沈黙 (新潮文庫)

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著者 : 遠藤周作
  • ¥ 594
  • 新潮社 (1981年10月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123158

沈黙 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 江戸時代が始まって間もない混迷期、かれこれ400年以上も前の物語で、本作が世に問われたのもかれこれ前の話だと思うけど、色んな意味で古臭さは感じさせられず、どんどんのめり込んでしまいました。遠藤周作、中高生時代以来の経験だったけど、当時よりずっと楽しめた気がします。確か当時は「海と毒薬」を途中で断念した記憶が…まあ、今読んだら当然感じ方も違うんでしょうが。それはさておき、恥ずかしながら本作は初挑戦。”沈黙”って、そういう意味だったんですね。生涯を懸けて、命を賭して、信仰の意味と向き合い続ける姿勢、現在の日本の風土からはちょっと計り知れないものがありますよね。少なくとも自分には理解し難い。困ったときの(というか困ったときだけ)神頼み、それも手元操作でちょちょいのチョイ、みたいな感じで済んじゃいますもんね。そんな現代でも過激な方向に振り切ってしまうパターンもまた存在している訳で、そんな宗教観を肯定・否定するとかの前に、理解する一助にもなったと思います。一気に読んでしまいましたが、深い味わいを残す作品でした。さすが。

  • 20年ぶりくらいの再読。
    その昔、一人の人間として愛すること、超越者と向かい合うことについて少し理解できた気がした記憶。
    久しぶりに読んで内容は全く覚えていなかったけど、読後感は同じだった。
    この20年くらい自分は成長していないということかな。。

    継続して考え続けるのは、難しいな。

  • 切支丹狩りの頃の長崎が舞台。
    宗教に興味のない私からみると、主人公が主よ神よと祈る気持ちがイマイチ共感できないけれど、全体を通して読みやすくて、面白かった。

  • 一度は読んでおかなければならない本。

    「キリスト教」とか「フランシスコ・ザビエル」とか「切支丹」とか「踏み絵」とか、単語として知っていたに過ぎないことが分かった。

  • 殉教。パードレによる棄教で信者が救われる。拒めば拷問が続く。惨めな人生。無慈悲。根付かない文化。南無阿弥陀仏でギブアップ。信仰の自由。温室での信仰。欲求階層。生理的欲求を満たされない状態で人間の精神の限界を越える。見えない答え。語らない神。現代信じる美しさ。精神的弱さを自覚。欲求不満の昇華。

  • 自分 とは、、、

  • こんな時代でも手紙は届くのか。

  • あらすじとしては、キリシタン狩りの最盛期に渡日してきた宣教師が拷問されて棄教を迫られる、という話。
    あらすじだけ聞くと和製「パッション」とまとめたくなるけど、天才が書くと”ものすごいもの”(語彙不足)になる。
    拷問されると宣教師も人間なのでやっぱり棄教を思い悩むんだけど、その悩み方の論理がすごくしっかりしていて、畳み掛けてくる。読者ごと追い詰めてくる。棄教か死を選ばされる。
    久しぶりに深く感動しました。

    また余談ですが、日本の小説によくある「クリスチャンだから良い人」とか「キリスト教の神は愛に溢れていて人を守ってくれる」とか、そういう偏見がありません。宗教小説ですが信仰がない人向けに書いてあるので、押し付けがましいところもなく、安心して読めます。

  • 沈黙 遠藤周作
    今年4月中旬東京文京区の切支丹屋敷跡で3体の土葬の骨が発見され、この本のモデルではないかという新聞記事に興味を持ち読んでみました。

    島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちにへの残忍な拷問に接して苦悩する。
    神の存在、背教の心理、信仰の根源的な問題を衝いている。

  • 自分は無宗教ですが、キチジローに苛立ちを覚えたり、最後は神に何故このような状況でも救いを与えてくれないのか問いかけたくなった。
    「沈黙」というのは神は沈黙しているということなのですね。
    キリストが転べと言ったから転んだ、というのは精神分析の観点で説明できそう(合理化?)と思ったりもしたが、作者が言いたいことはそういうことではないはず。

    命を懸けて最後まで司教であり続けるという選択肢もあったかもしれないが、吊るされているキリシタンを助けるために信仰を捨てると宣言し、
    心の内で神を信じ続けることが、それに劣るとも言えないと感じます。
    キチジローもまた、信仰を捨てきれず牢に入れられたりしたようで、彼の信仰心が本当に薄かったと言えるのか。
    真の信仰とは何かという話なのかと思った。

