銀嶺の人 下 (新潮文庫 に 2-18)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101122182

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  • マッターホルン登頂後、世界を驚かせた2人の女性は全く違った歩みに。医者、そして鎌倉彫の藝術家としての活躍。そして山への取組も大きく変わる。山岳会を退会した美佐子。一方、淑子たちのグループのアイガー北壁登頂成功の瞬間の開放感!そして谷川岳での美佐子のあわや遭難とそれを救った杉山たち。美佐子が救われる場面、淑子との出会いはあまりにも劇的な感動のシーンでもらい泣き。クライマックスは淑子のグランドジョラス北壁と同時並行の美佐子のドリュー西壁登頂。2人の女性の運命的な繋がりから、2人の最後の結末へ向けた緊張感の高まりにはぐいぐいと惹きつけられた。2人の登山家女性モデルの実像がどうだったのか、関心は尽きない。

  • 女性二人の個性がきちんと描かれていて、
    読後感がとても良い。
    特に前半の、それぞれが若かったころは、
    文体も展開も生き生きとしていて良い。
    あえて言えば、後半、主人公も年を取ってきたあとが、
    やや物足りないかな。
    しょうがないか。

  • 『孤高の人』『栄光の岩壁』より面白かった。好みだと思うけど。生まれる前に書かれた本と思えないほど、引き込まれた。
    実話を元にしてるだけあって、人間関係もリアル。
    物語として読んだけど、改めて考えると、この時代に女性がすごい。

  • p37
    感情を殺してはいるが、その言葉は淑子の胸を打った。先輩と後輩の関係がこのような温かい形で現れたことが嬉しかった。

    p345
    救助隊だと思ったとき、杉山は、彼らしくもなく、その場にひろみを背負ったまま座り込んだ。稜線上には風のために雪が吹き飛ばされて、氷板を覗かせているところ、雪をかぶっているところ、所によっては吹き溜まりもあった。その稜線を、強風をものともせず、ほとんど走るように近づいて来る先頭には、駒井淑子がいた。

  • 上巻に記載しました。

  • 女性が厳しい登山をするとき、筋力や体力の面で男性より不利になることが多い。それでもこの時代に、女性クライマーが優れた技術を身につけて歴史に残る登攀に挑んだ偉業を知ることができてよかった。
    2人の女性クライマーの、静かで強い意志、男性に甘えようとしない自立した心、人の命を守ろうとする優しさと責任感に感銘を受けた。
    冬の谷川岳の吹雪と雪崩、アイガー北壁の落石地獄の場面では手に汗を握る。登攀中に準備された温かい食事は、この過酷な環境の中の、温かい部分として際立っていた。

    実在する2人の女性クライマーがモデルだからこそ、この迫力と切なさがあるのだろう。読了後の喪失感がずっしりと残る。山は命を簡単に飲み込んでしまう恐ろしいものでありながら、取り憑かれたら離れることができない魅力をもつと改めて感じた。

  • 2人の女性登山家を対比しながら物語は終盤へと進む。どちらかの方が亡くなってしまうのか!っていう描写がどんどん出てきてハラハラして読みました。

    またこれは毎回の事なのですが、とても深刻な場面でちょくちょく面白い表現が出てきます。例えば、ザイルのダルマ、ザイルの化け物みたくなってなど。必死になって登ってくる男性を女性が心の中で思っている表現なのですが、他にも色々あります。

  • 7月19日 マッターホルン北壁登頂の日 にちなんで選書

    【以下、https://zatsuneta.com/より引用】
    1967年(昭和42年)7月19日、東京女子医大山岳部の今井通子と若山美子の2人がマッターホルンの北壁からの登頂に成功した。女性だけのパーティーでの北壁登攀は世界初だった。

    1975年に新田次郎が、若山と今井をモデルとした本小説を刊行した。新田は当初、今井1人だけをモデルにする予定であったが、若山の存在に惹かれ、主人公を2人に変更したという逸話がある。

  • 最後は事実と異なって良いから下山させて欲しかった。女性の描き方はさすがに古臭いが、山の表現についてはさすがという感じ。山には行ってみたいけど、こういう登り方はしなくていいや。

  • 女性クライマー二人の話。男にはない、女性特有の力強さが感じられた。

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著者プロフィール

新田次郎
一九一二年、長野県上諏訪生まれ。無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、中央気象台に就職し、富士山測候所勤務等を経験する。五六年『強力伝』で直木賞を受賞。『縦走路』『孤高の人』『八甲田山死の彷徨』など山岳小説の分野を拓く。次いで歴史小説にも力を注ぎ、七四年『武田信玄』等で吉川英治文学賞を受ける。八〇年、死去。その遺志により新田次郎文学賞が設けられた。

「2022年 『まぼろしの軍師 新田次郎歴史短篇選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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