きもの (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101116082

感想・レビュー・書評

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  • めっちゃ面白かった!!!!
    びっっくりした!

    昔の人ってこうだったんだ・・・
    手に取るようにわかる
    噂には聞いていたあの話、この話、
    細かい着物の描写は、どんな生地なのかとかわからなかったりするけど、
    だから運針を学校で習ったんだな、
    命からがらって関東大震災はこんなだったんだな、
    地域が助け合って暮らしていた頃ってこうだったんだな、
    日本の良さ、感じられました。感動!
    大事にしたい本。

  • 一度目は高校2年の時。その時はただ読んだだけに終わり、内容もそんなに残らずに終わった。

    二度目は23の歳。全く違った。全て自分にはない体験ではあるのだけれど、だけれど何と言うのだろう、書かれている内容が全部染み込んでいった感じ。共感?すごく、「よくわかる」のような気分で読んでいた気がする。恐らくるつちゃんの生きた時間と同じだけ時間を経た分の理解がそこにあったのかもしれない。

    自分は、女の子に本を勧めるとしたら、この本を同じようなタイミングで二度読みすることを勧めたいと思っている。下手な道徳よりも考えること思い当たることがあるし、こうすることで、この本の記憶がより鮮烈な体験となる。

  • 現代人、いや私には理解できない着物の肌感覚。今の洋服にそこまでの感覚を持って洋服をきていないなぁと感じる。色、柄、触感。どれも大切なことなのに、おろそかにしている自分を感じた。
    着物を通じて、主人公は成長をしていく。いや、成長を通して着物について深く考えていく主人公。それは女子なら通る道ではあるだけれど、着物というものを通してみていくと時代感覚もあって、理解できるけど今はない、奥ゆかしい女子の成長が描かれていた。
    祖母の存在の大きさ。これは現代には薄くなってしまったな。祖母のいうことがいちいち含蓄を含んでいて、また主人公を深く理解していることが伝わってくる。身近な人の話を聴くことの大切さを改めて考えた。
    震災の打撃。震災によってみえてくるもの。今だからこそ、この場面が真実味をもって見えてくる。
    最初は着物の感覚が鋭すぎて、感覚についていけなかったが、後半に入って俄然面白くなった。
    これは男性にはなかなか理解できない小説なんじゃないかと思った。

  • 何度読み直しても秀逸だと思う。

  • この作品を読んで、幸田文さんが好きになりました。
    だいぶ前に読んだ本なので内容はうろ覚えですが、雰囲気はとても良く覚えています。

    いつか読み返そうっと。

  •  主人公の子供時代から結婚するまでの人生の歩みを、着るもの、身につけるもののエピソードをふんだんにちりばめて書かれた小説です。

     きかん気が強く、気に入らないことは絶対に受け付けない性質の主人公の子供時代から物語が始まります。姉たちにはからかわれ、親にも持て余されがちな主人公。そして、そんな主人公にじっと寄り添い、気を回す祖母が物語の中心です。
     
     登場人物が魅力的で、癇気の強い主人公、人間の良くできた祖母、どこか対照的な二人の姉、女学校でのふたりの友人、そして父の愛人など、皆それぞれの強さと考え方を持って生きていました。どの女性の半生でも物語が書けると思えるほどです。
     ただし、男性の登場人物は父を除いて詳しく描かれていません。兄は途中まで完全に存在を忘れていましたし、夫となる人も人となりを想像するには材料が少ない、といった感じでした。

     主人公が初めて自分で着物の生地を選びだす場面や、姉の結婚式に駆けつける場面、「もう着られないお気に入りの服で箪笥をいっぱいにしたい」と話し合う場面などが心に残っています。
     人に何かあげるとき、病みついた家族を看るときなど、物事を角を立てずに進めていく祖母の知恵には、読みながら主人公と同じようにハッとさせられました。

     この話は幸田文の自伝的小説だそうです。元は雑誌連載されていたもので筆者の存命中には書籍化されず、続きの構想があったようだと解説に書かれていました。
     結婚式を挙げた日の夜でこの物語は終わってしまいます。しかし、決して幸せな結婚生活を予感させる文章ではなく、時代から考えても金融恐慌を経て、開戦、東京大空襲、敗戦と、決して先行き明るくはありません。その中で主人公や周りの人、特に二人の姉がどう生き抜いていったのか、読んでみたかった。続編がないことが本当に悔しく思われます。

  • もう女性のバイブルという言葉は
    会わないだろうが、
    随所に学べる箇所がある。
    こういう時は、こう考えろ。
    こうなったら、こうしろ。
    と粋でかっこいいおばあさまが
    教えてくれる。

    着物もたくさん出て来て、
    詳しくないながらも、
    興味深い。

    るつ子に共感しすぎてしまって、
    上の姉が疎ましくてならないし、
    最後は、これは全くなんという終わり方だと
    思ってしまった。
    主人公と一緒に、
    スカッとして、モヤモヤして、
    学んで成長させてもらえる本。

  • 丁寧に心情を語る幸田文の文章が好き。
    お婆さんの機転の効きよう、逞しさ、優しさが素敵。

  • 『細雪』の着物の描写にひきつけられましたが、これも同様。着物を通して女の子の成長を描いています。

  • 幸田文は文体のキレがいい。
    少女の気持ちが、身体を通して伝わってくる。
    生活の音や匂いがする。

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著者プロフィール

1904年東京向島生まれ。文豪幸田露伴の次女。女子学院卒。’28年結婚。10年間の結婚生活の後、娘玉を連れて離婚、幸田家に戻る。’47年父との思い出の記「雑記」「終焉」「葬送の記」を執筆。’56年『黒い裾』で読売文学賞、’57年『流れる』で日本藝術院賞、新潮社文学賞を受賞。他の作品に『おとうと』『闘』(女流文学賞)、没後刊行された『崩れ』『木』『台所のおと』(本書)『きもの』『季節のかたみ』等多数。1990年、86歳で逝去。


「2021年 『台所のおと 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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