女の一生〈1部〉キクの場合 (新潮文庫)

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著者 : 遠藤周作
  • 新潮社 (1986年3月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (517ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123233

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女の一生〈1部〉キクの場合 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 幕末から明治維新に向かう日本で、禁教のキリスト教を隠れて信仰してきたキリシタンが、迫害され流刑される浦上四番崩れを描いた作品。
    これは宗教の自由や信仰の自由を認める上で歴史上重大な出来事を、キリシタンの青年、清吉を想うキクの一生とともに書ききった名作と言える。
    キリスト教を禁止にするには、日本古来の公序良俗が乱れるという恐怖感に始まるが、当時はそれを許容する度量は日本にはなかった。だから鎖国したのだが、その間200年にも渡って受け継がれた。逆に言えばそこまで続けば、棄教する方が難しいのか。
    日本では今、性的少数者の権利を法的に認めるかどうかの議論をする土壌ができつつある。ほんの100数十年前にキリスト教が認められた時と似た状況でもある。なぜなら性的少数者を認めると日本の家族観が損なわれたり、男性と女性が結婚できるのは子ども作る権利を持つというデリカシーのないことを言う人もいるからだ。それは違うだろう。結婚という行為は、契約論だから。倫理観を保つことにはつながるし、人間の尊厳に関わる。
    折しもキクは、汚れなき身体を、愛する清吉を助けるために、伊藤に捧げた。あの時にキクは清吉の妻にはなれないと覚悟し、白い泪を流した。これこそ人の愛であり、愛する気持ちがあれば性的少数者も関係ないはずだ。
    そういう大義をキクの死ぬまで清らかな心が教えてくれる。

  • 面白かった。江戸~開国の激動の時代における、キリシタンの扱い。その中でも愛を貫いて死んでいくキクの姿に感動。

  • 沈黙の映画をみて原作を読んでキリスト教の話とは違う遠藤周作の本を読んでみようと思い一番キリスト教っぽくない題名の本を選んだつもりだったんだがキリスト教の話でした。キクがかわいそうでなかなかきついお話でした。

  • キリシタンの拷問の描写が辛い。自分はこのような拷問を受けても信仰を捨てずにいられるだろうか。

  • 歴史上の悲劇であるキリシタン迫害について、書かれているのですが、読後感は決して悪くなく、色々な事を考えさせられました。
    人間の弱さ、強さ。亡くなった人が後に残すもの。

  • 幕末から明治維新の時代にかけての長崎・浦上崩れ(検挙・弾圧事件)を題材にした小説。
    恋い慕うキリシタン青年が流刑になり、その彼のために、死に至るまで自分の身を汚してまでも愛し抜いたキク。
    神を信じているのに、なぜ不条理とも言える苦難が振りかかるのか、、、神義論的な問いを突きつける。

  • 強いことが全てじゃないし、弱いことは悪いことだと思わないけど、自分の弱さのせいで他人に迷惑をかけたり不幸にするならそれは反省すべき改善点でしかないと思うのです。
    伊藤はそのことを知っているのに同じことを繰り返す。それは反省する自分に酔ってるだけ。弱き者はつべこべ言わずに従えばいいのです。それもまた強さだと思うんですけどね。
    でも伊藤はそれも出来ない。
    清吉じゃないけど最後は本当にぶん殴りたくなりました。マリア像と対話するキクが健気で可愛いらしかっただけに余計にボコボコにしてやりたい気分でした。
    あたしは善人でもキリスト教徒でもないので清吉と同じ心情にはなれませんでした。最後の最後まで伊藤という人間が好きになれず、キクの一生は無駄じゃなかったという清吉にもモヤモヤしました。無駄か無駄じゃないかはキクにしか判断できないことだと思います。

