- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101122212
感想・レビュー・書評
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海を渡りエスキモーとなった日本人の物語。
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2014*10*29
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読書部課題図書その10
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遠い昔に読みました。
今でも所々覚えています。アザラシ食べてるところとか。
もう一度読みたい作品です。
「砂の器」と「アラスカ物語」と「氷点」は子供ながらに読んで印象深い作品でした。 -
辺境にすむ日本人女性なるテレビ番組を見て、100年以上前にエスキモーを率いた日本人がいたことを知り、その人のことを知りたくなり、当然のごとく本を手に取った。
第二次世界大戦前にアメリカに渡り、仕事で乗船していたアラスカへの食料運搬船が思いもよらず早くにおそってきた氷によって身動きがとれなくなったことにより、エスキモーと暮らすこととなってから、その一族を海の民から、陸の民へと変貌させ、生き延びさせ、現在もその村があるということは、何とも素晴らしい話である。
彼の苦労に比べると、現代の日本人の苦労など、まだまだであるとしか思えてこなくなる。 -
極寒の地アラスカとエスキモーとともに運命をともにした、日本人フランク安田を主人公とした物語。エスキモーの生活やアラスカという想像もつかない厳しい環境でリーダーとして活躍した安田に感動する。せめて一度でも日本に帰してあげたかった。ちなみにKindle ペーパーホワイトで読んだ初めての本でした。凄く読みやすかった。
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クジラやオットセイが激減した酷寒のアラスカ沿岸部から、エスキモーを率いて内陸部へ「民族移動」して新しい村ビーバーを開いた「アラスカのモーセ」ことフランク安田の人生。
こんな日本人がいたのか。
先住民の生活環境がアメリカ人に浸食されていく様と、狩猟採集生活の厳しさがよくわかる。
「白人は海から鯨を追い、陸からカリブーを追った。この次に追われるものはなんであろうか。おそらくそれは、僅かながら存在している原住民であろう。フランクはやりきれない気持ちになった」 -
混迷の時代に、混迷の土地で活躍をした日本人がいたことに感銘を受けた。
22歳で渡米し一度も帰国せず先住民のために生き、日本を思い浮かべながら死んだ彼の人生こそは「潔さ」のお手本だと思う。
彼が出会った人たちもまた素晴らしい。 -
明治初期、日本を離れアラスカにたどり着いて、エスキモー社会に溶け込み現地女性と結婚した「フランク安田」。白人による乱獲や疫病により滅亡に直面し飢餓に苦しむエスキモーのために新天地を築き、「ジャパニーズ・モーゼ」と呼ばれた男の半生。
人格や心で尊崇を集めエスキモーのリーダーとなる日本人の生き様に対する驚きと感動。。
ネットで調べると「Yasuda Mountain」の地名が確かにある。
http://mapcarta.com/24102640 -
フランク安田という、明治期に石巻からアラスカに渡り、イヌイットのために生きた実在の人物を扱った新田次郎による小説だが、人物伝としてだけではなく北米の自然誌として読んでも興味深い。
白人の乱獲により鯨や、海獣類の捕獲ができなくなり、飢餓が目前となった沿岸部のイヌイットたち。その命運を金鉱探しに賭け、最終的にはイヌイットを率いて内陸部へ移動するのだが、ツンドラの海に生きるイヌイットたちは、初めて目にする木々に驚き、マツの匂いで頭痛を起こしてしまった。頼みの綱であったカリブーも減っていく中、好戦的なインディアンの住む森林地帯へ向かっていく。ところが、調理したものは食べない、カリブーの肉は生で食べるイヌイットたちもムースの肉は生では決して食べなかった…等と、ある民族が自分たちの境遇を捨て異なる環境に移住するとき何が起きるのか、という視点でとても面白かった。大型哺乳類が白人の乱獲により次々と消えていく姿は、ファーレイ・モウワットの「オオカミよ、なげくな」のほぼ同時代かやや前の時代であるから、両者を通じて、この時代の自然誌が浮かび上がってきたのだった。
新田次郎のあとがきを読むと、基本的に全て、現地へ赴き、実物や一次資料を目の当たりにしたそうで、その表現は緻密で真に迫っているようだ。ただし、オーロラに限っては、アラスカを訪れた際、赤祖父博士のもとで映像で見た限りで実物を見てはいないらしい。私もオーロラは見たことがなかったが、冒頭のオーロラに関する記述が、やや過剰な表現に思えたのはその所為だったのかもしれない。