漂流 (新潮文庫)

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著者 : 吉村昭
  • 新潮社 (1980年11月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (516ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101117089

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漂流 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  •  突然の時化のため土佐沖から黒潮に流されてしまった江戸時代の漁師・長平を主人公にした史実に基づく記録文学である。漂流した記録があったということは,読み手は長平が最後に帰国できることは分かっている。にも関わらず,途中何度も気が気でなくなるほどに,描写が臨場感に溢れている。漂流して行き着いた絶海の孤島は鳥だけが通う火山島で,水もなく草さえ生えていない。生活は常に切迫していて,一日一日を生きていくだけでも想像以上に大変であるうえ,いつ終わるのかも分からず果てしない。嵐の度に難破船の破片が漂着するが,しかし生還した話などほとんど聞かない。それはとりもなおさず,毎年多くの船が難破し,大多数の漁師は陸に戻るどころか島にも辿り着けずに命を落とすということだ。長平が12年後に土佐に帰れたことは万にひとつの僥倖に違いないが,その裏側には,”どんな絶望のなかでも希望を捨てず,冷静な状況判断に基づいてあらゆる努力を怠らない”という,閉塞した現代社会に生きる我々にとっても学ぶべき長平の類い希な姿勢があったことがよく分かる。緊迫した12年間の描写にこちらまでが緊張し,帰郷の目処がつく辺りまでまるで口の中にずっと海水を含んでいるような感覚さえ持った。けだし漂流小説の傑作である。(mak)

    本館1階日本の小説コーナー
    913.6||Yo 008347247

  • すごくおもしろかった。読み終えて3週間くらいたつ今でも、あほうどりのことが頭から離れません。

  • 無人島に漂着した人たちのお話。絶望、失望、希望。生きるとはどういう事か。

  • すさまじい。すごすぎる。それに尽きる。

    これが(創作部分はあるにしてもおおかたは)事実ということに
    圧倒されて言葉も出ない。
    描き出す筆力がすごい。

    私には絶対に無理。断言できる。

    思ったのは「信仰心」「謙虚さ」というのは
    人を強くするし、生かすんだなぁと。

    あのような状況になっても神仏を信じ、
    念仏を唱え、いいことがあれば驕らず神仏に感謝する。
    そういう彼だからこそ助かった、生き抜けた、救われた。

    信仰を持たず常に弱気で現実を悲観する私と対極!
    人柄、だなぁ…

  • 日本版ロビンソン・クルーソー。いつ無人島に行っても大丈夫なように凸レンズは持って行こう。

  • 江戸時代に無人島へ流れ着いた漁師達の壮絶なサバイバルの記録。草木も水も食糧もない無人の火山島でどうやって生き延びていったのかが綴られており、その淡々とした語り口が却って絶望的な状況をリアルに感じさせてくれます。

  • 驚きです。
    江戸の時代に鳥島という何もない島、無人島へ漂流。
    「生きる。」
    すごいですね。
    これが実話に基づくからまたすごい。
    何も無いところでの生きるという意志と知恵。
    孤独な時でも生きつづけることをなしえた主人公の長平の精神力。
    孤独って、どんなにつらいか!?
    そして、自分との戦い、悟り?あきらめのように割りきる?
    人はすることがあり、することを作り出し
    動いて働く事がどんなに大事か。
    納得です。

    すごいです。

    あきらめない気持ちの大切さ
    そして、知恵と工夫で生き抜く術。

    想像が容易く出来ないほどの生活だったんだと思います。
    それをここまでわかりやすく描写されていて
    読めば読むほどにのめり込んでしまいました。


    本当、アホウドリ、何羽食べたのでしょうね??
    干肉づくりが1年で150羽が12年で1800羽
    7ヶ月毎日1羽だと210羽が12年で2520羽
    合計で4320羽を長平さんは、食べたのかなぁ?

    そりゃぁ、当人も鳥のような獣の臭いも
    しているような気もしちゃいますよね。
    でも、生きるためには!!

