第四間氷期 (新潮文庫)

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著者 : 安部公房
  • 新潮社 (1970年11月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121055

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第四間氷期 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 昔むかしに読んだのに、今なお印象が強い本。
    これをきっかけに安部公房を読みたいと思った。
    SF感、物語の構成、非常に面白く、引き込まれる。

  • SFで始まり、ミステリを経由してホラーへ、最後はまたSFへもどる、といった感じだ。予言機械はAIの未来を見ているようだ。

  • 1959年の本かぁ、すごいなぁ。現代に読むと、ちょっと無理のある科学はファンタジーとして、世界観の古さはそれはそれで味があって、面白かった。

  • 今の日本に当てはめると、水棲人類は移民問題につながるのかな、などと考えながら。

  • 幼年期の終わりを彷彿とさせるようなストーリーだと思った。技術や現実の妥当性などに突っ込むのは野暮だが、どこ前の可能性を予見し、許容するかという点については地球に生命が生き残っている分、幼年期の終わりよりも現代社会に対して示唆に富んだ作品になっていると思う。

  • 読み始めたときはSFで、途中ミステリになり、若干つまんないなと思い始めたらまたSFになって、最終的にめちゃくちゃ面白いと感じた。
    一応、最後どうなっていくのかはタイトルと冒頭で示唆されているけど、小松左京の『日本沈没』よりもだいぶ前にこの小説が書かれていることに驚く。
    安部公房的なのは中絶とかそこらへんの要素だろうと思うけど、そこもよい。

    丁度、AIについて話し合う機会の直前だったので、未来予測機というAIとはまたちょっと違うけど、ほぼAI(高度になると未来予測できてその範囲は拡張される)が登場する点でもよかった。
    また、旧人類対新人類の対決のような構図になるけど、この点でも人間対AIを描いた『2001年宇宙の旅』を先取りしている。

  • 安部公房はストーリーが、何でそうなったん?ってくらい大幅な跳躍をするから面白い。

    絶対におかしな事になっているのに、主人公に知識があるから物理的に考えて納得してしまうし、
    今回も自由な思考だなぁ〜〜と作者に感心しながら、ツッコミながら読み進んでいった。

    シュールで少しグロテスクで面白かった。

  •  未来を肯定するでも否定するでもなく、「断絶」したものとして捉えるというのが新鮮だった。未来が日常を食い破って生存するまで、ノンストップで進んでいく感じ。

     予言装置が宣告する未来を、感情的に否定することしかできなかった主人公と、現状打破の希望とみて頑強に支持した頼木たち、両方とも極端だけど、ちょっとずつ解る面もあった。
     機械が語る激変した未来を信じろというのはやはり受け入れがたいし、一方で来るべき豊かな未来があるというのなら、例えそれが現在の価値を無に帰すものであっても、潰そうとするのは計り知れない罪である…。

  • もし未来が見通せたら、とは誰しもが思うことであるが、本当に未来が見通せてしまったら。。。その未来を抱えて生きていくことに耐えられるのだろうか。なにが起こるか分からない現在を積み重ねることが生きるということで、「未来」という概念は意味がないのではないか。
    博士は、読者の感覚に近い登場人物として設定されている。その博士が、最後の場面でうちのめされる。

    一番いけないのは、自分自身が信じられなくなってしまったことだった。‥やはり、機械は、すべてを正確に見とおしていたのかもしれない。

    運命を信じるか、人間の自由意志を信じるか。大きな問いを発しているという意味で、まさにSFだった。

  • 最初から最後までめまぐるしく展開していくのに、読み手としては取り残されなかった。ずっと面白かった。ん

  • 未来を予言する機械が発明された近未来。そこでAIの話になるのかと思いきや、なぜか殺人事件に巻き込まれ、あげく胎児ブローカーだの水棲生物研究所だの、突拍子もない組織が絡んでくる。もちろん最後にひとつに繋がるのだけれど。

    SFとして読もうとすると難しい。不条理だと思ったほうが自分にはしっくりくる。要は南極の氷が溶けて地上がほとんど水没する未来に、人類が生き残るためには水棲人間になるしかないということ。

    作品全体のテーマとは関係ないのだけど、主人公が妻の堕胎に無頓着なことが終始心の片隅に引っかかってしまった。思いやる言葉のひとつもなく、そもそも胎児の命を奪うことに全く罪の意識を感じていないところが。

    そういうところも含めて、主人公ではなく彼を騙していた部下たちのほうに共感してしまったのだけれど、作品のテーマ的にはそっちのほうが人類としては正解ということでいいのかな?