    そういうことは考えなくても、1つの目標のために、自分の命が危険にさらされると分かっていても乗り込んできて、
    苦しい思いをさせられる、つらい光景を目の当たりにするというストーリーだけとっても引き込まれるものがあった。

  • 救いがない。希望もない。
    でも自分が落ち込んだ時にいつも開いてしまう。
    やっぱり救われるから。ここに登場する人間臭い人間に。

  • 中学生の頃に読んだ時は神の沈黙についての印象が強く、もっと救いのない結末だったような気がしていたが、再読。

    神が沈黙しているので泊、信仰は我々の内側にあるのだなぁ、と。

  • ビブリオバトルで見た後、ふらっと立ち寄った古びた本屋にて購入。

    信じるってどういうことなのか、考えさせられました。
    何度も何度も心に問い続ける。答えが出るかどうかではなくて問い続けることが大事なのかなと。
    私は基督教ではないけれど、読み易かった。

  • 神に問うも返らないところに疑問を抱くようになってしまうのがなんともおそろしく、かなしくもあった。

  •  自身がキリスト教徒である遠藤周作氏の発する「どうして神は黙っているのか? それでも人は神を信じるべきなのか? そもそも神とは、そして信仰とは何なのか?」という問いが読者に突きつけられます。この作品を読んで、あなたにとって納得のいく答は得られるでしょうか……

     人は神を信じるから教会に通うのではなく、教会に通ううちに神を信ずるようになるのでしょう。西欧では日常生活や社会にキリスト教が深く根ざしているので人は自ずと信仰心を持つのかもしれません。しかし日本という国にあっては、現代においてさえ一つの宗教を信じ続けることには莫大なエネルギーがいるのだと思います。ましてやキリスト教が異端であった鎖国時代の日本に置き去りにされた司教が信仰を貫くのは容易なことではないでしょう。遠藤氏自身も、幼い頃からキリスト教徒として育ち(育てられ)ながら、この国で自らの信仰の正体を疑わずにはおれなかったのでしょう。

     それにしても遠藤氏の筆致はドラマチックで、読者を引き込み、先を読まずにはおれなくします。

     信仰心のある人もない人も、信ずることや生きることの意味を考えるために一度読んでみてはいかがでしょうか。

  • キリスト教の神の不在。宗教ってなんでもそう。不在。それを沈黙って捉えたのがひどく庶民的でいい。信仰と恩恵のバランスが拷問やら辛いことがあると一気に崩れる。今までうちにうちに向かっていた信仰心や神の証左が、外へ外へと溢れ出すんだろうなあ。それが多分テロなんだろう。きっと、幸せだったら宗教があんな形で歪むことはなかった。社会へ、世界へ、不平不満が募ると、どうしたって沈黙を貫く神の代わりに己の声が漏れ聞こえるんだろうなあ。しかし、最後の終わり方がまたいいんだ。あなたは沈黙してなどいなかった。これがどういう意味なのか、語り明かしたくなる一冊。

  • 長崎に住む者として、キリシタン弾圧と禁教下の潜伏について知らなければならないと思い読みました。
    ストーリーの展開は意外なほどシンプルだが、苦悩し、疲弊するロドリゴの心理を、客観的な記述で極めてリアルに浮かび上がらせており、まるで350年前の出来事が、デジタルメディアで撮影されていたかのような同時代性を感じた。

  • 日本にキリスト教を布教すべく赴いた高名な教父が「転んだ(棄教)」と聞き、弟子でもあるロドリゴ司祭と同僚が日本に向かう。
    強い信念を元に向かうも、ロドリゴは深く思い悩む。浅ましくも卑怯なみすぼらしい男キチジロー、日本の宗教観念を含めた特徴、弾圧・拷問され棄教を迫られるキリシタンを通して、「神」に尋ねる。

    「沈黙」を貫く神の愛と苦しみについて、主人公ロドリゴが弱き人々を通して、そして自身の苦悩を持って悟っていく物語・・という所でしょうか。

    多神教な日本故に彼らがキリスト教の本来の在り方が間違って受け止めているのが印象的でした。
    キリシタンであっても、彼らにとっては沢山いる神様の内の1人。自分たちに都合のいい様に解釈されてしまいます。八十万神精神がかなり根深いです。
    タイトルにもなっている「沈黙」が最大のテーマです。ロドリゴの目の前で苦しむキリシタンを救ってくれない、自分の悩みに答えを出してくれない、何もしてくれない神に彼は苦悩します。
    けれど、ロドリゴは神の「沈黙」という、最大の愛を貫き、誰よりも苦しみを抱いている、その事に最後に気づきます。

