笑う月 (新潮文庫)

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著者 : 安部公房
  • 新潮社 (1984年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121185

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笑う月 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 再読。
    「藤野君のこと」だけは思い出すと読みたくなるので、たぶん5読目くらい。
    何故か(本気で分からない)藤野君が気になる。
    最初に読んだのはおそらく大学受験の頃で、今もやはり気になる。
    好きとか嫌いとかそういう感情ではなくて、おそらく私は藤野君に降伏してしまっているのだ。
    会ったこともないのに。
    文中の悲しい取り巻き達のように。

    それにしても安部さん(なんか違和感)の夢は怖い。
    小説もこんな空気だった。
    だんだんついて行けなくなって途中でやめてしまった本が多かった。
    なんというか沼なのだ。たぶん。
    のみこまれたら二度と這い上がれなくなりそうな沼。
    そんな気がしてきた。
    でも、今年は再チャレンジするつもり。

  • 安部公房がいかにして物語を編むのか、創作の舞台裏をみるような一冊。

    彼の紡ぐ世界は、書こうと思って書けるようなものでない。
    ピカソの絵をみて、自分でも描けるのではないかと言う人がままいる。しかし、実際描こうとすると、途端に筆が止まるのではないか。描いてはみたものの、「なにか」が違う。彼の絵はデタラメに描いたのでは真似できない、「なにか」を備えている。だから人心を揺する。
    例えはピカソでなくてもいいのだが、安部公房の作品の凄みは、ピカソのそれと似ている。意気込んで筆をとってみても、意図した途端に死んでしまう世界。彼はそれに命を吹き込む。それができる作家なのだ。今まで思ってもみなかったことだが、彼の編む世界に欲情した。なんてセクシーなんだろう。

  • Wikipediaでは随筆に分類されているが、本編はまぎれもなく小説だ。中には例えば「発想の種子」のように、それ単体ではエッセイと呼ぶ方が相応しそうなものもあるが、全体としては、意識的に再構成された小説である。冒頭に置かれた「睡眠誘導装置」による入眠から始まって、一旦は覚醒したかのように見せながら、最後の「密会」では、より深い眠りの中に入っていくのだ。ただし、最後の数篇を除いては、その夢が驚くほど理性的で論理的な構造の中に置かれている。安倍公房らしさがより鮮明に表れているのは果たしてどちらだろうか。

  • 失敗した。読む順を間違えた。

    この作品は阿部さんの見た不可思議な夢を題材にたエッセイだ。夢を題材にしているというと漱石の「夢十夜」を思い浮かべるが、夢十夜が夢を題材にした短編小説なのに比べ、こちらは、夢を題材に考察を交えながら過去の作品がどんな発想から生まれたかを書く「創作ノート」的エッセイだった。

    問題は、私が阿部さんの作品を「砂の女」しか読んだことがない、ということ。
    裏話は表を知らないと楽しめない。
    もう少し阿部さんの作品を読んで、またいつか読み返したいと思う。

    ただ作品として普通に面白いものも多く、「自己犠牲」、「鞄」など世にも奇妙な系短編は楽しかった。

  • 安部公房をすすめるときは、まずこれをすすめる。
    短い作品たちの中に、見事に公房ワールドが展開されている作品。

    淡々とした不気味さ、隠されていない狂気に脳内がゾクっとして、それが物足りない人はぜひ長編を読んでほしい。

  • 何度も読み返している、もしかしたら一番好きかも知れない作品。
    非現実的でありながら素晴らしいリアリティ。語り口にいつの間にかのみ込まれ、どこかであるんじゃないかと思えるところがさすが安部公房さん。
    何だかいろんなものを許されているような気分になり、読む度に安心できます。特に『アリスのカメラ』が大好き。
    安部公房作品としては、とても読みやすい本。

  • そうとう ですね!

  • 驚く程読み心地がいい作品。
    例えるならスポンジやパンが、水を吸収していく様な感覚に等しくさらりと読める。

  • 安部公房の著書の中ではかなり読みやすい方でスラスラ読めた。夢についてこんなに深く考察するあたりや言い回し、アプローチの仕方はさすがだと思う。

  • 夢のスナップと紹介されているように、前半は夢と創作に関するエッセイ、後半は夢をそのまま描いたようなショート・ショートで構成されている。
    その中で、『鞄』は高校時代の国語の教科書に載っていた、たぶん俺が初めて読んだ安部作品だ。当時は意味が分からなかったが、今となっては大体その面白さも理解できる。夢のスナップだと紹介されないまま『鞄』を読んでも可能な限りの理解にさえ程遠いのは仕方ないように思う。そして、こういった面白そうな作品に限って、決まって授業では取り扱われないのである。
    『燃えつきた地図』に関する発想メモや、『密会』の原点と思えるショート・ショートなどがあって充実している。ファンブックのような趣だと感じた。

  • 「箱男」を途中までしか読んでなかったのになぜか売ってしまった中学時代!なぐりたい(その自分を)!
    安部公房(この人はフルネームで呼びつけたくなりますね)のアタマの中ってやっぱりちょっとシュールだよね 書かれてることはたぶん氷山の一角にしかすぎないけど