  • 村上春樹以前の日本文学の名作を読み直す。以下引用。

    『つまり先生は、やはりその未来には、耐えられなかった。結局先生は、未来というものを、日常の連続としてしか想像できなかったんだ。その限りでは、予言機に大きな期待をよせていらっしゃったとしても、断絶した未来……この現実を否定し、破壊してしまうかもしれないような、飛躍した未来には、やはりついて行くことが出来なかった』

    『いや、殺人をそんなふうに、一般論でかたづけるのはいけないよ。人殺しが悪いのは、それが相手の肉体を奪うからでなく、未来を奪うからなんだ。われわれはよく、命が惜しいという……考えてみれば、その命とは、要するに未来のことなんだな』

  • 1959年に安部公房が発表した、近未来ディストピアSF小説。
    世界に影響を与えた日本のSF文学として読んでおくべきだと思う。若干の読みにくさもあるが、読む価値アリ。

    未来を予言する電子頭脳(AI)が開発され、その実験としてある男の未来が予言された。主人公・勝見博士はその男を観察していると、その男が死亡するという事件が起こる。そこから物語はミステリーとして展開していくと思いきや……
    裏の世界で動く堕胎手術をした胎児のブローカーの話になり、さらにその胎児は水棲人間の開発実験に使われている衝撃的な事実を知る。
    そして全てを指示していたのは、勝見自身(の脳を電子頭脳にかけ、そこに現れる意思)だった。

    -----

    MEMO:

    333 (あとがき)
    さて、本から目をあげれば、そこにはあなたの現実がひろがっている……勝見博士の言葉をかりれば、この世で一番おそろしいものは、もっとも身近なものの中にあらわれる、異常なものの発見らしいのである。

  • いままで読んだ小説の中では、今のところトップ。1950年代に執筆されたとは思えない。
    著者の作品のなかでもかなり読みやすいので、初心者にもオススメ。

  • スタイリッシュな新装版。
    中にところどころ入っているカットがシュール。
    電話が絡む場面などはどうしても時代を感じるけれど、その辺クリアしたら、アニメにしても面白いと思う。
    前々から読もうとは思っていて、その時に「間氷期」という言葉を覚えたと思う。
    松任谷由美のアルバム「Dawn Purple」の時も思ったけど、読めるのにいまいち意味はよく知らないけど、教えてもらうとぐっとイメージが広がるタイトルだと思う。

    解説 / 磯田 光一
    カット / 安部 真知
    デザイン / 新潮社装幀室

  • 自分が生まれるはるか前に書かれたとは思えないSF小説。
    このアイディがどの程度オリジナリティがあるものかは分からないが、未来予知が出来る機会はまさに今のワトソンなど人工知能の進化系、今読んでも、今読むからこそ未来の問題提起になりえる小説だと感じた。

  • 予言機という未来をはじき出すことの出来る機械をつくった科学者が、世界の未来と自分の未来との乖離に苦悩するSF作品。

    予言機が弾き出した海面上昇で世界が水没する未来と、現在の延長でしかない未来との差を論じ合う様はSFというより哲学的。

    来る未来に向けて、新しい一歩を踏み出すことが正解なのか、もしくは日常の連続の延長としてありのまま未来を受け入れることが正解なのかは作者によって読者に委ねられた。

    未来は希望なのか、絶望なのか、作者が言う「未来は本来的に残酷なものである」と言うこの言葉に非常に共感する。

  • 安部公房のSFである。しかし、SFなのにミステリなのか、悶々とした追いつ追われつがあり、自分以外が薄気味悪く笑っていたり、気がついたら自分が死ぬ運命になっているあたりが安部公房だ。

    予言をするコンピューター、水棲人間作りなど、SFの要素はしっかりある。それなのに、多くの部分で感じるのは、「燃えつきた地図」や「密会」にもあった、よくわからない人たちから情報を引き出そうとする話。その中で、未来にいるのか戦後間もない木造のアパートに居るのか、未来にそういうボロアパートがあるのかを錯覚する。

    ディテイルは非常によく書き込まれており、洗いながらもコンピューターや、発生学(オーガナイザーの時代か?)をそれなりに納得させるように書いているのが興味深い。物質の密度勾配で腕が出来るか足が出来るか、なんていう話を書いているが、これ、1950年代だからね。

    予言の話のモスクワ2号で、引き合いに出されているのはオーウェルの「1984年」なのかな。皮肉的に触れられているのも興味深い。

    本作は全体に会話が主になっており、安部公房の独特の形容詞回しが苦手な人でも読みやすいだろう。最後の「コンピューターの夢」とでも言える部分以外は、情景も非常にわかりやすい。

