銀嶺の人(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101122175

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  • 勝ち気の女医と静かな鎌倉彫職人、正反対のように見える女性2人が厳冬期の八ヶ岳で出会う。避難小屋で過ごす数日間、寒くて恐ろしい時間が身に迫るようだった。
    天才クライマーとして育てられた2人は女性だけのパーティでマッターホルン北壁に挑む。学生時代憧れたマッターホルン、しかも北壁が舞台になってるなんて!と前のめりで読んだ。
    2人に共通するのは全てを克服していく意思だと思う。登攀シーンで描かれる果てしない氷壁とそれに挑む精神力は凄まじい。
    なぜ山に登るのか、そこに山があるから。という以外の答えを2人は持っている。 

  • 登山だけの話しにとどまらず、男どもを虜にしていくところもあってやっぱりそうなるんだなあ、と思うところもあって面白い。物語の登攀技術ややってる登山は全てが超ハイレベルな事ばかりだけど恋愛となるとそこはやっぱり想像の範疇で親近感が湧く。

  • 淑子と美佐子という2人の若い登山家が吹雪の八ヶ岳で避難した山小屋で出会うことから物語は始まる。そこへ3人組の岩登りの専門家、佐々木、杉山、白瀬の男性、この偶然の出会いから、女性たちの運命は大きく変わっていく…。今井通子と若山美子という実在の女性クラマーをモデルにし、多弁な淑子と無口な美佐子は対照的な存在だが、2人は共通する点も多く、2人は山、特に岩登りの魅力に取りつかれていく。医者と鎌倉彫の専門家であるということも、実話に近いようだ。マッターホルン北壁の2人の挑戦場面は手に汗を握る緊張感で、頂上に着いたときに読者までホッとする。世界を驚かせた2人のへ。日本人女性の活躍談の裏話しの現実性が圧倒的な迫力で描かれている。

  • 昔一度読みましたが、再度購入して読んでみました。細かい所は殆ど覚えていなかったので、新鮮な気持ちで読めました。美佐子曰く「自分の生命を賭けて惜しくないほどの対象があった場合、それが生きる目的になるのではないでしょうか、私にはそれがあるのです」これは生きるヒントになる名言だなと思いました。生命を「懸ける」ではなく「賭ける」と表現しているのにはきっと意図がありますね。

  • ふたりの女性登山家が主人公。
    淑子は医者を両親に持ち、自らも医師を志す、気の強い女性。
    美佐子は天才的な芸術家で、無口で涙もろい女性。
    正反対な性格な二人が、はじめは相対することもあるが、徐々に信頼し合い、世界で初めて女性パーティだけによるマッターホルン北壁制覇を成目指し・・そこで上巻はおわる。
    ふたりの生い立ちと、成長とあいまって、山に没頭する展開は気持ちいい。

  • 新田次郎氏の山岳小説三部作の最後を飾るのは、二人の女性クライマー。正反対の性格の二人の姿が見事に描かれています。
    遭難しかかった美佐子のとる行動も立派ですが、淑子らが救出に現れるシーンも感動的です。
    また、美佐子が彫る鎌倉彫の描写も見事です。山の情景からヒントを得て鎌倉彫に表現しようと苦悩する姿、作り上げられていく鎌倉彫。それらが自然と目に浮かんできて、鎌倉彫のデザインまで目の前にあるかのようです。

    自然の描写ばかりでなく、美術作品にまでおよぶ浅田次郎氏の表現力には、ただただ感動するばかりです。

  • 久々の山岳小説。

  • 3/8-3/10

  • 日本の誇る天才女性クライマー2人をモデルにした小説の前半
    2人が山に目覚め、お互いと出会い友情を育んでいく

  • 2人の女性クライマーがマッターホルンにチャレンジする。その上巻。

著者プロフィール

新田次郎
一九一二年、長野県上諏訪生まれ。無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、中央気象台に就職し、富士山測候所勤務等を経験する。五六年『強力伝』で直木賞を受賞。『縦走路』『孤高の人』『八甲田山死の彷徨』など山岳小説の分野を拓く。次いで歴史小説にも力を注ぎ、七四年『武田信玄』等で吉川英治文学賞を受ける。八〇年、死去。その遺志により新田次郎文学賞が設けられた。

「2022年 『まぼろしの軍師 新田次郎歴史短篇選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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