    すごかったです。

  • 吉村ファンにたまたま出会い、その人との共通の話題作りのため(笑)、手に取った一冊(^_^;)

    江戸時代、シケに遭って無人島にたどりつき、
    12年間もの漂流生活を送った長平の生き様を描く長編ドキュメンタリー。
    最初は4人で漂着するのですが、仲間がどんどん亡くなっていく孤独な様は、本当に心が痛くなります。
    そんな中、生きながらえる方法を徐々に編み出していく姿からは目を離せません。
    洞察力や生きていくための知恵以上に、前向きな気持ちの持ちようが大事なんだと、思い知らされる一冊です。

    まだ読まれたことがない方には、ぜひオススメします。

  • 絶望からの帰還。実話を元にしたというのが信じられないくらい、壮絶な記だ。何が起きてもあきらめないこと、知恵を働かせること。頭と共に、体も動かし続けること。人間と言うのは、どんな逆境も跳ね返す大きな可能性を秘めている生き物だ。そう思い知らされた一冊だった。

  • 85点!
    いやいや、実話なのがすごい。
    鳥島に漂流した船乗りの長平が12年も生き残ったという話。
    なんて逞しいんだ!しかも、次が来るまで火もない生活なんて、考えられないアホウドリを何羽食べたんだろう?
    それにしても、船を作ったり、木札を考えたりして生きることを諦めない姿勢がすごいなとおもった。
    お風呂で読んでたら面白くてイッキ読みしてしまった。あがるころには水風呂になっていて、ちょっと無人島ちっくな気分になった。

  • 漂流ものって、なんでこんなに面白いんだろう。やっぱり極限状態にひかれるのだろうか。島暮らしに体が順応しすぎて、久しぶりの米を受けつけないエピソードなんて、切なくてこっちの胃まで痛くなる。追いつめられて神仏にすがりついたかと思うと、ものすごく合理的に生き延びる策を考える主人公の振れ幅が、人間らしくて印象的だった。

  • 12年以上無人島で生き抜いた長平
    無慈悲な自然の脅威を強靭な精神力で乗り越えていく。
    まさに和製ロビンソンクルーソー

  • 八丈島よりさらに南、今は鳥島と呼ばれて
    誰も住んでいない無人島になってる
    アホウドリの生息地。
    そこに江戸時代、長平という船乗りが嵐の後に辿り着いたのはいいけど
    そこは飲料水も食物も何もない島
    そこで彼は13年間も生活してたのがまぁ驚きですわ。
    一緒に来た仲間はみんな死んでしまって、後に二度難破船が来るのだけど
    知恵を振り絞って飲料水蓄えたり身体動かしたり
    食べるものを保存したり(アホウドリの干し肉)
    もう完全サバイバル。
    期待してたよりすーげー面白い。
    自殺したり、そのまま弱って亡くなる人が1/3くらいいたのに
    長平の精神力が半端ない、生きるか死ぬかは自分次第よね。

  • 吉村昭氏がスポットを当てる市井の日本人の生き様が心を奪う。絶望と失望を繰り返す絶海の孤島での13年、俺には生き抜けるだろうか。いや、長平のような独り身ではなく、家族がいればこそ、生き抜かねばならない。

  • 『秘島図鑑』でこの本が紹介されており、興味を持った。
    舞台は江戸時代。船の難破で無人島の鳥島に漂着したという実話を基にしている。

    食べるものも満足にない、無人島という非日常でのサバイバル生活が生々しい。食べ物も飲み水もなく、日常的に使っている道具すらなく火を起こすこともできない。仲間はどんどん死んでいく。故郷に帰れる希望は見当たらない。そんな絶望的な無人島での生活で、生きるために様々な知恵を絞っていく。それが面白く、読み応えがある。

    島に漂着してから、何人もが死んでいく。アホウドリを食料にするが、栄養の偏りや運動不足のせいで動けなくなり、死んでしまう。そんな状況は、日常を過ごす自分たちには想像することもできない。この時点で、新たに漂着船が来るまで長平はひとり孤独に過ごすことになるが、この孤独も生きる上での大きな障害になる。

    色々な場面で、精神的に苦しいときに念仏を唱え、神仏にすがることで乗り切ろうとしているのが印象的。

  •  江戸時代、天明から寛政期、つまり田沼政権から松平定信政権に移行せんとする時、土佐沖で難破し、あほう鳥の大群が生息する無人島に漂着した人物がいた。この実話をもとに、絶望と締念、そして孤独に苛まれた男たちの生き様を描く。

     強い意思と工夫が未来を切り開く原動力となっているが、事実を丹念に描き、情感に訴えかける叙述を極力少なくしたタッチがいかにも著者らしい。

  • 非常に事務的な十五少年漂流記という感じ。十五少年漂流記は子供が読むものだから、感情いっぱい、情感いっぱいに書いてあるけど、こちらの作品はそういうロマンを全部排除して、真面目に書いてあります。

