大本営が震えた日 (新潮文庫)

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著者 : 吉村昭
  • 新潮社 (1981年11月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101117119

大本営が震えた日 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 太平洋戦争開戦までの、あまり語られない真実が小説としてまとめられています。開戦に関する重要書類を乗せた飛行機の墜落、開戦直前の郵船の航路についての問題、南方作戦開始のための輸送船団の動向・・・。

    小説ながら緻密な調査に基づいた作品で、「どきどき」しながら読み進められました。ある程度この時期の歴史的背景を知っている方のほうがより興味深く読めるかもしれません。
    「さすがは吉村昭氏!」という一冊。(読了:2006年1月25日)

  • 太平洋戦争開戦に際する、マレー上陸、タイ通過、真珠湾などの奇襲作戦の裏側。様々な要因で何とか発覚しないまま奇襲は成功裏におわると。

  •  太平洋戦争開戦前夜の緊張感が伝わる。真珠湾攻撃に際し敵軍の発見を恐れ北上海路を取り進むのだが、敵軍に発見されれば奇襲攻撃は失敗する。同時に東南アジアに展開している日本軍がタイ国に侵攻、同国に協力を求めるが成立しない。はじめから薄氷を踏む作戦であったことが分かる。真珠湾奇襲作戦は成功するが、この戦争の破綻は目にめいていた。

  • この小説は、1941年12月1日の御前会議から12月8日の米英蘭に対する奇襲作戦を行うに至るまでの話である。秘密裏に準備が進められたこの一週間の間に起こった予期せぬ事態に軍部がどのように動いたかを細い取材の元に綴られた史実なのである。それは、墜落する上海号という双発機に暗号書と開戦指令書を持ち込んだ兵士の命をかけた逃走と人間を虫ケラのように扱う軍部の動きを対象にして描かれていく。吉村昭が描く戦史小説に一貫して通じるテーマがそこにある。小説の結びには、陸海軍人230万人、一般人80万人のおびただしい死者を飲み込んだ恐るべき太平洋戦争は、こんなふうにしてはじまった。しかも、それは、庶民の知らぬうちに密かに企画され、そして、発生したのだ。と締め括られている。

  • 開戦直前の1ヶ月。秘密裡に戦争へ突入した。ほんの一握りの人が決断し、大きなリスクを負って奇襲作戦を進めた。成功しても英雄とは言えない。2015.9.6

  • youtubeで真珠湾攻撃のラジオを聞いたことがあったのがだ、いかに当時情報が隠され、驚いたかがわかった。
    開戦の内容をアメリカに渡すというのが私が見たのとは違う。どっちが本当だろうか。

  • P396
    開戦に向け様々な戦略とスパイ活動等を行った日本の首脳陣の物語。

  • 難解。でも読み応えのある一冊。

    70年も前のことだし、戦争なんて勢いで始まって勢いで終わるものだと思っていた。でも違ったようだ。
    衛星中継もインターネットもない時代でも、人と人との化かし合い、情報戦から戦いは始まっている。それがよく分かる。

    ミッドウェーを境に転落を続け、貧すれば鈍するで精神論が先行して破滅の一途を辿ったことは周知のとおりだが、少なくとも開戦に至るまでの過程は多分に運に依拠する部分もあれど緻密に練り上げた一大作戦が実を結んだ戦史上でも空前の出来事だということは伝わった。

    ついでに、解説で引用されていた一文にも妙に納得。
    「日本の一般市民はそれまで戦争を特に悪いことと考えていなかった。維新以来日清戦争を始めとして絶えず戦っていたし、負けたことがなかったから」と。
    たしかに、戦後に生まれた世代とは置かれた環境が違いすぎる。良い悪いの問題ではなく、価値観の相違も当然なのかもしれない。

  •  12月8日、太平洋戦争開始時の米英への奇襲攻撃までの日本の苦闘。奇襲を記した作戦命令書を乗せた旅客機が中国国内に墜落したことを背景に、マレー作戦、真珠湾攻撃までの道のりを描く。実際の奇襲当日の描写がほとんどないのが、非常に印象的。
     もし、この時、奇襲攻撃が他国に知れていたら、と考えると不思議な感覚を受ける。それにしても、かなり博打的要素で戦争が始まったことがよくわかり、寒くなった。

  • 12月8日のXデーに向けて、上海号の不時着、タイ国政府との交渉、在留外国人を米国へ送る竜田丸、マレー方面への輸送船団の移動、単冠湾での機動部隊受け入れ、ハワイでのスパイ活動など、様々な角度から日本軍を見る。
    あれだけの大きな作戦を秘密裏に進める。今ほど通信機器が発達していない中、ヒヤヒヤでもそれが達成できたのは、軍隊というとてつもなく巨大な組織がなんだかんだ言っても今じゃ考えられないほど統制の取れた組織だったからだろう。
    個人の組織への忠誠心、ツイッターでバイトの内幕を公開してしまうような現代人とは全く違うなあ。

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