飢餓同盟 (新潮文庫)

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著者 : 安部公房
  • 新潮社 (2006年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121048

飢餓同盟 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 未読の安部公房を補完中。1954年発表ということは比較的初期の作品ですね。不条理、SF、公房らしい要素はもちろんあるけど、かなりファンタスティックな印象を受けました。キャラメル工場とか、廃バスに住む人形芝居師とか、尻尾の生えた男とか、そういう設定のせいかもしれないけれど、ちょっとした比喩表現がとても可愛らしかったりして。反面、雪深い閉鎖された町、余所者は飢え死にしてもかまわないという神「ひもじい様」、革命を企てる男の狂気などは、大江健三郎ぽい設定だなとも思いました。

    理想論を掲げ飢餓同盟を結成して仲間たちを率いる花井という男の、しかし根底にあるのは単なる復讐心。花井以上に荒んだ生い立ちなのに、自殺に失敗し、花井に利用されてあっけなく命を枯らしてしまう巻き込まれ型不幸体質の織木がとても不憫だった。ラストの森医師の独白が感慨深い。現実こそが間違いなくいちばん非現実的ですね。

  • 読んでいて登場人物たちの策略に嫌悪感がしてくるが、考えてみれば現実的な小説だと思う。
    織木が唯一、真面目な青年として最後まで描かれていたのは、読者として救いだった。

  • 壁、箱男に比べてシュール度はかなり低いけど、出てくる人々はぶっ飛んでる。悲しくなる。

  • 「眠った魚のように山あいに沈む町花園。この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟"のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。」(あらすじより)

    全体的にぱっとしない町の欲にまみれた、どろどろとした話。だらだら続く印象。安倍公房にしてはあまりおもしろくないが、人間に薬を飲ませて温泉の地下水脈を探査させ、それを楽譜にたとえて表すといった考えが奇抜で安倍公房らしさを感じる。

  • 閉塞感漂う「花園町」で共産主義的な革命を画策する者たちの哀愁劇を描く。”ひもじい同盟”という極めて貧相な名前から”飢餓同盟”へ名称を変え、地熱発電所を基軸に革命を試みるが・・・。

    作品全体に纏わりつくどんよりした暗い雰囲気と、あくの強い個性的な登場人物は安部公房ならではといえよう。ドストエフスキーの『悪霊』がベースにあるらしいが、当時の共産主義を担ぐ者たちに通ずるような、何かに飢えた者同士が至極脆弱な共同意志の下革命を目指すが虚しく瓦解する姿はなんとも滑稽である。

    本書で特に秀逸だったのは「患者に飢える」というくだりだ。患者の治療が医者の使命だが、その医者が患者に飢えるとはこれ如何に。本作のパラドックス的側面を巧みに表現した言葉と感じた。作者自身は本作をあまり好きではなかったようだが、安部作品のなかでは比較的分かりやすい物語かと思われる。

  • 話の筋は置いておくにしても、なかなかに理解が難しい作品だった。結末も救いがない。
    本筋とは外れるが、私は著者の日本語の使い方が非常に好きである。個人的には三島由紀夫よりも素晴らしいと思っている。

  • 飢餓同盟。革命のための秘密結社。

  • 「全集4」収録のものを読了したので、ずるだけど本棚に加えちゃう。

    地方政治の駆け引き、一攫千金を狙う地方人の希望と挫折、というあらすじはあるものの、そこは安部公房、卓越した物語設定と構成力、初期段階からすでに特徴のある比喩がちりばめられており、飽きない。
    「飢餓同盟」というタイトルも秀逸だなぁ。

    文庫で読んだのは大学生の頃だから、かれこれ30年近く昔かぁ(遠い目)。最近になって全集を読む、ということは、若いころ読んだ作品を再読することでもあり、当時読んだときの印象・とらえかたが全然違うんだなぁ、と感慨深い。ちっとは成長したのか俺?

    文庫のカバーも現在のものとは違い、公房夫人の真知さんによるイラストで、自分はこの一連のカバーが好きだったなぁ。

    それから、最初に読んだ当時は『方舟さくら丸』はまだ発表されていなかったのだが、『さくら丸』を読んだあとに『飢餓同盟』を読むと、この2作品の設定はけっこう似ている気がする。
    『さくら丸』は安部公房晩年の作品だが、『飢餓同盟』のシチュエーションがみごとに磨かれていて、さすが、進化し続けるのが文豪なんだな、と再認識。

  • 【本の内容】
    眠った魚のように山あいに沈む町花園。

    この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟”のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。

    それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。

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