  • 面白かった。江戸~開国の激動の時代における、キリシタンの扱い。その中でも愛を貫いて死んでいくキクの姿に感動。

  • 長崎のキリシタンを愛してしまった少女キクの一生の話。なにゆえこの時代は貧しいのか、ひたむきに生きてきたキクはクロとして捕まった清吉を助けるためのついには自分を売る…。そしてその先には清吉との再会があるわけでもなく結核という病魔が。

    遠藤周作の物語というのはだいたい同じテーマで進んで行きますから好きな人は好きでしょう。
    僕はコルベ神父の記述がこの本にあると聞いたので読んでみたのですがなかったですね。
    2部のほうにあるのかな。

  • 十数年前に、作者の「沈黙」を読んで、その内容にかなりの衝撃を受けた。本作も、キリスト教信者への弾圧を主軸とした作品。主人公のキクがあまりにも一途。というか、一途すぎる。印象に残ったのは、役人・伊藤清左衛門。憎まれ役ながら、キクや信者たちに対して抱く複雑な思いに苦悩する姿は、かえって人間味が感じられた。

  • キクのマリアへの叫びはまさに祈りの迸りだと言えよう。私たちよりよっぽど彼女の方がマリアに親しいとさえ思われる。
    長崎巡礼の際に外海の遠藤周作記念館に立ち寄ったそこで買った本。その前に、出津協会、黒崎教会、ド・ロ神父の記念館及びその授産施設にも。前日の大浦天主堂で見たマリア像が目の裏にまざまざと蘇る。何故遠島から帰ってきたキリシタンたちが故郷で辛い目に遭ったのか。何故困窮の極みの中で暮らしたのか。その疑問を、この本は解き明かしてくれた。と、同時に拷問を加える側の苦悩、耐える信徒たちの姿、それらが明治の初めになってもまだ続いていたことに、胸が痛く、熱くなった。回心の姿と、哀れみの賛歌が重なった。
    自分だったらどうするだろうか?と考えるのは傲慢なこと。総てはその時、必要になった時に与えられる賜物に寄って賄われる。だから、今、私だったら、と考えるのは必要では無い。それより寧ろ、その身を犠牲にして私たちへの道を開いてくださった総ての方々に感謝を禁じ得なかった。
    イザヤ書53章より:彼は自らの苦しみの実りを見 それを知って満足する。

  • 悲惨な時代や環境だからこそ、愛が純粋培養され結晶となり、生きていくことの救いと成り得る。
    と言うことで今僕が欲しているのは、愛だ?!

  • すごい衝撃受けた作品。一心にキリスト教を信じる清吉と、そんな清吉を一途に想うキク。どちらも真っ直ぐで純真で、どちらも幸せになってほしいとずっと思いながら読みました。すごく引き込まれた。幕末(江戸時代も)のキリシタンのこともあまり知らなかったので驚いた。2人以外に、伊藤のことがすごく気になって。自分の心に向き合えずコントロールできない伊藤が、歳を重ねて、清吉に会ったところがすごく印象的だった。

  • キクの清らかさに感動。一途な愛に心打たれる。マリア様へ話しかけるキクに涙。。。

  • 「沈黙」に続く遠藤周作のキリスト教&長崎テーマの読書。

    作品自体は「沈黙」のほうが素晴らしい出来のように感じたけれど、キクという女の一生を通して、信仰や愛について描かれているだけに、より感じるものは多かった。

    キクの激しくも哀しい一生にはもちろん胸を打たれたんだけれど、伊藤とプチジャンの海辺での対話が圧巻。(むしろエピローグの津和野での懺悔が蛇足に感じた。勝手な感想だけど。)
    神は本藤よりも伊藤を愛すると。本藤のような人に神は必要ないのだというような。
    そうなのか…。本藤はすごく頑張ってるからこその成功なのにな、神様がその頑張りを見守ってくれて、幸運を与えてくれないと、割にあわなくない?なんて最初は思ったけれど、筆者の描く神はそうではないのね。救済を与えるのではなく、傍にあって苦しみをともにしてくださる。それならダメ人間ほど神に愛されるってこと?それって不公平じゃない?いやいやでも、人間は完璧じゃないんだから、本藤のような人だって弱くずるく醜い部分があるわけで、そこにおいては神がともにあって…。っていうかそもそも不公平って発想自体がおかしいような。でも…。

