- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101121161
感想・レビュー・書評
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初のシュルレアリスム作品でした。
面白かったです。ぞくぞくしながら読み進めた。読みやすいのに読みにくい。
どこからが現実でどこからが妄想か、どこからが記憶なのかこんがらがってくる。安部公房の魔法にかかってしまった。
明日箱男になっているのは、私かもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
内と外、自己と他者。
怪しい展開と共に、その境界線がまぜこぜになってゆく。
読んでいる間、気持ちが随分昏くなって、早く手放したかった。
いつ放り出しても良かったのに。 -
箱男のすゝめ。まずこれは読み方が難しくて後半になってようやくそういうことかと判った。〈見るもの〉〈見られるもの〉のくだりは興奮した。ドキドキした。まさに物語そのものについて言及した小説だなと思った途端に、記述者がめまぐるしく変わっていく構成。まるでミステリのようなエンタテインメント性!小説として奇抜でありながらひとつの完成、極限であるような気がする。また読み返さないといけないな。
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3回くらい読んで考察も読んでやっとわかったかもしれない作品。
最初はわけわからんけどすごい世界観だとしか思わなかった。次読んだとき実は緻密に作りこまれてるけどなぜか意図的におかしなところがあると気付いた。3回目でこれは上質なミステリ?サスペンス?なのかもしれないと気付いた。
これを書いたのは誰か、箱男とはだれだったのか、理解するまでとても楽しめた。 -
【本の内容】
ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。
一切の帰属を捨て去り、存在証明を放棄することで彼が求め、そして得たものは?
贋箱男との錯綜した関係、看護婦との絶望的な愛。
輝かしいイメージの連鎖と目まぐるしく転換するシーン。
読者を幻惑するいくつものトリックを仕掛けながら記述されてゆく、実験的精神溢れる書下ろし長編。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
上手くいえないのですが、
不思議な気持ちにさせられる本でした。
少し暗い気持ちになりますがおすすめです。 -
面白い。
この小説は、「ぼくの場合」の章にある
「今のところ、箱男はこのぼく自身だということでもある。箱男が、箱の中で、箱男の記録をつけているというわけだ。」
の文章につきる。
つまり、①ぼくが箱男であるのは「今のところ」であり「常に」ではないということ。
そして、②記録をつけているのは「ぼく」ではなく「箱男」であるということ。
この2点が絶対的なルールとして本小説は書かれている。
この2点だけしっかり注意して読むと、めまぐるしく変わる展開が、箱男だった人間が途中で箱男でなくなってしまったり、別の人間が箱男になってしまったりするせいだとわかる。
なぜだか、貝殻草の件がとても印象に残る。 -
段ボール箱の中を頭からすっぽり被り、街を徘徊する箱男。
ラジオを箱の中に持ち込んで、ニュースを聴いて、外界との接点を保ちつつ。
次第にニュース中毒になっていく。
『昨夜B52による本年度最大の北爆が行われました、でもあなたは生きています。ガス工事中引火して八人重軽傷、でもあなたは無事に生きています。物価上昇率記録更新、でもあなたは生き続けています…』
初読は15年前なんだけど、それ以来オイラもニュースはこういう風にしか聞こえなくなっちゃったよ…
でもこれって、本当のところを突いているよね??
自分の身の安全の再確認でしかないんだよ、結局ニュースなんて。
特にオイラより上の世代なんてテレビっ子なはずだから、皆ニュースを見て育ったのでは。
きっと若年層では、それがケータイメールなんだろうな。
友達にメールして、返事が返ってくれば、(まだ独りじゃない)ってことなんだろう…
安部公房の小説が難解だとかアバンギャルドだってよく聞くけれど、そんなこと言う人に限って、本質なんかちっとも捉えていないんだろうな。
確かに解りやすいとは言わないが、とにかく凄まじいパワーに圧倒されるので、一度その中にどっぷりはまるのも割と心地よかったり。 -
受験国語の小説問題に出てきそうな感覚に陥った。
というのは、とにかく読解力を要されている気がしたから。
昔っから国語が苦手な私にとっては、最後の解説文を読んで、それでも何となく理解。
時間が経ってからもう一度チャレンジたい。
これは、身体と精神のことを言っているのですかね。段ボール箱の中に記されたメモこそ、その人が確かに何かを感じた証拠、つまり確かに生きていたという証拠なのかと感じた。
そして、肉体が精神と近すぎるから、人が苦しみやすくなるのか。その適度な距離感として箱(この場合肉体が精神の入れ物と捉えている)を選んだ箱男。生きること、身体を傷つけること=刻むこと。
と言ったことを考えさせられた。
にしても、もう一度クリアに読みたい!