけど、事件を思い起こさせる土偶がなぜか犯人の元に集まってくるその状況は、ある意味死者の祟りのようで、そっちの意味でも怖かったと(笑)

    松本清張って、愛想のカケラもないみたいなところがあるんだけど、読みながら想像を膨らませていくと妙なユーモアが滲みだしてくるところがあるような気がする。
    ブツ切りでぶっきら棒な文章のくせして、所々やけに鮮やかに情景を浮かばせる点とか(「家紋」の最後の方、向こう岸を真典が歩いていく様子を雪代が見ている描写なんて、もお…!)いい、こういうのを「巧い」と言うんだろうなぁー。

  • 松本清張、4冊目。
    黒い画集よりもさらに短編が11編。
    今まで読んだものは、割と最初に事件が起こり、その謎解きの部分のじわじわ感が楽しめたが、この短編集は、事件が最初に起こるのはおなじだが、逆に謎解きはあまりせず、犯人の目星がつくあたりで、あとは読者の想像に委ねている。
    そのあたりが、今までとは一味違う心地よい読後感だった。
    また、短編でありながら、その中の時間軸は決して短くなく、そこもリアリティを感じられたのかもしれない。

  • 11篇の短編集。様々なシチュエーションでの殺意、捕縛への怯え。事件解明まで何年も経って破滅に落ちていくというのも特徴。13.3.23

  • 偽狂人の犯罪、家紋が特によかった。
    結構ひとは簡単に殺人を犯すものなのかなー

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松本清張の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×