  • 強烈な本。一度読んで、もう読む勇気が出ないと今のところ思っています。神さまって何??なんで??まさに、沈黙。。。。

  • 一度読み終わり、すぐに2回目も読んでしまった。そして、読後は2回ともしばらくその場を動けなくなってしまった。神の存在、人間の生き方の問題、人の選択について、日本人の宗教観等、重厚なテーマを書ききっている。自分自身、親が熱心なカトリック教徒の家で育ったので、すごく興味のあるテーマだった。なぜ神は助けないのか、凄惨な状況に何も手を差しのべない神。祈りを捧げる宣教師たちや信徒。

    私は強くないので、どうしょうもない裏切り者キチジローの気持ちはすごくわかる。パライソへ行けると信じ殉死していく人たちに確かに感動するが、そうは生きられないだろうなと思う。

    さらに、神を祈り死んでいく日本人達が祈った神は、宣教師達が言葉通り死ぬ思いをして伝えてきた神とは似て非なるものに変化し、全く違う神を祈っていると言う話は衝撃的だった。

    宗教とはその土地の文化を背景にして育つものであり、その本質はその宗教が誕生したその土地で生まれ育っていない人間には掴み取れないものなのだと思う。昨今のイスラムとの対立などは結局そこに問題があるのではと思う。八百万の神の土壌がなければ、他の宗教に寛容にはなれないのだろう。

    善きにつけ悪きにつけ、日本人は八百万の神を背景にした古来アニミズムの文化の中で無意識的に育ち、その影響下からは逃れることはできないと思う。その土地のなかにイエス・キリストが入ってきたとして、唯一絶対神として存在するわけではなく、数多いる神の頂点として捕らえ、また地獄と極楽を根底思想に持つため、歪んだ天国観を彼らなりの理想として位置付ける。きっとイスラムが入ってきたとしても同じように受け入れ日本なりのイスラム教に変化していったんだろう。日本人とはそういう人達なんだろう。

    日本人として生きるということは、異質なものを解釈し、受け入れ、そしていいと思ったものを取り込んでいき進んでいくということなのかもしれない。

    穴づりの声を聞き、信仰を捨てた宣教師。神は最後まで沈黙し続けるが、神の存在が彼の人生を作ったと言って話は終わる。人は何か困ったことがあると、心の中で何の気なしにお願い神様と祈ることがある、無意識的に。私はそこに神がいるのだと思う。全ての人のなかに神がいて、万物は全て霊性を持ち、それぞれの神を認め、それぞれの神と対話することが大事なのではないかと考えている。

    宗教とはその集合意識を具現化したひとつの形でしかなく、本来の神とはそういうものなのではないだろうか。

    ということを考えられたこの本を読んでよかった。まさにバイブルになるような本です。

  • 学生時代に読んだ1冊を再読。遠藤作品の中でも好きな1冊です。

  • 「信じるものは救われる」これを読んで漠然と思い出した言葉である。
    お正月には初詣に行き、お盆にはお経をと唱え、クリスマスを楽しむ、そんな信仰のない自分からすると宗教というものは根源的には同じであって、宗教の違いによって争うということ自体が理解できない。ただ現実として今この瞬間も争いは起こっている。江戸時代におけるキリスト教弾圧は単純に宗教観の違いからだけで起こったものではないと思うが、悪役を作れば政治がやりやすかったのだろう。(今の時代も同じである)
    命を賭してまで信じるものがあるというのは素晴らしいことだと思うし、そうであるがために悩みもするのであろう。神が本当に救ってくれるかは、やっぱり信じることしかないのかもしれない。
    今年、映画化されるということなので楽しみに待ちたい。

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大島 安希子

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ひょんなことから、亀(クサガメ)を飼い始めた主人公、はるか。亀の名は、ジョンソン。
初めてづくしながら、一生懸命ジョンソンを理解しようと必死なはるかに対し、そんなこともお構いなしに傍若無人でマイペースなジョンソンとのやりとりは、さながらコントのようです。
そして結局はるかが折れるかたちで決着がつきますが、ペットは家族で可愛い存在なので、振り回されても許してしまうその気持ちもわかる気がします。
またその他にも、偶然知り合ったカメ友達たちがジョンソンに負けず劣らずユニークで、亀の生態や豆知識をはるかに助言しながら、熱いカメ愛をぶつけてきます。いい人たちですが強烈です。
亀の意外な姿、そしてペットと暮らすことの楽しさを感じられる作品です。

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