砂の城 (新潮文庫 (え-1-12))

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著者 : 遠藤周作
  • 新潮社 (1979年12月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123127

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砂の城 (新潮文庫 (え-1-12))の感想・レビュー・書評

  • サクサク読めるけど、受け止め方が難しい。
    横領に手を染めたトシも、過激派メンバーになった西も、ふとした出会いが未来を変えるきっかけだった。優等生の泰子でさえ、もしも母からの手紙がなかったら、「美しいものと善いもの」の意味を考えることもなく無気力に生きていたかもしれない。
    一人の友人、一冊の本、一つの言葉、何が分岐点かはずっと後にならないとわからない。それが人生のおもしろさであり、怖さでもあると思った。

  • 体験の一つ一つが重く、学び成長するのが青春の時。解説によると、著者の著歴では軽小説に属するようだが、確かに読みやすく爽やかな読後感である。2017.7.3

  • 親友、遊び人の彼氏、過激派の友人。
    美しいもの、善いものは、
    一人一人の中に、それぞれ。
    キラキラ築き上げられては、一瞬で消える。

  • 遠藤周作の沈黙が借りれず借りた本。
    美しいこと、善いことを忘れないこと。どんなに辛いことがあってもそれさえあれば立っていられる。
    昔、母親が好きだった人の言葉を、その子供も求めて生きていく。

    一方でその主人公の高校生、大学と一緒に過ごした友達が、その後それぞれが全く別々の道を歩んでいく。その道はとても脆くて危うい砂の城のよう。

    さぁーと読める小説。大学時代一緒に過ごしてもその後の人生は、出会った人、環境、興味、嗜好で結構変わるよなーと改めて思いました。

  • 話のつくりはよくある青春群像ものだろうけど、遠藤先生の小説だけあって、情景は想像しやすいし、なにより話の運びがいいのか、めっちゃくちゃ読みやすい。でも逆に違和感なく読み進められすぎちゃって、読後の印象は浅薄かも。

    歌舞伎や浄瑠璃みたいに時代背景やそのとき印象的な大事件、時事を下敷きにしたもので、大衆娯楽小説であればマルなんだろうけど。遠藤先生といえばキリスト教的作品なので、きちんとした作品も読みたいな。

  • 思いきりメロドラマだけど、テンポよくすすみ、一気に読んでしまった。

    自分でもただしくない(=幸せになれない)と分かっていても、あえて社会的に間違った選択をしてしまう親友たちを、客観的に見つめる主人公。間違った選択をしても、なぜか鮮やかな生き方に見える彼ら。多種多様な生き方の選択が描かれている。

    そして風景描写がとてもうまく、目に浮かぶよう。
    長崎の素朴で美しい風景、神戸のかなしい裏びれた古いアパート街、インドの暑く不穏な空気。
    ストーリー展開ごとにマッチするオケージョンが、物語をひきたてる。

  • それぞれの美しさとは、善いこととはを、テーマにしており考えさせられる。
    新潮社版で読んだが背表紙の解説には結末がズバリ書いてありガッカリ…

  • 築いたものが砂の城ならば結局は崩れやすいよね。情熱に身を注いだ西もトシも、また泰子ですらみんな崩れたんだろう。
    美しいものと善いものは砂じゃないんだろうけど、それがなんだか分からずみんな探しながら生きてるってことなんかな。おもしろかったです。

  • 新潮文庫の解説で遠藤周作の中のいわゆる軽小説と書かれてるけど、この言葉が気に入らない。別に軽くないし。どうせなら青春小説と書いてほしかった。
    さらに言えば新潮文庫の裏表紙のあらすじは結末をドーンと書き過ぎじゃないかしら。

    まず物語が亡くなった母の手紙から始まるというところが好きです。
    冒頭の泰子とトシの高校時代が無邪気で楽しそうで明るい未来が待っているという感じ。砂の城を築き上げている途中といったところですね。初めて読んだのが高校の時だったから2人の楽しそうな姿が目に浮かびました。
    それなのに泰子とトシは全く真逆の道に進んでいくことになるわけで。
    トシの気持ちは分かる気がするんです。泰子って完璧すぎる。こんな人が隣にいたら劣等感の塊になりそうなのに、トシはそればっかじゃなくて、ちゃんと泰子のことを親友だと思っている。
    でもやっぱり泰子より…って思うのは当然だと思うんです。その方向性が世間や泰子の思うような“美しいもの、善いもの”ではなかっただけ。
    泰子の言ってることは正論なんだと分っていながらも引きずられていくトシのことを、泰子は理解できないだろうなぁ。
    西に関しても、容赦なく泰子さえも殺すと言ったとき、あれは泰子じゃなくてあたしもショックでした。砂の城が崩れたのはトシと西よりむしろ泰子だったのかもしれません。

  • 16歳の誕生日に母親の遺書を受け取る泰子。母親のいう「美しいもの、善いもの」が、まるで潮に流される砂の城のように彼女の周りで崩れていく。変わり果てる昔の仲間たち。じぶんの生き様に感じる焦燥感と、大切なものを失う喪失感との間に言われようのない歯がゆさを抱きながら泰子は生きていく。

