箱男 (新潮文庫)

  • 4941人登録
  • 3.60評価
    • (412)
    • (517)
    • (951)
    • (101)
    • (20)
  • 516レビュー
著者 : 安部公房
  • 新潮社 (2005年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121161

箱男 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 初めて読んだ安部公房。
    面白い!けど、覗き覗かれる視点が錯綜していて混乱する!
    段ボール箱をかぶってみたいと思ったけど、
    本を開いて物語を読んでいる自分も既に覗くという行為をしているのか...?
    と思ったらゾッとした。

    かなり実験的で初めて読んだタイプの本。かっこいい。
    しばらく時間を置いてからもう1度読み返したい。

  • 何度読んでも混乱する。
    この箱男は、私であり、自分とは関係ない全く違う世界の人間でもある。
    ただ自分もいつかはこれに近い存在になるのではないかという危うさが、この話を魅力的にする。
    何度も読んだけど、やっぱり理解できなくて、読む度に新しさを感じる。

    やっぱり安部公房、天才的なんだなぁという圧倒的なチカラを感じる本でした。

  • 「?????」
    箱暮らしが落ち着くのは女より男。この話をより理解するのも男ではと読み進め、天才から漏れ出す話は混乱で、何が何やら。
    この作品から何か得ようとか、自己投影とかぜんぜんムリだなと諦めて読めば、理系で東大で医者のIQで心の声が漏れ出てるカンジ。それをPCじゃなく筆記用具で書いてるのだったら、すんごい勢いだろうなー。

    舞台上で台詞が飛び交う声が聞こえてきたと思いきや、どっちがどっちかわからなくなり、馬のお父さんの話で油断する。
    そして、最後はちゃんと?裸で抱き合ってるんでしょ?

    マスクなしでは会話できない輩もいる昨今だが、時代がこの物語に追いつきつつある?書き手が書き手のために、脳が命ずるままにあふれ出る物語を排出している。
    羊男、おしい!もっと先に箱男がいたよ!と思った(笑)

    案外、これは終わりのない物語であり、作家が生き続ける限り、書き続けられたのじゃないかと思える。

    いつか読もうと思って文庫で購入して、電車に乗るのに持ち出してみた。難しくてすぐには読了できなかった。

  • 2017.3.11
    たまにはさらっと小説でも読もうと思ったらびっくり。めちゃくちゃ難しい。結局なんのことかさっぱりわからなかった。
    しかし、「見る」と「見られる」ということに関してなら、確かになんとなく、その底にある恐怖は理解できる。特に数年前に対人恐怖で外を出歩くのもきつかった時は、まさに見られることの恐怖というものを全身で感じていたし、今でもその傾向が弱まったとはいえ、人の中を歩くのはきつい。深夜に散歩するのは楽しい。私を見るものが誰もいないからである。
    話が飛んだり、よくわからない挿入があったりで、ほんとなんのこっちゃという小説なんだけども、面白くないわけではないのである。この魅力というのは、一体なんなのだろうか。
    対人恐怖症がきつかった時、サンブラスをかけていればきつくないことに気がつき、しばらくサングラスをかけて過ごしていたことがある。あれは一種の、箱男現象だったのではないだろうか。こちらの視線は相手には見えない、しかし私からは相手が見えるのである。一方的な関係、見られることなく、見るものである。だとするならば、私は見ていることが見られるということを恐れていたということになる。しかし箱男はもっと、徹底している。社会的属性も捨てて、何者でもなくなり、何者としても見られなくなり、ただ見るという立場に立つ。全てを捨てて得た特権階級。そのそこには、見られているという恐怖がある、他者の視線を浴びせられているという恐怖がある、他者の視線により判断されるという恐怖がある。
    「他者の視線が無を分泌する」「地獄とは他人である」と言ったのは、サルトルである。私のこの経験と、サルトルとの対話を通せば、もう少しこの小説が、腹に落ちてくるかもしれない。

