- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101109480
感想・レビュー・書評
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久しぶりに読んだ松本清張氏の小説。
短編が読みやすくて好き。捜査が間もなく容疑者へ及ぶであろうという所で終わるのが良い。
本書もとても読みやすかった。
特に「小説3億円事件」は興味深く読んだ。これが迷宮入りの事件の真相か?と思ってしまった。
解説によると、「初歩段階の捜査の中に、空白地帯があることを指摘し、その見落としの理由も探っている。皮肉な言葉から、この事件捜査に関する作者の批判だとも言える。この事件の影の部分を私たちに教えてくれる。」と。
なるほどー。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古い作品ですが、違和感なく読むことができました。
短編集でありながら人間の深層心理をついているというか、考えさせられるものがあります。
けれど、人を殺めるほどの感情って本人にとっては重大なことでも傍からみたら本当に自分勝手。
そんな行為に走ってしまった登場人物には憤りよりも哀れみの気持ちを持ちます。
3億円事件について興味深い仮説(推理)を立てていた点も引き込まれました。
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指:以前、TVで見た事があるような気がする。ちょっと出来すぎの感じがあるがストーリーとしては面白い。
水の肌:ミノルタ光学?諏訪湖?鉄道は出てこない。超エリートの優越感を維持する為の悲しい性か、こうはなりたくないものだ。
小説3億円事件 まあまあかな~、独自の推察は面白い。
疑視:てっきり犯人は主人と思ったが違っていた。
あとがき:人間の心理にひそむ弱点が、その環境とからみあう事によって、犯罪をも公正し、それらの人間の破滅にも通じる事を示している。前半生の苦労の多い生活をとおして、人間心理の諸側面を知り、身の安全を守ろうとするために、悪の道にふみみこむ男女や、運命のうけとめかたを誤って、自分の軌道までくるわせてしまう人の姿を多多く目にしながらそうした弱点をひそませた人間というものにふかい感心を抱いたに違いない。 -
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uwakai さん。コメントありがとうございます!
あとがき、凄く良かったですよねえ。僕がこの作品を読んだのが、既にだいぶ昔なので、、...uwakai さん。コメントありがとうございます!
あとがき、凄く良かったですよねえ。僕がこの作品を読んだのが、既にだいぶ昔なので、、、どんな内容の小説だったのか、そしてどんなあとがきだったのかが、既におぼろげになってしまっており、誠にお恥ずかしい限りですが、、、
自分が感想で「あとがき、面白かった」と書いているということは、そこにはきっと、自分の心の琴線に触れる何かが書かれていた筈、なのです。機会があれば、ちょっとあとがき、読み返してみようと思います。思い出させて頂き、ありがとうございました。
2022/08/23 -
コメント、ありがとうございます。この解説は松本清張の文章を非常に良く分析して書かれていると思います。
私も彼の作品には天性の悪人はあまり出...コメント、ありがとうございます。この解説は松本清張の文章を非常に良く分析して書かれていると思います。
私も彼の作品には天性の悪人はあまり出てこない。名探偵などは登場しない、同じ人間の次元で描いている、、、、等、なるほどと合点がゆきました。2022/08/24 -
uwakai さん
後書き解説を書かれた、尾崎秀樹さんは、きっと松本清張の作品をしっかり読み込んで、しっかりと愛しているんでしょうね。...uwakai さん
後書き解説を書かれた、尾崎秀樹さんは、きっと松本清張の作品をしっかり読み込んで、しっかりと愛しているんでしょうね。愛情のある的確な解説って、良いなあ~って思いますよね。
わたしも、自分の大好きな小説を、尾崎秀樹さんのように評する事ができるようになりたい、そう思いながら読書する日々です。2022/08/24
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「松本清張」の短篇ミステリ作品集『水の肌』を読みました。
『蒼い描点』、『渦』に続き「松本清張」作品です。
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平凡な日常に潜む、黒い転機!!