  • 正月休みに一気に読んだ。ページ数を感じさせない素晴らしい作品。人間が生きるという事がどう言う事か深く考えさせられた。

  • どこまでが事実でどこまでが想像か分からんが、とりあえず今年一番。いや、すごいのはこの小説というより長平がか。

  • 生きようとする意志の凄まじさを学んだ。

    孤島で水もなく、食料も渡り鳥と僅かに取れる海産物のみ。

    しかしそんな状況でも鶏肉を干物にして保存、鶏肉の卵の殻を使って水を確保するなど、知恵を生かしたことが生還につながった。

    生き延びるだけでなく、死を恐れず行動を。

    自分たちも大抵のことは実現できる力を持っていると、感じずにはいられなかった。

  • 予想外に大部な小説だった。予想外というのは、鳥島の漂流に関する資料は少ないだろうと思われるから。
    『羆嵐』にしても、本書にしても、ある人物を主人公にすえて物語を展開させる、その視点を固定させた語り口が自分の好みにあわないようで、面白くは読むんだけど、読後に書かれなかった何がしかに対して物足りなさを感じる。

  • 土佐の船乗り,長平がシケで遭難し,鳥島に漂着する.仲間が次々に倒れるものの,その後同じく遭難で漂着した大阪の船の乗組員たち,続いて漂着してきた薩摩の船の乗組員たちと,ついには島を脱出し,12年ぶりに故郷に帰るまでを描いた作品.前半の長平の同僚が次々と斃れる苦境,相次いで難破者が漂着する中盤と,奇跡が重なり脱出を果たすまでの終盤,いずれもだれることもなく,一気に読んでしまった.
    江戸時代の日本の船は,鎖国政策のために外洋を航海する技術が全く育たず,このような難破は日常茶飯事だったらしい.帰国できた長平は本当に幸運だったのだろう.なにせ太平洋で遭難して地図の埃のような鳥島に漂着でき,また,様々な技術を持った人々が後からやってきて,さらに同じく埃のような青ヶ島に手作りの小舟で帰り着くことができたのだから.吉村昭の「大黒屋光太夫」とも共通の,生還を成し遂げるキーワードは生きようとする前向きな姿勢だ.

  • 気になっていながらもなかなか読む機会がなかった、吉村昭作品に初挑戦。いわゆるエンタメノンフってやつで、扱われている題材も海の男。ジョンマンとか巨鯨の海とかでちょくちょく目にしていることもあって、とっつきやすさも問題なし。無人島に生きるさまをひたすら描いた長編で、あまり変化のない日々が続く中盤あたり、ちょっと”大丈夫か!?”って気もしたけど、死と生の狭間に生きる極限状態を絡めたりで、緊迫感を途切れさせないのがすごい。五木親鸞とか、内田浄土真宗とかいった作品を、同時並行的に読んでたから、主人公が念仏に帰依するさまも、なるほどって感じですんなり受け入れられたりもして。自ら船を作って帰国するという執念のクライマックスに至るまで、驚嘆させられっぱなしの読書体験でした。

  • 主人公と共に無人島での生活を体験してるような気持ちになりました。
    人間の知恵を持ってすればどんな所でも生き延びられるそう実感させられた一冊です。

  • 島に漂着後、周りの者達全員が死に絶え、主人公の長平一人になった場面に、一番読み応えがあって惹き込まれた。知性と洞察力と精神力で、どんな状況下に置かれても、命を引き延ばすことができる。そのことを身を以て実践している長平の姿が、時代や環境は違えど、現代社会をにサヴァイブしている自分にとっても、勉強となり、力となった。

    「運動は大切」ということ。
    「鶏卵は豊富な栄養源」ということ。
     学ばせてもらいました。

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漂流 (新潮文庫)の作品紹介

江戸・天明年間、シケに遭って黒潮に乗ってしまった男たちは、不気味な沈黙をたもつ絶海の火山島に漂着した。水も湧かず、生活の手段とてない無人の島で、仲間の男たちは次次と倒れて行ったが、土佐の船乗り長平はただひとり生き残って、12年に及ぶ苦闘の末、ついに生還する。その生存の秘密と、壮絶な生きざまを巨細に描いて圧倒的感動を呼ぶ、長編ドキュメンタリー小説。

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