敵討 (新潮文庫)

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著者 : 吉村昭
  • 新潮社 (2003年11月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101117461

敵討 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代には賞賛された仇打ちが、明治に法治国家になって禁じられていた。法に従い服役した後、平凡な生活を送り静かに死んだ主人公や彼の周りの人に罪の気配は感じられない。2015.6.20

  • 武士の美風であり称賛の対象だった敵討が、明治維新によってただの殺人になってしまった時代の狭間で行われた旧秋月藩士の敵討は、2011年に藤原竜也主演で 「遺恨あり」としてドラマ化されたのを見てずっと印象に残っていた。伊予松山藩士の敵討はちょうど安政の大獄の頃で、社会情勢が敵討事情に大きく関わってきて 終始ハラハラさせられる。途中で時代小説読んでるような気分になったけど、これ実話なんですよねー。敵討は個人的な復讐ではなく名誉の問題であるだけに、本懐 を遂げるまでのシビアな現実や苦悩も淡々と描写される。

  • 表題の「敵討」及び「最後の敵討」を収録している。
    どちらも大変印象深い作品であり、さすがドラマ化された作品だけある。
    吉村作品のよいところは、全てが全てハッピーエンドではないということ。本2作品の中で敵討を果たした人物は、敵討を果たしたあと何事もなく人生を終えているわけでない。
    例えば「最後の敵討」では、主人公が監獄から出たあと出獄祝いの宴に参加するが、その時そこにいた大物が演舞を行った人物の師匠によって殺されてしまうという事件が起こる。一方「敵討」では、敵討の助太刀役をした人物は、他藩に召し抱えられることなく、吉原の商店の店主としてその生涯を終えている。
    その時は一躍脚光を浴びるが、人々の興味関心が薄れると、あっという間にスポットライトは当たらなくなってしまう。元の通りごく普通の一般人に戻る。それはまるで真っ暗な舞台上でスポットライトを浴びながら演技をする役者のようである。そのような、役者にスポットライトがあたっていないところまでしっかりと目を当てている吉村作品は素晴らしい。特に本作は、そのような人生の深みを感じることができる作品である。

  • わたしがあまり時代劇見たりしないせいかもしれないけど、敵討はこんなに手続きがいるものだというのが、勉強になったし、面白くて二回目読みなおそうかと思ってます。吉村昭さんははじめて読んだ作家だけど、他の作品も読みたいです。

  • 「敵討」天保の改革の時代に協力者の浪人と父と伯父の敵を追って二人で十数年。漸く見つけた相手は獄中に。このままでは敵討ちが出来ない・・・。この時代に敵討ちがいかに永年、収入もなく、あてもなく捜し回る悲劇。運良く討ち果たした後の二人の叙述もまた悲劇の深さをもの語ります。そして天保時代の政治の影を感じます。「最後の仇討」は明治元年、秋月藩の両親の暗殺を見た10歳の少年がやはり十数年後に判事になった敵を討つまでの苦難の日々と、敵討ち禁止令の施行により殺人罪とされてしまうこれまた悲劇。しかし、明治13年当時は未だ美風とされ、世の中の共感を集めたとの実話。時代の大きな変革に飲みこまれた人々の運命を痛感しました。

  • 吉村作品では比較的珍しい短編もの。時代よりも個人をとらまえている点でも珍しい。
    2件の敵討ちの史実に基づいた歴史小説で、敵討ちに至る苦悩からその後の人生まで書かれいる点が吉村作品らしい。

  • 安定の吉村昭。
    仇討ちする側が追い詰められていく感じや、母の惨殺死体を見て「母が汚された気分」とか、そういうのがドライな筆致とあっていていい。

  • 吉村流仇討2編。何が面白かったかといって、幕末からの話なので、法律が変わったり、政局が変わったりと、取り巻く状況がいちいち詳しかったところ。2編とも一応はハッピーエンドというか、宿願達成で良かった良かった、なのだが、じわーっといやぁな気分がこみあげて、討つ方も討たれる方も、地獄だなあ。

  • 叔父が殺され、その敵討ちに出向いた父も返り討ちにあい、二人の敵討ちに執念を燃やす伝十郎の物語である「敵討」。
    父母が惨殺され、六郎は敵討を誓うが時代は明治に変わり、敵討は殺人として扱われる時代。目的達成とその後を描いた「最後の敵討」
    二篇収録。

  • 知らなかった。
    敵討って、「肉親を殺した相手なら、殺しても罪に問わない」だけの、自由なものだと思っていたけど。
    正式には敵討許可(もはや殺人許可)をお上にもらう制度だったとは。
    一度制度申し込むと、敵討を果たすまでは元の仕事にも戻れず一生無職が続くとは。キャンセルきかないのか。

    1人の人間を1人で追いかけてやっつけるなんぞ至難の業。
    しかも後戻りできないから、相手が見つからず、金策が尽きて野垂れ死にした例も多かったとか。
    「ここで会ったが100年目。恨みはらさでおくべきか!」という台詞も、肉親のためでも、自分のためでもあるわけで、実感がこもる。
    それだけハードなら、様々な場面で話題になるし、美談として語られたり、演劇やらのテーマになるわけだ。

    「敵討するぞ」と決めるには相当の覚悟が必要だ。
    でも、怒りはもちろん、「え、お前なら敵討いくでしょ」という周りからのプレッシャーに押されて敵討の旅に出て、後悔した人も多かったのでは、と邪推。

    前篇は江戸時代、後篇は明治時代の実際あった敵討の話。
    後者はそんな殺人許可が出る世の中ではないから、懲役刑になるが、格好の新聞ネタとして世の話題をさらう。

    少し話をひねったり、視点を変えたりすればいくらでもドラマチックになるし、前後を比較していろんな話ができそうだけど、
    そんな香りを匂わせることもなく、淡々と話がおわる。吉村昭らしい。

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