留学 (新潮文庫)

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著者 : 遠藤周作
  • 新潮社 (1968年9月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123035

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留学 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 経験しているからなのかな、人の葛藤を描くのが上手いなあと思いました。昇進に悩む社会人とか勉学に励む学生とか、共感できる方は多いのではないかと思った。

  • 今年めちゃくちゃ本を読んでいないけど、久しぶりに本を読了した。
    そして超久しぶりにレビューを書いてみる。
    遠藤周作の本は今まであまり知らなかったけど、ブックオフで適当に買って読んでみたらすごくおもしろかった。特にこの本の内容が日本人が外国に留学する話なんだけど、第三章の『爾も、また』の主人公の田中が外国文学者で、しかも研究内容が私が好きなマルキドサドだったから余計に興味を惹かれた。買ったときは、そんなことまったく知らなかったのに、『爾も、また』を読んでいたらすごくサドの話が出てきたから僥倖って思った(笑)そもそもこの本第一章~第三章まであるんだけど、話の内容がつながっていると思ったらまったく別の話で、日本人が海外へ留学するっていう部分しか共通はしていなかった。解説にも書いてあったけど、第三章の『爾も、また』が全体の4/5を占めている。第三章の主人公が、サドが住んでいたラ・コストの城を訪れた時に、近くにいるのに雪が深すぎて近寄れないという描写があってカフカの『城』みたいだなと思ったらやっぱり解説にもそう書いてあった。
    もはや第一章と第二章はあまり覚えていないけど、この第三章の主人公の気持ちは体験したことはないけど、なぜか共感した。謎。この本読んでたら本当日本の文化人だとヨーロッパ文化の圧にやられてしまいそうだと思った。特に田中のように文化的なことをよく知っている人であればあるほど。
    『我々は別の血液型の人からは血はもらえません。』っていうフレーズを読んで、日本人には日本人の血が、ヨーロッパ人にはヨーロッパ人の血が流れていて、すべてを理解することはできないということを改めて思った。

  • 田中がそうなる気持ちもわからんでもない。読み応え十分で面白かった。

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー「ブックサロン」で登場。
    http://harajukubookcafe.com/archives/651

    ゲストハービー山口さんの人生を変えた一冊。

    「これは僕が23歳の時にロンドンに行きまして、10年近くいたんですけども、そこで偶然日本人の昔住んでた人が残していった本なんですよね。日本人の僕がヨーロッパの文化・イギリスの文化を理解できるんだろうかと何度も打ちひしがれそうになった時にこれを読んで、ああ僕だけじゃないんだと救われた本です。」(ハービー山口さん)


    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

  • 【選書者コメント】「留学したい」と考えている人でなくとも、勉学に励みたいと思う方は是非

  • 自分も留学している身だが、共感することが非常に多い。留学考えている人はネットにある留学体験談じゃなくてこの本を読んだ方が良い。

  • 三部作。最後の話やたら長い。本作も他の作品と同じく西洋文化キリスト教と日本の文化との対峙、本質的な相違について描かれている。
    主人公はもちろん遠藤周作ご本人がモデルなんだけど、しかし苦しい。なんでこんなに苦しまなあかんのか。時代ゆえなんか、芸術とか文学を志す者ゆえなんか、とにかく苦しい。文学者として、日本人して、クリスチャンとして、男として、人間としてと、いろんな、○○としての自分がのしかかってきて、押しつぶされている。重い。今時「私らしく」とかいう一言で済まされそうなもんなのに。重い重い。でもそんなものに縛られて必死に逃れようとしてまた何かに引っかかりけつまずき、劣等感を抱いたりプライドを傷つけられたり卑屈になったり、苦しんで苦しんで葛藤して、まさに「身を切り肉を切り」言葉を生み出して何かを伝えてきたのが日本の文士(この言い方は出てこないんやけど)なのかなと思える。私はサドよりそっちをベロベロ舐めたいわ。
    サドのことは全然知らんが、主人公が記したサドに関する考察はおもしろかった。しかし、サドの本が読みたいとはあんまり思わん。

