真昼の悪魔 (新潮文庫)

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著者 : 遠藤周作
  • 新潮社 (1984年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123202

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真昼の悪魔 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 遅ればせながら、初遠藤周作。非常に読みやすいことに驚いた。多少難読するだろうと予想していたが、題材も含めて、スラスラと頭に入っていく。善と悪の境目の考察。無感動の境地。人間の二面性、及び多面性。それを淡白なミステリーに仕上げているなと感じた。医療分野と人間の多面性が、陰鬱で素敵だ。考察が深く潜りすぎないことも、ある程度余裕をもってページを進める要因であろう。とてもバランスのいい作品だと感じた。悪魔は多分、いる。

  • 当時の現代人の、とも言い切れない
    空虚感、心の渇き、それを満たす
    多様化容認の名もとに、古い枠組みを超えた、
    個人を社会とは別扱したがる新時代の価値、
    個人尊重の風潮。
    それは、構成員としての集団に対する責任感から
    個人の欲望を無条件で解放し、
    本来社会性を持つべき人間に対し
    動物的快楽、欲望を追求することに
    意味を持たせるだけの脳がひねり出した
    いいわけにも感じる。
    帯・背表紙には「医療ミステリー」とあり
    確かに「彼女」は何者かを追う部分があるが、
    遠藤先生のエンターテインメント作品にして、
    「悪魔」という言葉を用いているなか、
    裏返して時代の中で相対的、絶対的「善」とは
    を問いかけたのではないか。
    悪魔と悪魔が対峙するとき、彼女は彼に何を見た。

  • 怖い話。
    書かれた時代より、更にそう言うタイプの人間が増加してるのではと思わせる時代を先取りしている感じがした。

  • どんな悪を犯しても痛みを覚えぬ白けた虚ろな心をもつ女、を描く。「動機の無い犯罪」が現れ始めた頃に書かれたものなんだろうと思う。作者自身がキリスト教徒である点が、上手く作用している。

  • 人の心に潜む悪魔の存在をかくも鮮明に描き出したのはさすが周作。

  • 現代の時代を反映した医療ミステリー。ぞっとする怖さがあった。

  • クリスチャンであり医学に造詣が深い作者ならではのキリストと悪魔に纏わる医療サスペンススです。
    女医の悪魔的衝動に襲われる人々に危機があるものの大事には至らない。また、悪魔的思考の人たちの根絶もなく、それ故か何か物足りない感はある。病院は例え悪意が無くとも医師次第で悪事やミスが隠蔽されるのが恐ろしい。その舞台に悪魔が巣食う設定は人々を震撼させる。
    悪魔が悪魔を生み出す、悪魔の心は人々に根づく。そんな考えは現実世界でも当たり前にある事をさい認識する。

  • いつの時代にも、自分(人間)の、深いところにある闇と向かい合い過ぎて、表に出してしまう人はいるのだなぁ、と思いました。遠藤周作を初めて読んだけど、思ってたより読み易かった、という点で☆3。内容は、、、なんだな終始しんどかったー。。。

  • あっという間に入り込んで読めた。医療者でありながら人の心とかけ離れた悪魔の心になっている女医。美人で聡明なだけに、そのギャップに恐怖を感じる。昭和55年の作品と言えど、心通わすことが希薄になってしまっている現代に何か訴えかけられているような重みも感じた小説だった。

  • 現代社会にも存在しているであろう、心に巣くう悪魔。あるいは、悪魔に心を明け渡した人間なのかな。

  • 巻末で昭和59年当時の評論家が、悪魔の正体は現代人の心の荒廃であるかのように書いているが、さらに30年以上たった現在では、とても違和感があると感じる。よく新聞ニュースを騒がしているサイコパスという異常な人格の人たちが犯す犯罪にこの女医の行動、心理が似ていると思う。遠藤周作はキリスト教の作家であるために悪魔という存在を語っているが、この女医の苦しみをこのように詳細に描く事ができるというところがさすが。

  • 人間の内なる悪。
    こわかった。

  • 何をしても無感動な女医が、まわりの人を操り屈服させ、あるいは悪意を伝播させていく。。
    良識がなくなると、人はどこまでも落ちていける見本のようなお話。じわじわと怖かったです。

  • 人を傷つけても何も感じない女。
    そんな悪魔のような女に翻弄される人々。
    でも、何も感じない自分をおかしいかな、と思う彼女の心は全て悪魔に支配されているのでないのではないか?続きが読みたい。

  • 17年2月に田中麗奈主演でドラマ化されると云うので読んでみたが、どうも遠藤さんは私には合わないなあ・・・
    怖い話でした。

  • 『真昼の悪魔』
    フジテレビ/毎週土曜放送
    2017年2月4日から

  • 怖すぎる。でも面白い小説。
    今現実で不審死が相次ぐ病院のことが取り沙汰されているけれど、その事件を多少想起する部分があるような…

    大学生の難波は、結核にかかり女医が多く勤務する病院に入院することになった。
    そこでは患者の謎の失踪や寝たきり老人への劇薬入りの点滴など、奇怪な事件が続発していて、難波は疑いからやがて病院の内部事情を追求しはじめる。
    背後には、無邪気な微笑の裏で陰湿な悪を求める女医の黒い影があった。

