雀の手帖 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101116099

感想・レビュー・書評

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  • 小林聡美「いつか読もうと30年 秘蔵の “お取り置き本” を開いてみたら」 連載:50歳からの読書案内|教養|婦人公論.jp
    https://fujinkoron.jp/articles/-/5402

    幸田文 『雀の手帖』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/111609/

  • 何気ない日常を朗らかに綴る百日間。
    違う時代の日々を見る面白さ、著者の独特な訛りがまた良い味を醸し出す。
    読めば読むほど味が出てきて、またしばらく歳を重ねてから読み返したい。
    古き良きを感じられる貴重な一冊。
    飾ることなく、彩りを奏でる。

  • 幸田露伴を父に持つ著者が、昭和34年に身の回りの出来事や日常のあれこれを綴った随筆集(10年ぶりの再読)。
    その時代ゆえ、「美智子様へ」という現上皇后の結婚に関する項もある。
    「御結婚生活は長いのである。きょうははじまりの第1日である。めでたいのは1日だけではならぬ。末ながく末ひろがりでこそめでたいのだからそれは皇太子さま御夫妻も私たちも忘れてはいけないと思う」
    結婚式で今でも使いたい文言ではないだろうか。
    その他、著者の独特な言葉使いに、新鮮さと温かさが伝わり、思わず書き留めておきたくなる。
    「書くとき鉛筆画はにかむ」
    「万事にとばずばしている」
    「道というものには、前に希望、後ろに哀愁がある」
    「ちゃっこいやりかたもある」
    「『楽しむ』は『知る』の延長『知る』は『恐る』『慎重』につながる」等々。
    言葉へのこだわりが、微笑ましい項もある。
    「風邪をひいた・・・私はひく気など毛頭なかったのである。風邪がはいって来てしまったのだけれど、やはり風邪をひいたというのである。熱が出て咳が出て、出ることばかりなのに、なぜひいたというんだろう・・・」

  • 常日頃感じたことを、素直に率直に。
    その文体に心惹かれて読みふけってしまう。
    時は昭和34年。その当時には今と変わらず入試も就活もあり、PTAの集まりや習い事など、主婦の話題は尽きない。
    皇太子さまのご成婚。自然災害もあり、時代は繰り返されていることに気付いた。
    鳥や花や、身近にあるものに目を向け、もっと暮らしを楽しんで生きたいと思う。

  • 幸田文氏初読み。
    清々しく優しい文章たち。
    タイトルは現代でも使われているありふれた名称などで日々の身の回りの事や過去の思い出を絡めたりよくあるエッセイのようでいて、味わいが全く違う。タイトルへの帰結のさりげなさが素敵。
    江戸弁というか下町言葉のせいもあるだろうし、構成も視点もしなやかで強く優しいところもその理由かもしれない。
    「きざむ」など、ハッとした。
    新聞掲載時が昭和34年とのことなので昭和のその時代感も垣間見れたようなそういう楽しさもあり、読むとなんだか落ち着いた気持ちになった。

  • 最後でようやくタイトルに合点がいった。
    が、あとがきにもあるように、ピーチクパーチクおしゃべりに見えて、学ぶ所は非常に多かったように感じる。
    日常のように、取り留めもないこと、と油断していると、大事なことを見落としそうだ。

  • MORIOKA TAUTAYA 100円古本半額キャンペーンで購入。

  • 初めての幸田文さん。
    きっと好きな文章だと思いながら読まずに来た。
    予想以上に好きだった。
    解説の出久根達郎さんも書かれているように、自分にとっては肌に合う文章。
    題材や「雀の手帖」というタイトルも。

  • 青島幸男の「意地悪ばあさん」はこの人をモデルにしたのではないだろうか。愛すべきだが傍に居て欲しくない幸田文。所詮、金持ちの御嬢さんだ

  • 古き良き日本の習わしや言葉が散りばめられてとても素敵だし、幸田さん独特の言葉遣いも魅力があって面白い。
    短編集なので読みやすいけど、少しずつ味わいながら読み進めていきたい本。できれば100日とは言わず、365日それぞれの季節感全てを幸田さんの言葉で読んでみたかった。

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著者プロフィール

1904年東京向島生まれ。文豪幸田露伴の次女。女子学院卒。’28年結婚。10年間の結婚生活の後、娘玉を連れて離婚、幸田家に戻る。’47年父との思い出の記「雑記」「終焉」「葬送の記」を執筆。’56年『黒い裾』で読売文学賞、’57年『流れる』で日本藝術院賞、新潮社文学賞を受賞。他の作品に『おとうと』『闘』(女流文学賞)、没後刊行された『崩れ』『木』『台所のおと』(本書)『きもの』『季節のかたみ』等多数。1990年、86歳で逝去。


「2021年 『台所のおと 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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