  • 著者自身の留学経験を下に書かれたであろう、留学経験者で有れば誰でも思わず頷く様な、現地での葛藤や苦労を描いた作品です。 現代社会とは少し違った感覚、古臭い側面も多々有りますが、時代は変わってもこういった気苦労やコミュニケ―ションにおけるもどかしさや歯がゆさは、いつの時代でも変らないみたいですね。 遠藤周作もこういう感情になっていたんだと思うと少し感慨深いものが有る今日この頃です。

  • 仏蘭西に実際に留学して西洋文明の理解しようとつとめる日本人との間に存在している溝、それを解消しようとする苦悩が著者の小説の主人公を通じて、ひしひしと伝わってくる。異国情緒。そして絶望。でも、その感情の発露はある意味で正しく自然の成り行きなのかもしれないと感じた。

  • 三部作中、小説として完成度が高いのは前二編のように思う。遠藤作品で繰り返し語られるカトリックと日本人とのテーマ。だが自分に一番響いたのは三編目「爾も、また」インテリとしての自負、だが実の所平凡で俗的な自分を自覚し欧州文化に押しつぶされていく主人公。サドを研究テーマとしながら自分とサドの接点などまるでないと悩む。真理を追究もできず表面的にうまく立ち振る舞うことも出来ない。
    その姿は、表現すべき中身を持たず、表現の場を得るために上手くコミュニケーションすることも出来ず、それなのに表現することを辞められない自分に酷似。つらい。
    時々こういう自分を突きつけられるような体験をするから読書はやめられない。

    二回目に城を訪れた時の、喀血と雪のコントラストが実に映像的で鮮やか。

  • 情けなさ、悔しさ、屈辱、挫折、失敗…。時代が変わっても、異国で生活する時に直面する困難は同じ。共感する分、暗い気持ちになる。

  • 最初の短編しか時間の都合で読めなかったのですが


    ふまじめでまじめ。

    胃が痛くなった。


    遊びに行くんじゃない。
    でも勉強ってなんだろう
    博士になりたいとか
    論文を書きたいとか
    そんなご立派な勉強じゃないんだよ

  • 留学というタイトルにまとめられた三編。二つ目と三つ目が印象的であった。自身の留学体験をもとにして、日本と西洋の文化的、と言ったら表面的すぎるだろうか、心理の深層に流れるモノの根本的な差異を謳っている。これだけ読むとそれは混ざり得ないもののように描かれるが、基本的に遠藤の宗教的著作にはこの問題が底流にあり、それは時代をおうと共により「救い」として消化されていると思う。全体で一つの作品といっても言い過ぎではないのではないか。

    12/6/23

  • 第三章『爾もまた』について

    ものすごいリアルで、designerの太刀川さんがおっしゃっていた「具体的且つ主体的なストーリーの共有」という話を思い出した。

    主人公の田中は非常に悲観的且つ内省的で、自己肯定の難しさを非常に感じた。そこにポイントを置くという事は私もそうだからなんだろうけどw

    遠藤周作も留学で苦労したって言ってたし、いちいち田中と遠藤周作を比較してしまう。
    主人公の設定をものすごいコンプレックスを持ち、妻以外と関係を持ったことのない、気の小さい不器用な「田中」が「サド」を研究テーマにしたところ、本人もそれを思案しているようにしたところが非常に面白かった。

    また、サドについてはあくまで研究対象であり、一切「本人」として登場しないのにサドに感情移入してしまった。遠藤周作の凄さを感じる。


    田中のような悲観的な人間が物事を楽観視することって可能なのだろうかと思った。

  • あんなに楽しかったパリ旅行なのに、これを読んでから思い返すとなぜか陰鬱な空と街並みしか思い出せない。共に文化を大事にする国なのに石と藁じゃわかりあえないのね。