    「沈黙」に続いて、考えれば考えるほど、神という存在の意味が、大きく変わってくる読書。

  • キクの一生はよかった。読みづらいと思っていたけど意外と読めた。飛行機で一気読みした

  • なぜそこまで、と思わせるほどの、キクの一途な愛。清吉の一途な信仰。

    キクの気持ちは、あの時代の、女性が男性を慕う気持ちの在りかたや、現代ほど一人ひとりの世界や知識が広くないことを思えば、うなづけるものでもあります。
    あのような結果になったことは、腹立たしく悔しく悲しいけれど、キクの純真さと清廉さ故の結果であり、ある意味では仕方のないことだったのでしょう。

    一方、清吉をはじめとする切支丹たちの一途な信仰心については、個人的には理解しきることはできませんでした。

    しかし、この時代に、迫害を受けても拷問を受けてもその信仰心を捨てなかった人たちが、少なからず居たということは事実で、神の存在や、信仰心というものについて、考えさせられました。
    救われたい、というより、信じたい、ということなのでしょうか。

    人間の切ない祈りが、登場人物それぞれの形で苦しいほどに描かれていて、重く救いのない話でしたが、読んでよかったと思います。
    気軽に人に勧められる本ではないけれど、多くの人に読んでほしいですね。

  • これも読んだ記憶だけで、何も頭に残ってないなんて。

  • 一言で言うなら『凄い愛の話』。二部はパワーダウンするので読まなくて可。神を罵ることも「祈り」なのだなぁ。罵倒される日常もそう思うとちょっとラク。

  • 印象的だったのは、折々のキクとマリア像との対話(?)だ。いつも真っ直ぐで飾り気のないキクの言葉は、時に微笑ましく、時に悲しく、その一途な思いは美しい。

  • 何回読んでも色褪せない感動があります。

    これほどまでに見返りを求めない愛はすごい。
    初めて泣きすぎて胸がつまりました。

  • 半年くらい前に、津和野に行きまして。
    そのときたまたま立ち寄った、山奥にあるちいさな教会が、
    ずっと昔、キリスト教を棄教させようと
    集められた教会だという話を聞きました。

    まさかそのモデルになっているとは。
    この本に出てくるあの場面が、拷問のあった場所を指しているとは。
    すごく衝撃的でした。
    早くこの本を読むべきだった…

    この本、先輩Wさんからお借りしたのですが、
    そのWさんと、宗教について考えさせられる本だよね、
    という話をしました。

    宗教とは? 信じるとは? 愛とは?

    っていうのが主要なテーマかと。

    自分を信じるのってすごく大変。
    そして不安も伴うし。
    だけど、誰かがそばにいてくれたら、
    何かが支えてくれたら、
    きっと自分という人間は生きていける。
    そう思わせてくれる本です。

  • とっても大切な本。

  • 「清吉さんのためうちにできたことは……少しのお金ば作ってやったことだけ。ばってん、そんなお金のために……体ばよごさんばいかんやった」
     高校2年、修学旅行の事前学習として学校からだされた課題本のひとつ。
     もともと遠藤周作の作品はほかのキリスト関連の文学作品よりも抵抗なく読める。視点が偏っていないからだ。遠藤周作氏も洗礼をうけたキリシタンだけれど、彼の視点は第三者であり、読者に考えさせる余地を作ってくれる。なぜキクは身を売るほど清吉を愛していたか、それを踏みにじった伊藤。伊藤の二面性にみえるのは人間の本質だ。キクが一途に清吉を想う過程は、決して清らかなものではなかった。胸張り裂けんばかりの衝撃、悲痛が混じり合う。だからこそ読み進めずにはいられない作品だ。

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