    ミステリ小説としても読むことが出来る。次々起こる事件の実行犯は一人の女医だけど、その名前は終盤のある地点までいかないと明かされないから。
    そして、著者がクリスチャンなので、キリスト教的な要素も。登場人物である神父が説く、“悪”と“悪魔”の違いは興味深かった。
    元は善良な人間であっても、状況やタイミングによっては“悪”をはたらいてしまうことがある。それが犯罪であっても、情状酌量の余地があるものは、大抵それに当たる。それらには必ず、罪の意識というものがつきまとう。
    だけど“悪魔”は、今で言ういわゆるサイコパスのようなもので、良心は痛まず罪の意識もなくむしろ面白がって悪事をはたらくことが出来てしまう、そういう種類の人間のこと。
    この物語にも“悪魔”は出てくるけれど、非常に分かりにくく存在している。現実でももしかしたら、こんな風にして巧妙に隠れ人を騙しながら存在しているのかも、と思うととても恐ろしい。
    (こないだ観た映画にもそういう形で“悪魔”が紛れていた、ということを思い出した)

    女医は“悪魔”なのかというと、そうではないように思った。悪いことには違いないけれど。
    本物の“悪魔”との違いを考察するのも読み方としてある小説。

    病気になってしまった人間はその病院を信じて身を預けるしかないわけだから、病院の人間が恐ろしいことをしてしまったら、成す術もない。
    自分の母親もかつて病院で酷い目に遭って命を落としかけたことがあるから、現実でも身近にないとは言い切れない。
    人の“善”を信じるか“悪”を疑うかっていうのは本当に難しい問題。

    そして遠藤周作の小説は本当に読みやすくて深くて面白い。

  • 結核で難波が入院した病院で、前に入院していた患者が行方不明になっていた。
    何となく気になった難波は、父親の付き添いをしている芳賀に調べてもらう。
    その後も、少女が池に突き落とされたり、点滴の間違いがあったりし、女医の中のひとりを疑いはじめる。
    それと同じ頃、ひとりの女医が教会で悪魔の話を聞く。女医は自分の中に罪悪感がないことに気づいており、周囲には隠しているが動機のないいやらしい悪を行いたいと思っていた。

    遠藤周作らしくキリスト教に絡めた作品。
    悪魔をテーマにしているが、悪魔というとどうしても映画などに出てくる悪魔っぽい風貌とか、首がグルグル回って緑の変なものを吐くといった見た目にインパクトのあるものを想像しがちだが、本作の悪魔はそういうものではない。
    ひとの心にいつの間にか巣喰うようなもの。
    理由なくひとを傷つけたり弄んだりする。
    一見普通のひとの中に潜んでいる悪魔のほうがたちが悪いと言える。

    悪魔となった女医の名前は最後になるまで明かされないため、ミステリーとも言えるが、犯人探しを楽しむというより、キリスト教のものの考え方や悪魔についてのことといったものを読む形になっている。

    悪意とも違う悪魔。そんな悪魔の棲み着いた人間というのは意外にうじゃうじゃいるのかもしれない。
    やさしそうに微笑みながら、誰かを獲物にすることを考える。
    その誰かには恨みも憎しみもない、その誰かである理由など何もないのに。
    何だか悪魔にでもなったのじゃないだろうかとも思える残忍な事件が目立つと、そう感じたりもする。
    本作がこの時期に復刊された意図を感じざるを得ない。

  • 遠藤らしい。サスペンスのようなプロットでありながらも、もっと現代社会の深層に触れるような尖さがある。単純なサスペンスとして読んだら退屈だと思う。神父さん出しゃばりすぎ感がある。テーマは悪とは、悪魔とは。神父の言葉を借りれば、「悪は目に見えるけど悪魔は見えない。空気のように稀薄で、ホコリのように知らない間に心に積もって人間に悪を行わせる。悪魔は人間に、自分はいないと思わせたい。そんな非科学的な、非現実的なものは、と思わせたい。そして少しずつ心に積もる。」
     悪魔か、と考えさせられる。現代人の無気力に積もると言っている。
     
     

  • 遠藤周作さんの描く悪魔像が、とても怖かった記憶があります。本当にこんな人間っているんだろうか?もしいるのなら、彼らは救われないのだろうか…。普段神の存在など意識したことのない自分ですが、この時ばかりは神の存在について考えさせられました。

  • 高校の先生に紹介されて気になっていた本。
    ミステリーっぽくとても読み易かった。
    現代人の心の乾きというやつは随分昔から変わらないようだ。

  • 「悪魔」について、初めて考えた(考えさせられた)。
    どなたか映画化していただけませんか?

  • 内容が好きか嫌いかといったら、好きではないながら、星は五つ。

    とにかく怖かったです。。陰湿な悪を続ける女医。女優ばりの美人なのに、何にも無感動で、良心の呵責を感じるかどうかためすために様々な悪を働く。。

    医療問題とも絡ませながらミステリー調に進むけれど、これはミステリー本だという感覚はなかったです。

    また神父がでてきますが、彼がいてよかった。。
    そして、私は無感動な人にならなくて本当によかった。。

    やっぱり病院てこわいな。。最近不必要な手術繰り返していた病院があったけど、医療倫理はどうやったら良くなるのでしょうか。。

    次は明るい本を読みたい笑

    Jan 2011

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真昼の悪魔 (新潮文庫)の作品紹介

患者の謎の失踪、寝たきり老人への劇薬入り点滴…大学生・難波が入院した関東女子医大附属病院では、奇怪な事件が続発した。背後には、無邪気な微笑の裏で陰湿な悪を求める女医の黒い影があった。めだたぬ埃のように忍び込んだ"悪魔"に憑かれ、どんな罪を犯しても痛みを覚えぬ虚ろな心を持ち、背徳的な恋愛に身を委ねる美貌の女-現代人の内面の深い闇を描く医療ミステリー。

真昼の悪魔 (新潮文庫)の単行本

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