- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101117331
感想・レビュー・書評
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拙いです。拙いです。拙いです。
頭痛が痛い、に類する重複表現が頻発するくらい日本語が覚束ない。心理描写がヘタクソ。小説としての質の低さには心底驚嘆してしまう。
これは完全にダメなときの吉村昭ですね、間違ってもお薦めはできない。
史実からはみ出すことを嫌うのは別にいい。記録的文体がどうたらという主義主張もけっこう。
しかしそういったって、関鉄之助という主人公を設定してその視点で物語を進める以上、彼の心理描写にリアリティがまるでないことを「そういう文体だから」で片付けるわけにはいかないよ?
この限りなく紙クズに近い文章を救うのは、高橋多一郎や安島帯刀(「陽だまりの樹」)、住谷寅之介(「竜馬がゆく」)といった別の著者による有名作品の登場人物たちの消息に触れることができる、という一点だ。
そのことが吉村昭御大の文人としての名誉を救うことになるのかどうかは、はなはだ疑わしくはあるけども。
この人、よくぞ「漂流」みたいな名編を書けたもんだよなあ…。ほとんどが駄作の中にキラリと光る、例外中の例外を求めてつい読んでしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
H28.6.29-H29.5.8
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2010.10.30新宿バルト9
映画の感想です。DVDがないので、原作本での登録。
中高年向けに作られたまじめな時代劇、という印象。
音楽の使い方とかが古くさく感じてしまったけど、それも時代劇的といえば時代劇的なのかも。
あと、途中でところどころ挟まる現代語(語尾や話し方ではなく単語とか?)が気になったんだけど…時代劇ってそんなものなのかな?分かりやすくするためには仕方ないのか…
途中、関と剣豪との一騎打ちシーンがあったのは、あれ史実なの?サービスシーンなの?(笑)
冒頭、唐突に井伊直弼暗殺実行の準備の話から始まるんだけど(途中から、黒船来襲からこれまでのエピソードが挟まれていく)、襲撃側たちの心情をそれほど書き込むことなく第三者的な視点で淡々と描かれているので、多少眠くなったり…^^;
しかし後半、主人公関鉄之介(大沢たかお)が逃亡し、逃げ回りながら再決起を志すあたりから面白くなってきた。
やっぱり心情部分が描かれるからなのかな。
これまで協力を誓ってきた藩たちからも協力も得られず、自分以外の仲間が次々に捕まっていく過程のなかで、自分たちのしたことには何の意味があったのだろうか、と自問自答する鉄之介。
時代の流れって容赦ないよね…
ていうか、昔の日本人ってすごすぎる。
お家のため、お国のために本気で命を賭けた人々がいる、っていうのがねー。自害のシーンが壮絶で、胸に迫るものがあった。
歴史的事実を元にしたストーリーだからこその感動だね。