    「砂の女」「方舟さくら丸」で感じた、日本映画のネチネチした部分を文章化したような、安部公房らしい作品といえる。

    なお、表紙は奥さんの安部真知の作品のものを読んだ。中には珍しく挿絵まで入っている。新潮文庫は知らない内につまらない表紙になっていて、非常に残念だ。このサムネイルの表紙なら、星をもう一つ減らしたい。

  • 安部公房の作品はずいぶん昔に発表されたものであっても現代にも耐えうるし、ちっとも古びない。この時代に、すぐにコンピュータ社会が到来することを予言していたのか。

  • たぶん10代の頃以来の安部 公房。
    そういえばこんな感じだったなーと懐かしくなった。
    全然明るくはないけど、絶望的に暗いわけでもない、安部公房が描く少しグロテスクで奇妙な未来像。
    面白かった。

  • 高校3年のときに初めて読んだ。大学3年のときにユートピア論の授業で発表するために読み直した。そしてそれから25年ぶりにまた読んでみた。中1の息子が夏休みの課題で読んだ。(私が与えた5冊の中から選んだ。漱石や鴎外をおさえて選ばれた。)その後、クラスでの紹介スピーチにむけて、国語の先生から書き直しを指示されてしまった。感想文はノータッチだったので、ここで読み直して、アドバイスをすることにした。さて、ほぼ1日で通して読んだのだけれど、これほどおもしろいとは思っていなかった。安部公房の中で一番好きな小説であることは間違いないのだけれど、もっと読みにくいものと思っていた。まあ、年をとって読解力がアップしたのかもしれない。三島とか漱石などを読んでいると、最初の50ページほどは大した事件も起こらず、投げ出したくなるものだけれど、これはちょっと違っていた。予言機械の話から、3週間目までの胎児を7000円で買うという話。そして、水棲哺乳類、さらには水棲人間の話。最後には地球温暖化による海面上昇、陸棲人間の絶滅? さらには水棲人間都市、機械がこういった世界を予言していく。水中に住む人間には涙腺がない。泣くことがないために悲しみを知らない。皮膚感覚からくる地上人の情緒というようなものを水棲人は感じることができない。水棲人は陸上にすむ人を歴史上のものとして、博物館などでの観察対象とする。陸上人に作り上げられた水棲人が、地上に生きてきたものを批判的に見る。我々が作り出した未来によって我々自身が裁かれていく。ミステリー風に書かれているけれど、内容は深くて重い。1950年代後半に「世界」に連載されている。それを考えると感動的ですらある。

  • SF。突飛な設定にもかかわらず、見てきたような描写の細かさ。迫力がある。安部氏が医学部卒であることも、説得力を持たせている一因だと思う。

  • 私はいわゆる文学作品とか有名どころとか一切読んで
    来なかった人間なので、初・安部公房であり、そして
    今更ながらの第四間氷期、である(苦笑)。

    未来を予言するコンピューターや、今でいえば遺伝子
    工学にあたるような生物改造、そして地球温暖化などを
    扱い、当時から見た未来を描いた立派なSF小説であり
    ながら、初出昭和33年という古さをほとんど感じない
    のには驚いた。もちろん、そこに作者の力量が現れて
    いるということも言えるのだろうが、実はこの小説が
    SFではなく、言わば哲学の表出だからゆえに古くなら
    ないのではないだろうか、そんなことを思った。
    出てくるSF的仕掛けのすべてが、作者の言う「未来の
    断絶に対する絶望」を示すための単なる道具立てにしか
    過ぎないと思えて仕方が無いのだな。主役として扱われ
    てもおかしくない予言機械や生物改造が、脇役ほどの
    地位も与えられていない、そんなもどかしさを全編を
    通して感じた。少なくとも単純に楽しんで終わる娯楽
    SF小説ではないことは確かだ。

    未来の断絶に対する絶望とは、実は死への恐怖なのでは
    ないだろうか、そんなことも思ったり。

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第四間氷期 (新潮文庫)の作品紹介

現在にとって未来とは何か?文明の行きつく先にあらわれる未来は天国か地獄か?万能の電子頭脳に平凡な中年男の未来を予言させようとしたことに端を発して事態は急転直下、つぎつぎと意外な方向へ展開してゆき、やがて機械は人類の苛酷な未来を語りだすのであった…。薔薇色の未来を盲信して現在に安住しているものを痛烈に告発し、衝撃へと投げやる異色のSF長編。

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