アルプスの谷 アルプスの村 (新潮文庫)

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著者 : 新田次郎
  • 新潮社 (1979年2月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101122168

アルプスの谷 アルプスの村 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • スイスに3ヶ月いて確信したことは「スイス人が美しい自然というものは極めて人工的で、スイスというのはなんだか巨大なテーマパークみたいだ」ということである。僅かな谷間や穏やかな丘は美しい放牧地と伝統的な家屋が広がっていてそれは絵になる景色である。どんな山にもケーブルカーやロープウェイが敷かれ、ハイキングルートがどこまでも血管のように張り巡らされている。麓から森林限界を超えた山の頂まであたり一面、緑の牧草地帯が広がり、家畜小屋があり、乳製品を作るための様々な品種の牛や山羊が草を食んでいる。一方、本来このような土地に生息していた大型の野生動物の多くが絶滅もしくは絶滅危惧種で、夏のハイシーズンには、彼らの代わりにハイキング客と牛で山が埋め尽くされているのである。スイス人の言う「自然」とはこういう世界である。なんとそれと同じことを、すなわち「スイスの美しさとは作られた美しさだ」と言った作家がいた。それが1961年に初めてスイスを訪れた新田次郎である。登山家である新田次郎は、チューリヒからスイスに入り、ユングフラウからアルプスに迫る。その後、フランス領アルプスに入ったり、イタリア側からコモ湖を通り、今度はスイス東側のエンガディン地方など、スイス中をくまなく巡った。その記述は、50年以上経った今でも違和感を全く色褪せていないのがスイスの不思議である。当時ですら、スイスは世界的な避暑地・観光地であり外国人であふれていたのは変わりが無いが、唯一、奥地での地元の人々の外国人に対する反応だけが少しだけ現代とは違うように思えるくらいだ。新田は、最初はアルプスの圧倒的な迫力の前に大興奮するものの、こうした旅を通じて、最後に新田はスイスの美しさが自然ではなく人々の手によって丁寧に作り上げられてきたものだということに気づくのである。だからといって、スイスの魅力が失せるということではない。神々しく魅力的な山々だけならば、カナダにもパタゴニアにもあるかもしれないが、人の手を介して築かれてきた山を取り巻く社会の美しさに、著者は魅了されたに違いないのだ。著者の切り取った世界を半世紀後の読者が共有できたことは、スイス人のこの努力と意志がスイスの美しさに対する魅力を維持してきたことの証明になるだろう。

  • 最近の旅行記とは若干異なる雰囲気あり、これは時代のなせる業かもしれません。当方山好きでも山嫌いでも何でもない存在なので、山を語られても今ひとつピンと来ないけれども、山がスイス文化の産物でもあること、そしてシュトイリさんが魅力的な人物である等人との出会いの言い尽せない価値は十二分に伝わってくるエッセイでありました。

  • 新田次郎の文章は安心して読める。シンプルだけどあたたかみがあって、着眼点もすき。地名がたくさんでてきて勉強にもなった。
    いつかスイスへ行こうと決意。

  • すごく古い本だけど、今読んでも新鮮。スイスに行くならぜひ。

  • 古い装丁のものを保有。

  • ●my枕頭書。

  • ヨーロッパアルプスに憧れていた高校生当時に読み耽った。

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アルプスの谷 アルプスの村 (新潮文庫)の作品紹介

チューリッヒを出発した汽車は牧草地をぬけるとアルプスの山塊を登っていく。いきなり車窓に飛びこんできた巨大な岩壁のアイガー、朝日に全容を示した坐せる孤峰のマッターホルンをはじめ、人なつこい宿の主人シュトイリ氏、チナールの谷で逢った愛らしいベルギーの少女たちなど、憧れの土地で接した自然の風物と人情の機微を清々しい筆で捉えた紀行文。佐貫亦男氏の写真多数収録。

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