  • もう何度読み返したか分からない
    著者の魅力は、リアリティ溢れる描写だけど
    非現実をしっかり「もの」に組み立てていく文章術は、真似したいです
    できないけど。

  • 何度読んでも面白い。無人島に一冊だけ小説を持ち込んでいいと言われたら迷わずこの本を持っていきます。それぐらい好き。公房は長編よりも短編のが、自分は好きだ。

  • 09/06/??
    うあああああああ凄い、凄い、凄い。なんだろうこの圧倒的さ。日本盤『一人の男が飛行機から飛び降りる』だよね。夢の話。
    この夢の内容の取り留めのなさと突拍子のなさと空恐ろしさは安部公房の雰囲気そのまま。

    そして中学の教科書で初めて読んでから全然忘れられなくて私の中に安部公房を刻み付けた「鞄」が収録されてました。なるほど、夢の話ならあの突拍子のない「どういうこと?」と首を傾げざるを得ない話の内容もまま納得いった。そうでなくても安部公房の雰囲気はあんなものだけれど。
    「蓄音機」は恐ろしい気がするのは私だけかな。「笑う月」は表題になるのも納得の内容。「自己犠牲」は雰囲気が凄く好き。
    本当に安部公房好き。今まで読んだやつもまだ読んでないやつももっと読みたい。

  • 安部公房短編集。

    「鞄」という短編が読みたいために何度も読む。

    理不尽だ、でも事実。

  • 衝撃だった。生まれて初めて出会ったような印象を受けた本。とにかく凄い。日本文学がストーリー性として現実がひしひしと伝わる。マニア向けらしい。

  • 安部公房の作品は、過去に『砂の女』を読んだだけです。他に知識はなく、久しぶりに著者の作品を読んでみようと思ってこの本を手にしましたが、とても難解でした。

    本書は、安部公房が枕元にテープ・レコーダーを常備し、夢を生け捕りにして書いた17の短編というか創作ノートです。

    お気に入りは『アリスのカメラ』です。カメラ好きへのアイロニーと鋭い洞察。こういう文章が書ける人は凄いなあと思う。

    『箱男』や他の作品を読んだら、この世界観をもっと楽しめるんだろうなあ。本書は私にとって時期尚早でした。とりあえず『箱男』から出直します。

  • なかなかに悪夢。
    ちょっとでもつま先を浸そうものなら、がっしと足首掴まれて引きずり込まれそうな…。
    でも心惹かれる世界。

  • ・しばらく歩きつづけていると、さすがに肩にこたえはじめた。それでもまだ、我慢できないほどではなかった。ところが、急に腰骨の間に背骨がめり込む音がして、そうなるともう一歩も進めない。気がつくと、何時の間にやら私は事務所を出て、急な上り坂にさしかかっているのだった。方向転換すると、また歩けはじめた。そのまま事務所に引返すつもりだったが、どうもうまくいかない。いくら道順を思い浮かべてみても、ふだんはまるで意識しなかった、坂や石段にさえぎられ、ずたずたに寸断されて使いものにならないのだ。やむを得ず、とにかく歩ける方向に歩いてみるしかなかった。そのうち、何処を歩いているのか、よく分らなくなってしまった。
     べつに不安は感じなかった。ちゃんと鞄が私を導いてくれている。私は、ためらうことなく、何処までもただ歩きつづけていればよかった。選ぶ道がなければ、迷うこともない。私は嫌になるほど自由だった。

  • 読んでいるときは、気味の悪さが頭にへばりついていたが、読み終わった今となってはほとんど何も覚えていない。まさに夢を見ているようだった。
    時間を空けてもう一度読んでみようと思う。

  • 高校生の時に読んだ本、短編集。

    この中の「公然の秘密」という話がすごくいい!

    短い話なのに、うったえている事はすごい大きい!

    今の世の中は弱いものを無視する・・・公然の秘密そのものだよねっていつも読んだ後思う。

    そんな世の中じゃない世界がいいな。

    いつもこの話を読むと、涙がでる。

  • エッセイ集。夢の話が多かった気がする。散文なんだけど詩を読んでるような不思議な感覚。

    全集全30巻には相当な数のエッセイが掲載されていることを考えると、文庫で気軽に手に取れるエッセイはとても少ない。そういう意味でも貴重な一冊。

  • 意外と読んでいなかった本作。

    無意識から生まれ来るものについて、
    安部公房が語るように、
    精神分析的な解釈を考えるよりも、
    その無意識に動かされ、遊び、昇華することを生業としている、
    芸術家達が言葉にするのが、
    とてもおもしろいと感じる。


    公然の秘密

    が、強く残った。

  • 安部公房の頭の中はどうなってるんだろう。再読必須。

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笑う月 (新潮文庫)の作品紹介

笑う月が追いかけてくる。直径1メートル半ほどの、オレンジ色の満月が、ただふわふわと追いかけてくる。夢のなかで周期的に訪れるこの笑う月は、ぼくにとって恐怖の極限のイメージなのだ-。交錯するユーモアとイロニー、鋭い洞察。夢という"意識下でつづっている創作ノート"は、安部文学生成の秘密を明かしてくれる。表題作ほか著者が生け捕りにした夢のスナップショット全17編。

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