パルタイ (新潮文庫)

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著者 : 倉橋由美子
  • 新潮社 (1978年2月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101113074

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パルタイ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 1日中お腹がキリキリ痛い状況の中でパルタイに手が伸びる。一気読み。もうこの痛みがどこからくるものだか判別つかない。この本は私の少女期の形成に大きく関わっている。今でも自分の細胞の一部を成していることを確信。メビウスの輪のように表裏かわる世界と反世界。嘔吐もよおす存在自身。どうしようもなく魅せられる。この倉橋由美子の初期の作品群には「なぜ私は本を読むのか?」その理由が潜んでいるような気がする。

  • 簡単な小説ではない。詩のような小説。最後の「密告」は著者も言うようにジュネのよう。一筋縄ではいかないので何度でも読みたくなる。

  • なんかカフカか公房かって感じでわけわかんなさにあまり新鮮さを感じられなかった。

  • そーいう時代やったんやなあと思いながら読みました。
    閉鎖的な空間ていうのはきつい束縛があって、それはその分だけ自由なのかもしれないと望んでいるんだけども、でも全然救いようがない感じ。
    「非人」「蛇」「貝のなか」辺りがよかった。

  • うーん、難しい。

    難解さというよりは、不可解さが際立つ。全て一人称で進んでいくんだけれど、どれも男なのか? 女なのか? そもそも人間なのか? という疑問と一緒に進んでいく。

    世界観や設定を詳しく、というのはきっと無粋だろう。だけど、何と言うか落ち着かない。淡々とした、無機質な一人称も一因かもしれない。

    とにかく、ディズニーランドに一人で迷い込んじゃったくらいの疎外感とソワソワ感。

    それと、読んでいて社会主義的な匂いを感じ取ったものの、社会派というわけではないのかな? 違うな。

    性に関する描写をはじめ、私の苦手な汚い・下品なものの描写が結構多くて辛い。けれど、婉曲表現がすごく詩的でさりげないところに助けられた。

    不快感を与えないように気を遣っているわけではない気がする。むしろ、率先してそっちの話題を拾っていく感じ。

    汚物を汚物としてそのまま受け入れているんだな。不快感を不快感のまま留めておくのだな。この胃もたれの様なむかむかをどうにかしようとしなくてもいいのか。そうか。

    作中に似たような言葉があった気がする。すぐに読み直して確認しようという気分には正直ならなかったけど、読み終わってからそんなことを思った。

    そういうところは主観だが、著者から女性らしさを感じる。「汚い描写」は女性の方が圧倒的に上手いと思うんだよなぁ。

  • ぼくは無を分泌してあなたがたの世界に円筒形の穴をうがち、世界の裏、無の、虹色の反世界をみていた。世界はいたるところでねじれ、裏返しになり、みえない穴だらけになっている。世界は血をたたえた瞳のようなアナでいっぱいだった。その穴はあなたがたの皮膚の裏につづいているのかもしれない。いまあなたがたは裏側の世界を信じるだろう。

  • 著者デビュー作を含む短編集、久々の再読。
    表題はドイツ語で党を意味するParteiで、
    左翼的活動家集団に対するアイロニーに満ちた二人称小説。
    確か3冊目か4冊目くらいに読んだ倉橋本だったと思う。
    もし、これを一番最初に手に取っていたら、
    ファンにはならなかったような気がしないでもない。
    小説・マンガ問わず、不条理ものはとても好きだけど、
    倉橋初期作品は観念的過ぎるので、ちょっと苦手。
    でも、短い分『スミヤキストQの冒険』よりは、ずっと取っつきやすい。
    しかし、全編を覆う体臭・腐臭が紙面から立ち上ってくるようで、つくづく気色悪い。
    この作品集における歯や口腔への度重なる言及や、
    狭いところに人がギュウギュウ……という息苦しい描写は、
    著者が歯科衛生士だったことや、
    大学での窮屈な寮生活の体験が反映されているのだろうか?

  • 昭和35年の作品というのにこの凄まじさ。カフカ的というか安部公房的というか、悪夢のような不条理のオンパレード。中でもやはり「蛇」は圧巻でした。ウロボロスの蛇、表と裏の逆転、なんかもう、凄かったです。

    「パルタイ」「非人」「貝のなか」「蛇」「密告」

  • 収録作品を不等号で示すと、

    「密告」>「パルタイ」>「貝のなか」>「蛇」>「非人」

    といった感じ。
    「密告」が4点で、「非人」が2点。全体としては3.5点。

    文体をはじめ、かなり意識して実験していて、それがある部分においては成功していて面白くなっている。
    たとえば、「あなた」という二人称を、三人称のように扱っている点。なかなか新鮮で、「パルタイ」にせよ「密告」にせよ、出だしの掴みをはじめ、功を奏している。

    しかし、実験が実験段階のままで終わっている部分があるのも事実。
    「存在そのものに対する羞恥の感情」などと形容されてしまうのがその証拠。これでは文体の実験もなにもあったもんじゃない。
    たとえば、「蛇」などがそうした(ある程度の批評性を兼ね備えた)主題をとらえやすく、この意味では安部公房と似通っている。

    なにかしらの批評性を小説にもたせるとき、イマージナルなものを扱っていくと、一見不可解ではあるのだが、それがイマージナルであるがゆえに、受け入れられやすくなる。

    前衛であると同時に通俗。

    いま・ここ、を扱わずにイマージナルなものを扱うというのは、結局そういうことにならざるを得ない。
    だとすれば、その小説がもつ批評性なんてたかがしれているわけで、場合によっては、もともと通俗を自覚しているものよりも、鼻持ちならない俗悪になることだって、おおいに、ありうる。

