光る壁画 (新潮文庫)

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著者 : 吉村昭
  • 新潮社 (1984年11月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101117171

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光る壁画 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • ドラマ化されてたので、なんとなく再読。
    ドラマの脚本、上手く出来てるなー・・と感心。

    「下町ロケット」や周辺、ドキュメンタリーを観ててずーっと痛感するのだけども、町工場の技術と発想をもっとサポートする体制を国が作ってくれればいいのに・・でないとそういったものは失われるか他国に流出するばかり・・・。

    それこそ恩田陸の「ネバーランド」のIT少年の様な発想を!

  • 最近胃の内視鏡検査を受けたので興味を持って読んだ。さすが大御所だ。文章が淡々と簡潔で、決して感動を煽るような文体じゃないのに登場人物たちの情熱がちゃんと伝わってくる。公私の間で悩む主人公の設定はフィクションらしいが、これで開発物語として単調になるのを免れていると思う。終戦直後で物資も貧しく素材もまだ原始的なものしかなかっただろう。開発を支える職人たちの技は将来も絶対滅びてほしくないものだ。この人たちの努力が元になって様々な技術革新が私たちの健康や治療に貢献してくれていると思うと感謝の気持ちがわく。

  • 胃カメラの開発の苦労に主人公の私生活が絡んで、生々しい展開が広がる。辛くとも打ち込めることがあれば、幸せである。2016.7.6

  • 科学と技術の進歩のなんと早いことか。今年、私の胃内のピロリ菌の発見もこの機械があってこそ…感慨深い。
    今は写真だけじゃなく、患者もモニターに写っている自分の胃を見られるんだからスゴイじゃないか。

    ともすると患者そっちのけで開発のための開発になるのかと思いきや、発案者は最後まで患者に寄り添う人であったし、周りの関係者の自らをを実験台にする男気が素晴らしい。能力のある人々は努力を惜しまないのだ。ただ主人公の私生活のエピソードはちょっと…要らなかったかも~?

    放送大学の面接授業の教材。そうでもなければ手にしなかった本。もうすこしスゴイ感動があったら今、まさに胃カメラを作る仕事をしてる友達にこの本を送りつけたけど、どーかな。彼は知ってるのかな。この経緯。
    それにしても、あの会社で胃カメラは重要な部署なんだー!彼ってこんなすごいの!?知らないけど!?と思ったり。

  •  吉村氏ならではのノンフィクション小説。今回は戦後、世界発の胃カメラを実現した話。オリンパスの技術者と東大医研の先生との協同研究の顛末については、かつてプロジェクトXでも取り上げられていたが、別の視点からの事実ベースの小説で、非常に引き込まれた。短い記述ながら、技術的にはまってしまい苦悩する様子がありありと浮かぶ。当時のなんでもありの風潮もあったろうが、彼らの一途な指向に驚嘆する。残念ながら今、こんなかたちで開発のできる技術者は国内には存在しえないかもしれないが、思想、発想、そして哲学は継承されうる。とても臨場感があり、今後のためにも読んでおくと良いと思えた本であった。

  • 胃カメラを発明するまでの東大の宇治医師、及びオリンパスの深海社員など2人の社員の苦闘をドキュメンタリーに記録した小説は限界に挑戦する男たちのドラマであり、正にNHKのプロジェクトXを見るような思いがします。食道を通すゴム管、極小なレンズ、小さなカメラと極限を追求し、その次は胃の内壁とカメラの距離を一定に保つための工夫がなんとコンドーム。そしてカメラが胃のどの患部を撮影しているかをどうして掴むかなどの難しいテーマが次々と襲ってきますが、偶然にも救われたことが分かります。深海社員を仮名の曽根という人物にして箱根の旅館の跡取りでありながら、若い妻に女将として旅館経営を任せ、仕事に忙殺されるというフィクションであることが最後に明かされますが、研究と妻とのプライベートな生活の往復描写がこの本のアクセントも高めてくれています。

  • 『立花隆の書棚』P52紹介。

  • 久しぶりに読みなおし。
    やはり吉村先生は素晴らしい!!面白い☆
    昔の日本人は凄いなぁ…

  • オリンパスの胃カメラ開発を元にした話。
    近所で買い物した器具で試作品作っちゃう所とか、現代的じゃない要素が多くておもしろい。

    猿楽橋の近くに本社が会社があったとは。
    箱根に行った直後に読んだこともあり、地名がイメージできて楽しかった。

  • 2012/2/27読了。

    終戦間もない日本で、内視鏡開発に情熱を燃やした男たちの物語。吉村昭ならではの淡々とした筆致ながら、登場人物のほとばしるような熱い情熱を感じるのは、時代背景ゆえか、はたまた読むこちらの感情移入か。あえてフィクションの形式を採用した作者の思惑が見事にはまり、ストーリーの面白さ、登場人物の魅力、描写の美しさなど、吉村昭最高傑作の1つとなった。

