無関係な死・時の崖 (新潮文庫)

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著者 : 安部公房
  • 新潮社 (1974年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121086

無関係な死・時の崖 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 再読。
    初めて読んだのは10年くらい前で表題作の「無関係な死」以外は印象が薄かったのだけど、今回は他の作品もじわじわ楽しめた。
    特に面白かったのは複雑な構造のビルが登場する「賭」、盲目の恋に警鐘を鳴らす(鳴らしてないか)「人魚伝」、ボクサーの孤独な戦いを描いた「時の崖」、そしてもちろん表題作の「無関係な死」。

    安部公房さんの小説に私はいいように振り回されてしまう。
    モグラ叩きやらワニワニパニックやらのようにあっちかと思ったらこっち、その次の瞬間にはまた別のところにいる。
    その混乱が不思議と癖になる。
    短編は混乱の度合い(?)がちょうど良い気がする。
    これが長編になるとまた大変で、以前は読み切れなかった。
    またチャレンジしてみよう。

  • 次々に登場する、一見ふつうの人のようで頭のおかしなことを言う人たち。会話を交わしていくうちに、こちらの正気が怪しくなってくる。そんな不条理さを存分に味わえる。

  • ◆パス「波と暮らして」→ディキンソン「早朝、犬を連れて」を読み、無性に「人魚伝」を読み返したくなり、再読。
    ◆1957年〜64年に発表された初期短篇10篇。小説でいうと「砂の女」〜「他人の顔」の頃か。
    ◆飛び込んできた不測の事態によって、現実だと思い込んでいた世界は揺すぶられ歪み崩れ落ちる。元の世界が虚構なのか、この事態が虚構なのか。現実を取り戻そうと足掻く主人公はどちらの世界からも滑り落ち、居場所を剥奪され世界の狭間に取り残される。◆読み終えた私に残されるのは、主のいない帽子・白々とした床・緑色過敏症だけ…
    ◆はぁ、やはりこの悪夢のような世界観に魅了される。◆ゾクゾクするのは初読時から変わらず、「夢の兵士」「家」「人魚伝」。特に「人魚伝」は「すると、ぼくは、緑色に恋をしてしまったのだろうか?」…この一文だけでもKO。

  • 追うものが、追われるものになる。
    無関係のものが、関係するものになる。
    支配するものが、支配されるものになる。

    他の安部公房の作品と同様に、この短編集の中でも立場の逆転が沢山起こっている。
    恐ろしいけど、楽しい。
    小さなきっかけ一つで、目に映る世界が大きく変わっていく。

    「誘惑者」と「賭」が、個人的には好み。

  • 鬼才・安部公房の短編集。くぅー、相変わらず面白い。ほんと安部公房大好きだ。表題作のひとつ「無関係な死」は自分の部屋に無関係な死体があったことでなぜか警察に通報せずにあの手この手で死体を隠蔽しようとするあまりドツボにハマり破滅していく秀作。あとは「人魚伝」が出色。飼われていたのは人魚ではなく自分だったのだ。2013/301

  • なんていうか、安部公房氏の作品って舞台設定はすごくSF的なのにそこに登場する人物の心理描写はすごくリアル。
    そこがおもしろくもあり、言いようのない怖れを感じさせるところでもある。

  • 安部公房短編集。
    収録は表題作の他に、『家』『透視図法』『なわ』『誘惑者』『賭』『人魚伝』等。

    以前読んだことがある短編集なんですが、タイトルを見ても内容を思い出せないくらいにすっかり忘れていたので、再読。

    安部公房節は相変わらずですが、やはり短編集のほうが内容が平易というか、ちゃんと全体的に説明がつくように仕上がっているのかな、と思いました。
    もちろん、その裏には様々な意味が隠されているんでしょうが、最初の第一段階の時点で、混乱に巻き込まれるようなことは無いように思います。

    お気に入りの作品としては、何代、何十代と前の人間かわからない『祖先』という生物を飼っている『家』と、全身緑色、乳首と臍のない人魚との恋愛模様を描いた『人魚伝』が挙げられます。
    逆に表題作にもなっている『時の崖』については、裏にどういった意味合いが込められているのかよく分らなくて、あんまり印象に残らない一作。

  • 十篇の短編が収められている。
    なかでも「使者」は、自らが火星からきた使者であると主張する男の話だが、これは長編『人間そっくり』の元の話なんだろうと思われる。主人公は違い、結末も違うのだが、短編(アイディア)が長編になる過程をみるようで興味深い。

    ここに収められている短編は、安部公房らしい、突飛で不可解な事件が主人公たちに降りかかり、そして主人公がそのまま破滅に向かっていく、静かな絶望に満ちたエンディングが多いのが特徴か。

    興味深いのは「賭」である。
    主人公である建築デザイナーは、ある会社から不思議な建物の建築を依頼される。それは、二階と三階の部屋が隣り合わせになるようにしてほしいといったような、不可解な注文だった。
    このような変わった建物は、「宣伝」を仕事とする彼らの事業に必要なのだという。主人公は翌日、彼らの事務所に赴き、その仕事の方法を見るのだが・・・。
    「宣伝の事業というものは生き物の体のように複雑です」というセリフがあるのだが、その会社の仕事の仕方こそ、安部公房が小説を作る際の「アイディア作り」の方法なのではないかという気がして、読みながら興奮した。

    突拍子もないストーリーなのに、まるで実態をもつかのように現実味があり、だからこそ読みながらふわふわとした不安な気持ちになる。しかしそれが不快ではないのが安部公房の魅力の一つだ。

  • 浅読みしても深読みしても楽しめる。
    が、深読みはお薦めしない。
    深すぎる。

  • 部屋に突然現れた見知らぬ死体に追い詰められる男

    安部公房の精神的に四面楚歌になっていく描写はほんとうに怖くて苦しい。

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