けものたちは故郷をめざす (新潮文庫 あ 4-3)

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著者 : 安部公房
  • 新潮社 (1970年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121031

けものたちは故郷をめざす (新潮文庫 あ 4-3)の感想・レビュー・書評

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  • 満州時代の経験が生きた佳作。哲学書じみた『終りし道の標べに』に比べると読みやすい。

    本作は、生と死の境目を綱渡りする決死の逃避行劇である。安部公房が生涯追い続けた「疎外」「人格の証明」といったテーマが既に表出している点が興味深い。また、夢や幻覚を用いた前衛的な雰囲気や、ひりひりするような現実的レトリックといった、後年の作風と繋がる面があるところも気になる。

  • 古本屋のワゴンセールで100円で投げ売られているのを発見し、お迎えする。今は絶版なので書店では手に入れられないので長らく探していた。ネットでは価格が高騰しているため手が出ず……
    『終わりし道の標に』のようなとっつきにくい作品を予想していたので随分読みやすかった。公房のほかの作品とは少し毛色が違うけれど、公房作品に漂う不条理はここでも健在である。公房の満州時代の体験が生かされているのだろうな、と思う。タイトルがとても作品の雰囲気にあっていてよい。登場人物が少ないがその分濃密な人間ドラマが描かれている。

  • ヤマザキマリのオススメ本として紹介されましたので初めての安部公房。終戦直後の満州から日本へ帰国する壮絶な旅。生きることの無条件の渇望に勇気をもらう。

  • 他人を利用し、利用される。戦時中の不幸な話と片付けられるだろうか。平和な生活をしていても、命のやり取りまではしないというだけで、基底にはそういう精神が伏流水のように存在しているのではないだろうか。私たちもまた、けものなのだろうか。

  • 凍てつく大地、果てしない曠野—極限の状況での生々しい描写により戦後の満州引揚の凄惨さが伝わってきた。希望も不条理も包含したリアルな物語が胸を打つ。

  • レビューによると、本作品単作の文庫本は絶版らしく、残念です。
    安部作品の根底には、アイデンティティの追求がある。
    渇望するからこそ、の結末に、胸が苦しくなりました。きっと現実はこのようなものなのでしょう。

  • 古風で、ぶっきらぼうな文体。

  • 敗戦直下の満州エリアを舞台としているが、今後の安部作品にはないリアリズム文体、語彙の豊富さが新鮮。冒険小説としても最大限おもしろい。おもしろいのだが、ラスト数行が安部印。現在、文庫版が絶版らしいのだか、これが一番好きという人もいるのではないか。

  • (1973.06.26読了)(1972.12.24購入)
    *解説目録より*
    ソ連軍が侵攻し、国府・八路軍が跳梁する敗戦前夜の満州―日本という故郷から根を断ち切られて、強力な政治の渦に巻き込まれた人間にとって脅迫のなかの〝自由〟とは何か? 既成の神話は地に墜ち、実在は裸形の姿を露呈する雪と氷に閉ざされた満州から、故国=日本をめざす人間の生の条件を描く長編。

    ☆関連図書(既読)
    「飢餓同盟」安部公房著、新潮文庫、1970.09.25
    「第四間氷期」安部公房著、新潮文庫、1970.11.10
    「反劇的人間」安部公房・キーン著、中公新書、1973.05.25
    「榎本武揚」安部公房著、中公文庫、1973.06.10

  • キメラ 満州国の肖像からの発展

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