  • 留学に関する三部作。
    全然華やかでない留学である。
    特に最後の作品は、世にも奇妙な物語的なストーリー展開に思えた。

  • 人が異文化に接したとき、その異質さに打ちのめされることはままある。

    あのテヘランの、どんよりした空気の中、ひとりバスに座り帰宅を急いでいたころをぼんやり頭に置きながら、読み進めた作品であった。時代も、場所も、作中の人物とは異なるけれども。

    留学経験者には、なるほど頷ける場面が多い作品だとおもう。

  • 遠藤周作、わたしが普段読む本よりすっごく難しい。それから、読後に憂鬱さがのこる…。

    留学すると、その国との言葉、文化、人種の壁を痛感する。分かり合おうとしても、その壁のせいでマイノリティの自分を滑稽にさえ見せてしまう。母国ではエリートだったけれども、異国の地では、言葉が通じない未開人。その悔しさ、挫折感が余すところなく描かれている、気がする。

    国が違ったりしなくても、地域の違いでこういうことがあったりするけどね。閉鎖的なのってこわい。

  • 読んでとにかく「挫折感」が書かれているという印象。
    若いころは自分も焦っていたなあと。今は焦らなくなったわけではないが、若い時独特の焦り方みたいなものはあると思う。

  • 留学・海外生活経験者だと頷く事ばかりでは。
    秀一。

  • フランスに留学した留学生が文化や風土の違いに挫折していく姿を描く。遠藤氏自身がフランス留学を経験しているからか、現実味を持って重苦しく迫ってくるものがある。随所随所に配置されたサド侯爵のエピソードが興味深く、良いスパイスになっていたと思う。

  • 出てくる人みんな何らかの陰を背負ってるんだけど、妙に共感できます。気分が沈むけど、遠藤さんの描くフランスの情景が魅力的でついつい読んでしまいます。

  • 海外で読むとかなりのダメージ・・

  • 留学経験あり、フランスを巡ったこともあり、キリスト教徒になったこともあり、サド文学を読んだこともある私にとって、この本は、読むべくして読まれた!

    「語学力が向上した」「日本文化の魅力を再認識した」「国境を超えた友達が出来た」 そんな楽観的な言葉が聞かれるような留学ではない、これは。遠藤周作のフランス留学の、深い苦しみに、悩みに、私は泣きそうだった。私たちは似たもの同士のような気がして。他の人がいとも簡単に出来ることが、出来ない。根本的な所に行き詰って、考え込んでしまう。私たち、相当人生に不器用ね。

    西洋の大きなお世話。Leave me alone! 

    新しいモノ好き、欧米好きの日本人が、欧米人の大好きな「神」の概念を受け入れないのは何故?

    「君のために・・・」この期待に耐えられる?プレッシャーだよ。

    皆の期待が重くのしかかる。僕は皆の希望を担っている。皆の星。でも、そんなの鬱陶しい。そんな大役、僕には無理だ。お門違いだぜ。

    空気を読む能力に長けているために、ノーと言えない日本人。はっきり意見を言えない日本人。

    モラルと和を尊ぶ集団主義の日本人には、神の概念が必要ない。個人主義の欧米人にはお目付け役の「神」が必要不可欠。世界はそういう風にして出来ている・・・?

    日本人って難しい。

    ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

    「外国文学と自分との違和感をたえず意識している人間」
    「自分と全く異質で、自分と全く対立する一人の外国作家を眼の前におき、自分とこの相手とのどうにもならぬ精神的な距離と劣者としての自分のみじめさをたっぷり味わい、しかも尚その距離と格闘し続ける者」
    「私生活でも精神の上でもあまりに隔たった人間」

    外国文学者の苦しみ。老ハムハムもLewisと?でも、まるで彼と僕。サドとルネ。どうしようもない事実を突きつけられた時、人は自分を見失う。だめだ・・・レベルが違いすぎる!一生かかっても追いつけない!悔しい・・・!僕は愕然とした。

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