  • かつて伊藤整は「小説の方法」のなかで
    文壇にひきこもり、高みから世間を見下ろしてると言って
    日本文士のありようを批判したのだが
    段ボール箱をかぶっての生活に執着する「箱男」にも
    同じようなところがあって
    彼はいつも覗き穴から、世界を一方的に見つめている
    しかしある時、突如として人生にかかわってきた他者…女にとまどい
    自分がどうしたいのか、どうすればいいのかわからず
    それに対する計画を、小説の形でノートに書きつけはじめ
    やがて、そのことと直接には関連しないイメージの連鎖に
    引っ張られていくこととなる
    形式的には、やはり伊藤整の「鳴海仙吉」を
    さらに遡ればロレンス・スターンの
    「トリストラム・シャンディ」を彷彿とさせるものだが
    それらとの明らかな違いとして、根底に抱えた恐怖の存在がある
    他人から見られることへの恐怖であり
    オリジネイターの座を脅かされる恐怖である
    ファッション・モード批判としてもよいのだが
    彼はつまり
    固有の体験を持ちえない(とも言われる)現代人の鬱屈を
    パフォーマンス化することで、逆説的に固有性へと変換したわけだ
    そこのところ…そのように見られている、というところで
    箱男は常に嫉妬されており
    ファースト・ガンダムならぬ、ファースト箱男の座は
    常に脅かされているのだった

  • 安部公房の書く物語は不思議だ。
    基本的にどの作品も設定はぶっ飛んでいるのだが、登場人物は疑問に思わない(もしくは疑問がそこまで強調されない)で物語が進んでいき、その内に設定以上にぶっ飛んだストーリー展開が広げられていき、設定に対する突っ込みを忘れてしまう。
    本作もその法則に当てはまり、段ボール箱に視覚的に必要最低限な穴を空けて上半身にスッポリと被り、生きていく上で必要最低限な持ち物を携えて路上で生きる箱男(結構な数存在するらしい)の一人の手記という形になっている。
    段ボールの改造方法や、箱を被って生活する上でのコツなどが真に迫っており、実際に作者は箱を被って生活した経験があるのではないかと思わせる。
    「見るもの」と「見られるもの」の関係性とを軸に物語は進み、途中から主人公の妄想になった手記が突然現実化したと思ったら、やはり妄想だったことが明らかになり、その後も断片的な記事や手記を挟んでいくストーリーは本当に難解。間を置いて再読したい。
    村上春樹に近い意味不明さもあるけれど、こちらの方が考えさせられるのは、設定のあり得なさと、自分にも起こり得るのでは…?の配分が絶妙だからだろうな。
    シリアスな笑いを感じる描写がなかなかあり、個人的には作者の文体は好きだ。
    シチュエーション的に意味不明だが、婚約者を迎えに馬車(実際は箱を被った60歳の実父が引いている)で行き、我慢できずに立ちションしていた現場を彼女に見られて婚約破棄になった瞬間に実父から贈られる慰めの言葉が素晴らしい。
    「むろん、お前が悪いわけじゃない。露出狂に対する偏見と、公衆便所の建設を怠った町の行政の責任さ。さあ、行こう、こんな町にもう未練なんかないだろう。どっさり公衆便所がある大都会に出掛けようじゃないか」

  • 覗く喜び、それとも逆説的な意味として覗かれる喜びか。安倍公房の話はどれも考えるな、感じろ的な話が多い。倒錯したエロリズムが描かれていたようにも思えるし、それとも奇怪なただの浮浪者の話を書いていただけかもしれない。ただ1つ、このような多様性を持った当たり前が今の世の中にあってもいいのかもしれないと思った。

  • の中から、覗いているのか、その様子を覗かれているのか? “逃げたがっているような気もするし、追いかけたがっているような気もする。” 確かにこの覗き見(覗かれている)感覚は、SNSの世界に近い感もある。

  • ヤバい。
    とりあえず、もう一度読むわ。

  • 再読。この本に関しては最初に読んだきっかけをはっきり覚えています。深夜にやっていた「文學ト云フ事」というテレビ番組で取り上げられた翌日に、興味を持って本屋さんに買いに行ったのでした。あれは面白い番組だった~。Wikiで調べたら、箱男の回は1994年6月28日。ほぼ22年前・・・そんなに経つのか(呆然)

    以前読んだときのほうが若かったせいか、単純に「なにこれ面白い!」という感覚で楽しめた気がします。今読むといろいろ小難しいことを考えたり、公房って看護婦さん好きすぎだよな、とか余計なことも考えてしまうし(笑)でも、基本不条理だったり突拍子もなかったりする公房の作品の中でもとくにこれは尖がってる実験的な作品だなとは思う。

全516件中 1 - 10件を表示

安部公房の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島 由紀夫
安部 公房
有効な右矢印 無効な右矢印

箱男 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

箱男 (新潮文庫)のハードカバー

箱男 (新潮文庫)の単行本

ツイートする