周到な合理主義のエリート会社員はなぜ転落したのか。
傑作短編5編。
妻の実家の金で留学した男が旅先で資産家の娘と知りあい、妻の前から蒸発する。妻に落度があれば離婚は成立する。
私立探偵を雇い、秘かに動向を監視し続けるが、その妻が知らぬ間に、軽蔑していたかつての同僚と再婚していたのを知った時男の心に理不尽な怒りが湧く。
表題作をはじめ計りがたい人間の愛憎と欲望をテーマに、現代社会の不確実な内面を抉る推理小説集。
全5編を収録。
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次々と読みたくなってしまう「松本清張」作品… 本短篇集に収録されている短篇も、名作、傑作が多いことから、既読作品や映像化されて観たことのある作品が含まれていましたが、思い出しながら、愉しく読めました。
■指
■水の肌(原題:沈下)
■留守宅の事件
■小説 3億円事件 「米国保険会社内調査報告書」
■凝視(原題:視線)
■解説 尾崎秀樹
『指』は、洋裁の技術を持ったバアのホステス「福江弓子」が、偶然によって幸せを手にするが、同時に偶然による不幸をはらんでしまう物語、、、
目白台の高級マンション楡館(エルム館)に住むバアのマダム「生方恒子」と偶然に知り合った「福江弓子」は、恒子のパトロンである会社社長「小沢誠之助」の公認のもと、彼女と同性愛の関係を持つが、その関係を絶った後、「小沢」と「恒子」は相次いで死亡… その後、「弓子」は「小沢」の息子「潤二」と偶然に出会い、婚約するが、「潤二」が用意した新居は、偶然にも楡館の同じ部屋であった…。
新居への入居前に楡館を訪れた「弓子」は顔見知りで「恒子」との関係を知る女性管理人「細井ヨシ子」を訪ねる… そこには、「恒子」が飼っていたチワワ(小説ではシーワワーと表記)が飼われており、チワワも彼女のことを覚えていた、、、
「弓子」は忌まわしい過去を捨て去るために「ヨシ子」とチワワを洋裁で使う巻尺を使って絞殺… これで「潤二」との幸せな生活が訪れると思われたが、ある日、「潤二」がチワワを連れて帰ってきたことから、歯車が狂い始める。
いやぁ… 怖かったですねぇ、、、
物語に引き込まれつつも、利己的な殺人(殺犬)の犠牲になった登場人物(犬物)には同情しちゃいましたね。
『水の肌』は、ある企業が引き抜き目的で興信所に依頼した「笠井平太郎」という男の調査報告書から浮かび上がる同人の像を描いた物語、、、
「笠井」は優秀な成績で某大学の理工学部及び工学部を卒業、大学院に学び、M光学に就職した技術者だが、不況の光学業界に失望してD自動車のコンピューター部門に転職、さらに研究のために退職してアメリカへ渡った… 自尊心が極度に強く、利己的で否妥協的な「笠井」は、アメリカの技術力の高さに挫折を味わい、自負心が破壊されてしまう。
アメリカでの生活に挫折した「笠井」はヨーロッパに向かうが、そこで関西の資産家で建築会社の社長の娘「香月須恵子」と出会い、彼女と結婚して、新会社の専務の地位を得ようと目論むが、そのためには、妻「房子」と離婚する必要があった… 「笠井」は、帰国後、妻のもとへ帰らず、巧みに蒸発を装い、「須恵子」との同棲生活を始め、「須恵子」が設立した新会社の技術顧問となることで、自らの野望を成就させた、、、
だが、別れた妻の再婚相手が、若い頃に無能な人物として軽蔑していたM光学時代の同僚だということを知り、密かな計画を巡らせる… 自己中心的な男の合理主義の破綻を描いた物語でしたね。
エリートの挫折、偶然にして掴めた幸運、軽蔑していた同期と妻との再婚… すべてを関連させながら、急テンポで進むストーリー展開と、池の緋鯉や錦鯉の色が濁ったことに端を発して犯罪が発覚するという皮肉な展開は見事でした。
『留守宅の事件』は、以前読了した『証明』にも収録されていた作品で、夫の出張中に妻が殺害された事件のトリックを暴く物語、、、