    『パルタイ』はそもそもそこまで気負っていないし、「前衛」などと気取ってもない。
    したがって、嫌みはないのだ。ただ、なんというか、所々があまりに教科書的で、退屈してしまう。

    処女作品集だからかもしれないけれど。
    このまま、二人称の流れでビュートルの『心変わり』と倉橋の『暗い旅』も読もう。

  • 『貝の中』に出てくる女達があまりにも生々しくてリアルだった。
    倉橋由美子の書くヒロインは苦手。でもそこがいいのである。

  • パルタイ、蛇、密告が凄く面白かった。存在自体に対する羞恥は誰しもが感じてることだと思うけれど、それをあそこまでえぐり出すのは凄いと思う。文体もキンキンしていて好き。

  • 倉橋さんらしい、作品でした。

    「貝」がどうたらというタイトルの作品が印象的でした。

  • 表題作より『密告』がよかったです。

  • 『密告』がいちばんすきです。「愛情」のことを「あなたがたの皮膚と皮膚とを接着させているあのアガペー、神が家畜に与えたあのやさしい憐み」と呼び、「汚辱を汚辱のままうけいれること、それを豪奢な汚醜の美にかえること」とある。『非人』と『蛇』は生理的嘔吐感ていうかグロテスクな観念。倉橋氏は非常に唯美的で理性的なひとなんだろうとおもいました

  • 表題作「パルタイ」はもちろん面白かったのだが、その次に私は「蛇」を興味深く読んだ。結局直接的な批判(?)じゃないと理解できないってことなのかなぁ。解説によれば、「<革命党>の在りかたに対する作者の鋭い風刺や摘発を読み取ること」は「ここで大事なこと」ではないらしい。まぁ確かに哲学(形而上学)的な作品群とは思うけれど。「非人」や「貝のなか」はだいぶアレゴリカルというか何というかで・・・解説者曰く、最初の「パルタイ」と最後の「密告」はそれぞれ<カフカ、カミュ、サルトルの三位一体>と<一見して[ジャン・]ジュネ風の小説である>と、作者自身が語っていたそうだ。ジュネって知らないけど(カフカ、カミュ、サルトルを‘知ってる’わけじゃないけど!)、「密告」には学生運動よりもむしろ軍国主義やキリスト教が登場して、つまり左だろうが右だろうが一神教だろうが教条主義という同じコインの裏表にすぎないと読めて、やはり興味深かった。

    高野悦子『二十歳の原点』の9年も前に書かれていたというのが驚き。『二十歳~』で引っ掛かったばかりなので、「蛇」のこの(↓)箇所は大いに痛快だった(これが「蛇」その他『パルタイ』収録作品を代表するものではないのだが!):

    ‘「おい、どこへいくんだ」とKは階段のところで声をかけられた。
    「ああ、Sくんですか。ぼく、これからちょっとLさんに会いにいこうとおもうんだけど」Kは鼻のうえにしわをよせ、はにかみながらこたえた。LのことではしばしばSに冷やかされていたからだった。しかしSは驚くべき声でどなった。「それどころじゃない!けさから発電所の労働者がストに突入した。きみのための抗議デモも、そのストに合流する。つまり労働者と学生は共同戦線をはってたたかうことにきまったんだ。きみも参加すべきだ。」
    「でも」とKはしりごみしながらいった。「いまはそういうわけにはいかないんですよ」
    「自治会の決議だ」とSはおしつけがましくいった。
    「そうですか。でもぼくは自治会にははいっていないんだし……」
    「ばかなことをいうな。学生は全員自治会員じゃないか。入学したときから自動的にそういうことになっているのを知らないのか?」Sは口を横にひきあけ、眼では笑いながらKをきめつけた。これはKには、ほとんど脅迫がましくおもわれた。
    「そんなのは罠にかけるようなものですよ。だって、ぼくは自治会を選んだわけじゃなかったし、それならぼく、これから自治会をでようかとおもうんだけど」
      するとSはKを逃がさないように手をひろげ、鶏を追うような姿勢でKに迫った。Kはおもわず笑いそうになりながらSと衝突し、かさばった腹でSをおしたおすと、息をきらして下までかけおりた。’
    (pp. 130-131)

  • この当時(60年代)にしたらこのパルタイ(党)という小説は、客観的に見透かされているようで道理から反れてる相当ショッキング且つエポックメーキングな話だったんだろうなぁ、と過去に思いを馳せる。

  • とりあえず「パルタイ」だけに関して言えば、評価は★★くらいだよ。限りなく★に近い★★ですよ。かつての「革命?党」というものが存在していた時代を扱ったそのテーマ性に加えて、1961年の芥川賞候補だったこと、女流文学者賞受賞ということで、すごい楽しみにしていたのにな。
    ずっと前、『カルチュラル・ポリティクス』の中で、「リブ前夜の倉橋由美子」というタイトルで鈴木直子さんが論じていらしたことが、この作品を知ったきっかけでした。とりあえず、少しずつ他の収録作品も読んでいきたいところ。

  • 粘膜と生理的嫌悪感をビシバシ刺激される。

  • 表題作の「私」の、ちょっとさめたところが逆にリアル。

    一人称と、設定をはっきり説明しない構成のため、
    全体に変な夢を見ているような味わいでした。

    (09.08.29)

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    図書館(09.08.16)

  • 息が詰まりそうな感じ。閉塞感。

  • 著者の羞恥心的実存主義を胸に文学を創り上げるぞ、と言う決意が感じられる。

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