王妃マリーアントワネット(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123219

作品紹介・あらすじ

美しいブロンドの髪とあどけない瞳を持つ14歳の少女が、オーストリアからフランス皇太子妃として迎えられた。少女はやがて、ヴェルサイユに咲いた華麗な花と呼ばれ、フランス最後の王妃として断頭台に消える運命にある…。フランス革命を背景に、悲劇の王妃の数奇な生涯を、貧しい少女マルグリット、サド侯爵、フェルセン、ミラボーなど多彩な人物を配して綴る、壮大な歴史ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • わかってはいるけれど…の一冊。

    悲劇の王妃マリーアントワネット。

    彼女の運命は嫌というほどわかってはいるけれど、やっぱりたまに会いたくなるし、悲劇を再確認したくなる。

    数々の、これからを予感させるような出来事は偶然とはいえ、彼女の心をざわつかせ、それを忘れるために繰り広げられる贅沢な時間。

    寂しさを紛らわすための時間。

    彼女の揺れる心情が手にとるように伝わってきた。

    首飾り詐欺事件を機に確実に暗雲が立ち込めてきた。

    もう少し周りを見渡せれば…もう少し早ければ…いくつものたらればが胸を打ちながら下巻へ。

  • フランス革命を扱った作品は数多くあるが、その中でも本書が優れているのは、「バスチーユ襲撃」や「国王と王妃の処刑」といった、目立つような部分でないところだ。まだ「上」しか読んでいないが、マルグリッドという最下層の少女を登場させてマリーアントワネットと対照的な位置の人間として描き、やがて二人が(間接的にだが)関係することとなる。革命の主体は「庶民」だが、その庶民を一つの動きとして捉えるだけでなく、何人もの庶民を具体的に描き、実際彼ら一人一人が何を考え、どう行動していたのか、そこにも焦点が当たっていた。

  • 輿入れから、ダイヤの首飾りの醜聞までの上巻。
    権力者がくだらない揚げ足取りでバッシングされるのは、昔も今も変わらないんだな。
    マルグリットが好んで悪党に堕ちていくのが、やりきれない。

  • 下巻まで読了。
    史実と虚構が織り交ぜられながら語られる、しかし硬派な歴史小説。
    マリー・アントワネットとフェルゼン伯爵とのやり取りや、首飾り事件の顛末など、読み応えのある場面は多々あれど、ラストに向かっての展開はやはり鬱々として息苦しい。
    ただ、「優雅さ」だけをただひとつの武器として、苦境に耐え、死んでいこうとするマリー・アントワネットの姿は、気品ある文体で書かれていることで余計に際立って感じられる。

  • 冒頭からとても読みやすい。たくさんの書籍などを参考にしているのだろうけど、そんなことにも気づかされないくらい物語の進行が滑らかで、堅苦しくなく、娯楽としてスラスラ読める。

  • フランス史好きにはたまらない……読みやすいー!!フィクションを混ぜているからこそさらに面白いのかなあ。

  • 実は遠藤周作氏の作品を読むのはこれが初めて。
    割と読みやすい普通の文章なんだなという印象。
    「むつかしい」を多用。
    同じような描写を割と繰り返している。
    7割くらいのところで唐突にポリニャック夫人登場。
    上巻は首飾り事件まで。

  • 多少の膨らませは有るにしても、小説家がこんな歴史書もどきを書く意味って何なのだろう?

  • 史実にある部分とフィクションを織り交ぜて、フランス革命前後を実におもしろく描いています。しかしここで言う「フィクション」とは、虚構とはまた違ったものだと思います。
    史実にある点と点をつなぐ時に、「どうやったらこの点がつながり得るか」というあたりを実にクールに、そして情熱的に考えてできたのがこの作品なのではないでしょうか。
    ハイライトは「首飾り事件」辺りだと思います。史実は史実としてちゃんと記述し、その裏事情をおもしろく、そして緻密に描いています。山師カリオストロを黒幕として登場させたあたりはさすがとしか言いようがありません。
    主人公は題名の通りですが、たくさんの登場人物が作者に命を吹き込まれ、生き生きと動いています。実によく作られた群像劇だと言っていいと思います。

  • 中学生の時にベルばらにハマって以来、この時代のフランス史が好きになりました。
    ベルばらはかなりフィクション要素が強かったから、こっちの方が史実に忠実かなと思って買ってみました。

    ベルばらとか映画とか観てフランス革命までの大体の流れは知ってたから、割と読みやすかったです。
    気になったのはフェルセン伯(ベルばらだとフェルゼン伯)の性格が違うなというところです。こっちの方が史実だとしたらちょっとショックです。
    マリー・アントワネットに関しては、ベルばらの時と同じ印象でした。王妃としては幼稚だけど、生まれながらの誇り高さはすごいです。

    フィクションって分かってるけど、私はベルばらのストーリーの方が好きです。アンドレファンなので(笑)
    すぐにでも下巻読みたい!とはならないです。

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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