  • 最初の母の手紙の
    「あなたはこれから、どのような人生を送るかしれませんが、その美しいものとけだかいものへの憧れは失わないでほしいの。」
    という一文が、印象づいた。

    泰子の話はだらだらと続いて面白くないな……と思ってたけど
    最後の最後で大きく展開し、引き込まれるように読んだ。
    人生の上手くいかなさが描かれた作品。

  • この世界には「ずっと変わらないこと」の美しさ・善さも存在する。けれど,他人が振りかざす正義の名の下に簡単に散ってしまうような危うい愛やはかない信念に,魂を捧げた登場人物たちの生き方は,はたして無駄だったのか。
    宗教色はなくても,弱さや惨めさに目を向けているという意味で,根底に流れるものは他の遠藤周作作品と共通するように感じる。
    本来,人は人を裁けない。永遠の美や強い信念ばかりが褒めそやされる世の中だけれど,砂の城のようにはかないものを受容できる心の空間を残した大人でありたい。

  • ~夢みたものは ひとつの幸福
    ねがったものは ひとつの愛~

    この世のなかには人が何と言おうと、美しいもの、けだかいものがあって、母さんのような時代に生きた者にはそれが生きる上でどんなに尊いかが、しみびみとわかったものです。あなたはこれから、どのような人生を送るかしれませんが、その美しいものと、けだかいものへの憧れだけは失わないでほしいの。

  • 多感の高校生の頃に読んだ本で唯一、ストーリが記憶に残っている本。
    青春時代に出会い、違う人生を歩み、ある場所で再会し、そして運命的な別れを迎える。強い信念に基づき行動する人間を制することの難しさを感じた。

  • 青春時代を共にした友人が、いつの間にか別の世界にいってしまっていた寂しさ。
    社会的にはそれが悪であろうとも、自分の「美しいもの、善いもの」を一心に追い求める人への憧れ。
    主人公に共感できる部分がとても多かったです。自分にとっての「美しいもの、善いもの」って何だろうか。まだ模索中。

  • 人にはそれぞれの人生がある。世間の判断では落ちぶれてしまったような生活であっても、その人が一生懸命に善いもの、大切なものを追いかけた結果であれば、それは立派な生き方であると思えるようになった。主人公の素子も、何が本当に正しいのかわからないというが、物語の展開に沿って一緒に考えていくことで、最終的に答えが出せたのではないだろうか。

  • 主人公の泰子の亡くなった母親が残した手紙に書いてあった言葉で
    最後まで何度も出てくる、「美しいものと善いもの」。
    それを求めて、行動する泰子の事をうらやまく思ってしまった。
    私も美しいものと善いものを探求する気持ちを心の奥に留めておきたいな。
    九州弁もとてもリアルでよかった。

  • それぞれの道を歩んでいって交差した時に生まれる悲しみが
    なんとも言えないほど美しかった。
    こんな時代もあったんだなぁ。

  • 美しきもの、善いもの

    人それぞれに人生はあって、一度交わったからといって同じ道を歩くわけじゃない
    人はそれぞれに変わってゆくのだ

  • クライシスには分岐点って意味もある。
    それぞれの人生を歩んでいくなかでそこには何とも越え難い壁ができてしまうこともある。周りからみた自分と、自分の知っている自分は違うし、そのどちらが正しいのかなんてわからない。それでも自分の人生を生きていかなければならない。これは本当に勇気のいることだ。

  • 遠藤周作の本は「沈黙」「反逆」「海と毒薬」などの純文学系と青春話などを扱った軽小説系に大きく別れてて、この本は後者に属してるみたいだから軽い気持ちで手にしてみたら、予想外衝撃を受けました、はい。


    主人公は高校時代から大学時代の青春期に共に夢と希望を描いた友人達を時代の流れに奪われていくというあらすじ。
    二度と戻ってはこない素晴らしい青春期に思い描いた夢を、ある人は過激派に求め、ある人は愛人への破滅的な献身に求める…そんな中、主人公は自分の信じた道を突き進み、憧れのスチュワーデスになることができる。しかし彼女には想像もできない形で散っていった友の描いた夢を作っては消えていく砂の城と例えて、この小説のタイトルにかえています。



    僕が1番心に残った言葉は、戦争に恋人も人々の笑顔も奪われた時代に生きた主人公の母の遺言の中にある

    「この世の中には人がなんと言おうと、美しいもの、善いものがあって、その尊さと、憧れだけは失わないで欲しいの」

    というもの。
    昭和の雰囲気を感じながら読み取れる、つねに高みを目指す努力、ひとりの人を心から愛する力、人と人との絆、人が決して破壊してはならない豊かな自然。この本が書かれたのは僕の生まれるかなり前だけど、これらのものはすべて現代社会でも失われがちなものだと思った。


    「美しきもの、善いもの」人に嘲笑されても、時代の荒波に揉まれても、これを探し続けることが人間の生きる本当の意味なんじゃないかなって思いました。

  • 大学時代に図書館で出会った本。
    いろんな意味で懐かしい。

  • ただただ自分の信念に従って一生懸命に生きることが、かくも美しく儚いものかと思いました。

  • これの読書感想文を書いて、いい評価貰いました♪
    話はちょっと難しかったですが…「なるほど」とうなずける話でした。

  • 祖父母と歩いた長崎の町が蘇る。

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