    それにしても、彼ら、今のオリンパスの体たらくを、草葉の陰から泣いていることでしょうね・・・。

  • 意外にあっさりしてたなぁ。著者の淡々としながらも迫ってくるような物を期待してたので、面白かったけどもっと熱くなりたかったかな。

  • 戦後の日本で初めて胃カメラを発明した人達の話。

    胃カメラが日本で発明されたということは知りませんでした。
    技術開発者たちのロマンと情熱の長編でした。

    何かを発明する,やり遂げるということは,こういう事か!と思わされました。

    この本を読んで,私が思うに,まず柔軟な思考を持つこと。胃カメラを開発するに当たって,車のランプとか,自転車のチューブとか,コンドームなんかが出てきます。色んなものを先入観にとらわれず試してみること。大切です。
    そして素朴な疑問や思いつきを大切にすること。どんなに素朴で,人が聞いたら笑うかもしれない,と思うようなことでも,そこに問題解決の糸口が隠されているかもしれない。
    そして諦めないこと。壁にぶつかっても決して諦めないこと。
    そんなことを思いました。この情熱は是非読んでもらいたいw

    そしてこの本のさすが!と思わせるところは,奥さんの存在です。
    胃カメラ開発に没頭し帰宅しない夫の傍ら,旅館業を一人営む奥さん。この辺はフィクションなんですが,夫が仕事に没頭していると破綻する家庭生活が必ずあるはずです。
    数ヶ月も夫が帰ってこなかったら,そりゃあ妻としては耐えられないと思います。嫌味ったらしくなったり,拗ねた手紙を送りたくもなります。
    そういうリアリティまで描いているのがやっぱり吉村昭。単に技術開発の情熱物語で終わらせないところがいいですね。

    タイトルの「光る壁画」は,全体を読むと,「確かに光る壁画だ!」と納得します。考えられたタイトルですねー。

    今の胃カメラは苦しさが軽減されていたり,カプセル型だったり,様々な発展を遂げています。それもこれも,この開発があってのこと。すごいですねー。

  • 今どこでも普通に使われている内視鏡の元になる胃カメラが、日本で、戦後のこの時代に、こうやって試行錯誤を重ねて、生み出されたのかと感慨深くなりました。胃カメラに限らず、今の医療を形作る多くの技術、知識にもあてはまる話でしょう。感謝しなくちゃと思った。

    せっかくの感動的な実話なんだからやすっぽいエピソードはさまずにノンフィクションにしてほしかったので、☆一つ減点!

  • 2011.7.8(金)¥157。
    2011.7.24(日)。

  • 胃カメラ開発の実話に基づいた小説。

    取材の前に「胃の病気とピロリ菌」を読んでいて、
    その中でこの本が紹介されていたので、早速読みました。

    全体的に、かなり淡々とした印象。
    物資も情報も少ない戦後に、世界で初めて、人間の体内を撮影する・・・
    そんなカメラが、あっさりできてしまったのか、とも感じられるのですが。
    ただ、実際に医師を取材してみると、
    お医者さんって、知識も体験も豊富なのに、
    本当に、起伏もなく、わかりやすくお話されるのだ、と
    最近になって、ようやくわかりました。

    医師は、たくさんの症例を経験した上で話をしているのだから
    もう、当たり前のことになっているし、
    研究結果が評価されるべきで、その過程は自明のこと、と
    思われる方が多いように感じられます。
    一般人にとっては、なるほど、すごい!と思うことばかりなのですが。

    この小説も、「もっといろんなハプニングや苦労があったのだろう」と
    読み終わった後にも勘ぐってしまうのですが
    そうではなく、あくまで現場の雰囲気を大切に
    まとめられているような印象で、そこに好感がもてます。

    いずれにせよ、激動の時代に、ひとりの医師と、
    日本が誇る、光学技術の技術者たちの想いがこもったストーリー。
    それが書かれていること、知ることができたことで
    知識欲はしっかりと満たされました。

  • 医療機器大手の某O社の開発ストーリー.
    問題発生と解決の繰り返しにリアリティがあり,おもしろい.

  • 吉村昭の中ではいまいち。もっと面白いのを期待します。

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