母なるもの (新潮文庫)

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著者 : 遠藤周作
  • 新潮社 (1975年8月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123080

母なるもの (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 日本のカトリックをテーマにした短編集。いずれも作者自身がモデルとしか思えない人物が出てくるので、私小説風な話ばかりである。『沈黙』などに代表される切支丹時代を舞台にした長編とかぶるテーマが多く、とても興味深く読めた。しかし巻末の解説が、仏教の経典を引用しつつ遠まわしにカトリックを非難する場違いとしか思えない内容で、ちょっと残念な気分になった。

  • 自身と母との関係、自身とキリスト教との関係、そして隠れ切支丹について描かれている。
    隠れ切支丹は、今まで過去の一定の時期にのみ存在していたものだと思っていた。隠れとして独自に信仰が進化し、その後宣教師からの改宗を拒み苦悩した人達がいたという歴史を知らなかったので、考えさせらえれるものがあった。
    また宣教師達の苦悩も知らなかったので、これを機に色々読んでみたいと思う。

  • キリスト教徒だった母親の影響を受けたながら反発した少年時代、フランス留学、背教者と隠れキリシタン等々を描いた自伝的短編小説。特に印象に残ったのは開国後に日本に来た神父による「信徒再発見」後に多くの隠れキリシタンがカトリックに改宗(?)する中、昭和になっても隠れキリシタンの教えを守る人々が残っていたという事(周りの地区と交流を避け、就職・結婚で差別もあったらしい)。もう一つは鎖国後に日本へ潜入した宣教師シドッティーの話。20年以上前に屋久島に行ったときに「シドッティー(シドッチ)上陸地」という場所があり、当時は「シドッティーwho?」だったのですが、初めてシドッティーの行く末を知ることがで来ました。これは何とも言えない哀れな話。気になる方は読んでみてください。

  • 母の記憶。悲しい目。犀鳥。遠藤文学の要素多数。

  • 遠藤周作の短篇集。母なるものとは、母なる神、母なる宗教を指す言葉だろう。遠藤の宗教観である。遠藤の思想が端々にまで行き届いたものだと思う。長編のようにプロットを細かく気にしない分、短編は思想的になりやすいだろう。時代背景も、テーマも、人物に至るまで、ああ、遠藤だという感じである。解説は読んでいない。今更もういいだろうと、彼に関しては思う。

    12/5/29

  • これは傑作。
    棄教司祭や神経質な神学生を主人公に置き、作者自身も抱える”キリスト者の内なる弱さ”を描写した8篇。
    鬱屈とした進行に鋭い表現が刺さる。
    史実に基づくエピソードも多く挿入されてて読んでて面白い。

  • 彼の宗教観、キリスト教観が、彼の人生経験にもかなり強く影響されていることが感じられた。

    正統な教えってなんだろう。

    あと、特段信仰のない自分にとっても、「母なるもの」には救いの可能性を感じる。

  • 序盤、読み進めることに少し苦労した。何故ならば、主人公が中年以降の男性という設定であり、更に人生に多少の疲労感を持っていたり、どう頑張っても私の人生経験では想像してもし尽くせないほどの深みを秘めていたからだと考えられる。
    日本の隠れ切支丹の「痛み」と「母なるものへの祈り」に触れて、隠れ切支丹の祈りを伝承するという精神的難しさについて想像が膨らんだ。また宗教問題から切り離して、「痛み」「母なるもの」に対する心情に個人的共感を少なからず感じた。
    『沈黙』など他作品と関連する内容や、主人公描写が著者について、類似性を考えながら読み解くことも興味深かった。

  • 夕暮、港についた。

  • 著者のキリスト教への思いを各々の短編集の主人公に重ねあわせる。関わり合いたくないのに捨てられない。それは「優しく許す」存在である母があるからなのか。

    不誠実だった信者としての自身がかなり反映されていて、遠藤周作本人のことを書いているのかと思った。猿や九官鳥とか、『彼の生き方』『さらば、夏の光よ』に出てくるのを彷彿させた。拷問で背教した司祭の孤独と自己嫌悪の晩年の中での唯一の話し相手が犀鳥だったと言うし。日本にあるキリスト教と作者自身が考えるキリスト教との捉え方の違いにずいぶん悩んでいる様子があらわれていた。

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