車の営業マン「栗山敏夫」の妻「宗子」が、「栗山」が東北へ出張中の留守宅で殺害された… 「宗子」を恋慕していた栗山の友人「萩野光治」が「栗山」の留守を知り、その間に「栗山」宅を訪ねており、殺害の機会と動機があることから、家宅侵入罪で逮捕されるが、本人は殺害を否認する。
捜査を進める中、「栗山」が妻に多額の生命保険をかけていたことが判り、保険金目的の犯行として、「栗山」にも嫌疑がかかるが、出張中の行動から、彼が一旦東京へ戻って来て、妻を殺害することは不可能と思われた… そこにはまさかのトリックが、、、
「宗子」が気に入っていたウールのツーピースが紛失しており、寝間着で殺されていたことが事件解決の糸口になりましたね… まさか、仙台から複数のクルマを利用して、遺体を運んでいたとはね。
『小説 3億円事件 「米国保険会社内調査報告書」』は、以前ドラマ化された『三億円事件』を観たことがある作品で、3億円事件を「松本清張」が独自な視点から推理した作品、、、
ニューヨークの私立探偵事務所所長を務める「私(G・セイヤーズ)」は、1968年に日本で発生した三億円事件により、再保険の損失を被った本国・アメリカの保険会社の依頼を受け、来日、同事件の調査に乗り出した… この事件の後、「カミナリ族」と呼ばれた近隣の青年グループのリーダー格「浜野健次」が、捜査線上に浮上していたが、途中から同事件の捜査の責任者となった有名な刑事は、事件に関して、犯人単独説を主張する。
この結果、アリバイの存在・遺留品に基づく血液型鑑定などにより「健次」による犯行説は、捜査本部により否定された… 私たち調査員は、このベテラン刑事の推理に疑問点を見出した、、、
ゲイボーイの青年など、「健次」の周辺人物を調査するうちに、同事件に関して、私たちはひとつの推定を得るに至った… 「健次」の行動の背後には、大人達の策謀が秘匿されているのではないか?
なかなか興味深い考察でしたね… 「浜野健次」と、その家族(姉、義兄、伯父)が何らかの事実を知っているのは間違いないような気がしますね。
『凝視』は、農業・沼井平吉の家に強盗が入り、平吉の妻・トミ子が殺害され、平吉も負傷した事件の真相を巡る物語、、、
事件は平吉による狂言強盗殺人として解決されるが、捜査段階では犯行を自白していた平吉は、地検で証言を覆す… 新米刑事・添田壮介は、犯行を自白した平吉の取調べに疑問を抱き、独自に事件を推理する。
なぜ犯人は死んだトミ子の見開いた眼をわざわざ塞いだのか? 凝視に深い意味が込められた展開でした、、、
凝視されたのは風船だったんですが、自分のことだと思い込んでいたんですね… 相手の視線って、意外と違うところに向いていたり、自分が思うほど、相手が覚えていない ってことは日常でもよくあることですよね。
殺人の動機としては十分ではないと感じましたが… 事件の意外な真相が愉しめる展開なので、あまり気になりませんでした、、、
このあたりの迫力ある筆致は、さすが「松本清張」って感じですね。
1969年(昭和44年)から1977年(昭和52年)に発表された作品なので、古臭さは感じるものの、人間性って、変わらないなぁ… と感じましたね、、、
舞台を現代に置き換えても十分通用すると思います… これが「松本清張」作品の魅力なんでしょうね。 -
表題作を含む計5編の短編集。なかでも、「小説 3億円事件」は異質な作品。昭和43年に起こり、迷宮入り事件となった実際の事件をモチーフとしている。
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犯罪短編集。
普通の人が犯罪にはしる話がいくつかあって、松本清張は記者時代に事件を色々と調べるうちに人間の犯罪心理に詳しくなったのだろうか。
そんなことを感じる短編集だった。 -
短編の精か物足りず
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中短編集、5編収録。
指/水の肌/留守宅の事件/小説 3億円事件「米国保険会社内調査報告書」/凝視
女同士の関係を描いた「指」がとても面白かった。
(図書館)